「十三夜荘奇談」吉田秋生

2023年6月に少女まんが館へ行ったときに読んだ漫画の感想!



🌷「十三夜荘奇談」吉田秋生

書誌情報:吉田秋生「十三夜荘奇談」(1983、プチフラワービッグコミックス、小学館)
収録作品:「夏の終わりに…」「風の歌うたい」「十三夜荘奇談」「金の糸 銀の風」「きつねのよめいり」「ざしきわらし」「アカプルコ・ゴールド」


これは初めて知った。小学館文庫で「きつねのよめいり」っていう作品集があるのは子供の頃本屋さんで見て知ってたけど、、こういうテイストの話だったのかーーーーと驚いた👀
いろいろと記憶が薄れてしまったので、「風の歌うたい」と「十三夜荘奇談」だけまとまった感想を書きつけておきます。。



「風の歌うたい」

ファンタジーだった!👀
こういう吉田秋生作品があったなんて、知らなかった!

しかも、昆虫たちが登場するんだけど、みんな擬人化してる…!
ホタルが天女で、女郎蜘蛛がなんか…うーん、なんだろうあれ、ヴィジュアル系の夜叉みたいなかっこいい風貌のお兄さんで、ひぐらしがインドの神様みたいな姿をしている。。。みんなきれい!

ちびの子供の姿で描かれる主人公、毛虫の子がぼんやりしていてかわいくて、女郎蜘蛛はその子をいずれ食べるつもりで捕まえて一緒に暮らすんだけど案の定情が移ってくるという話。。悲劇しか予想できない…←

みんなのカリスマ・ひぐらしは琵琶を弾いて歌を歌うことができて、それを聴きに夜な夜なみんなが集まってくるんですけど、ひぐらしは自分よりすばらしい歌うたいがいる、それは季節、って言うんです。うんうん。
この場面のひぐらし、神々しかった気がするなー

たいていみんな越冬できずに死んでしまう世界なので、ひぐらしが長生きなことにちょっとびっくりしたけど、このひぐらしは特別に花のみつを吸ってふた夏生きているそうです。
彼らが虫なことを考えると、冬って厳しい季節だな~

毛虫は自分が女郎蜘蛛の餌になることを分かってるんだか分かってないんだかの態度でのらりくらりと暮らしているんですが、ある日毛虫の少年の具合が悪くなり…さなぎになって… 女郎蜘蛛はひぐらしに相談し、あいつが成虫にねえ…と不安げに見守るのでした。

成虫になっても一緒に暮らし続けるのはちょっと意外だったけど、でも最後はさみしい終わり方だった気がする。女郎蜘蛛がどうなったのかは忘れちゃった。。

吉田秋生の描くインドの神様みたいな姿とか天女って、なんて美しいんでしょう… 衣の曲線とかがほんと…神。。

(別冊少女コミック 1980年1月号に掲載)



「十三夜荘奇談」

これはオチを知ると、いやいやラーメンのスープでは(油で浮くから)溺れないでしょ!!って思ったんだけど、どうなんだろう?身動きとれなくなるのかな??それともそのラーメンのスープで溺れた恋人って別の種族なのかな?

オチまでの幽霊話がすごく面白かった。
押し入れから人体出てくる時点で私なら退居します。。

押し入れから転がり出てきた不審な人物とともに、美大生の主人公は銭湯にいったりご飯を食べたりします。

あと、読んだ時の自分がつけたメモにうさぎって書いてあるんだけどうさぎってなんだっけ…。うさぎ、次々現れるんだっけ…。それだとなんかコルタサルの短篇みたい…。「ダッチうさぎ」とか「大きくならないうさぎ」とか書いてあるんですけど全く思い出せません…うーん… 今度読み返してみよう。

(プチフラワー 1981年冬の号に掲載)



その他の作品も一言ずつ~

「夏の終わりに…」
これは「楽園のまん中で」に一瞬でてくる、基くんの親戚・万作さんがでてくる話だった!!家出少女と万作さんが出会う話なんだけど、いかにもひと夏のなんとか風な話だなーと思いきや最後万作のお父さんが関わってくるのでとってもびっくりした!万作、達観しすぎでは?!
(別冊少女コミック 1978年9月号に掲載)


「金の糸 銀の風」
絵本の童話のようなお話。風に愛された少年の話…なんだけど、なんか色々村の中でもめていたような気がする。。
(1982年度作品)


「きつねのよめいり」
狐火って、ふわふわのしっぽで作るんだ…。仲間のいない狐が、本当の親を知りたがる話。でてくるキャラがみんな動物。もふもふ。
(プチフラワー 1982年9月号に掲載)


「ざしきわらし」
田舎で近所の友達とわいわい遊ぶ子供たちのなかに、いつの間にか一人紛れ込んでいるざしきわらしの話。ざしきわらしっぽい子は「気にしなくていいよ、なれてるんだこういうの」と言うんですが、私も小学生のころから存在感なくて名簿とか点呼とかで飛ばされがちなのでそういう時は私も「そういうの慣れてるんで大丈夫です」とか言ったりするんで共感しました。
(1982年度作品)


「アカプルコ・ゴールド」
これ大麻の名前らしいです。大麻を育ててる人の元にみんなが飛んで集まってくる話…だったかな?ってなにそれ?って感じですよね。タバコが高級品なんだって。どういうことなんだろう、いろいろ分かりませんでした。。
(1983年度作品)




こんな雑な感想を書いてしまったので、おまけ↓↓

この「十三夜荘奇談」を見つけた棚の近く(女ま館入り口入って右手側の奥から二番目くらいの棚付近 ※おおよそです)に『BANANA FISH研究白書』という本を見つけ、ぱらぱらと読みました。
アッシュ・リンクスはリバー・フェニックスだったのか!ということが確認できる本です。私は公式の、というか吉田秋生が何らかのインタビューに当時答えていたかとかを全然知らないんでファンの間では当然の見解なのかもしれません(だってこの研究白書が1998年刊行だしもう浸透してるよね)、…って今Wikipedia確認したらモデル二通りあるんだーーー。この点はすでに議論しつくされていたようですね。

私は、去年の秋ごろテレビをつけたら「旅立ちの時」(1988)がやっていて、リバー・フェニックスがご婦人のお宅にピザか何かを配達しているシーンだったんですけど、それだけの姿なのにこの青年は何者なんだ?!👀と思わさせられて本当にびっくりしました。結局そこから最後まで映画を観てしまいました~ 立ち居振る舞いも表情も、本当に特別な感じがするんですよねー これが伝説かあ…と思いました。

『BANANA FISH研究白書』ではアッシュ・リンクスのこと以外も研究されていましたが、ちょっと時間なくて自分もじっくり読めませんでした。読んでみたい方は女ま館へ読みに行ってみてください~


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