「アメリカン・パイ」「アロイス」萩尾望都

しばらくは2021年〜2022年にかけて少女まんが館を訪問した際に読んだ漫画の感想を書いていきます。
2022年4月に少女まんが館へ行ったときに読んだ漫画の感想!

🌷「アメリカン・パイ」「アロイス」萩尾望都

書誌情報:萩尾望都作品集Ⅰ 17「アメリカン・パイ」(小学館)
収録作品:「アメリカン・パイ」、「アロイス」、「白い鳥になった少女」、「赤ッ毛のいとこ」


めちゃくちゃおもしろかった…!けど時間なくて4収録作品全部は読めず…。


「アメリカン・パイ」

ライブハウスの上階に住み込み、夜はライブをやるミュージシャン、グラン・パの元に現れた一人の子ども。
そのみすぼらしい身なりと短い髪でてっきり少年かと思いきや、なんと女の子でした。面倒見のいいミュージシャンはその子を家に住まわせ身の回りの世話をします、そして歌を歌わせます、、、
という話。

今回この記事の作成中にキャラクターの名前を調べるためいつもの神サイト「萩尾望都作品目録」をみたら「アメリカン・パイ」についての解説コメントを目にしまして、マイアミという舞台設定についてや作品中にでてくる音楽のこと、そしてキャラクターの特性など…いろいろ知れてとてもおもしろかったです…!(ぜひ読みに行ってください!)
ドン・マクリーンのアメリカン・パイ聴いてみました。バディ・ホリーも聴きたくなったのですが、以前バディ・ホリーのアルバム持ってたのに引っ越しで手放してしまったみたい…無い…。長い詩って良いですね。。

女ま館ではクライマックスが涙で読めなくなった………
ので、自宅で秋田文庫で落ち着いてじっくりラストを読みました。

どの場面もすごくいいんですけど(あとリューがかわいい)挙げていたらきりがないので……

贈られてきたウェディングベールをリューがかぶってグラン・パと話すシーンがとてもよかったです…。
何年も会わない友達もふらっと帰ってくることがある。グラン・パはそんな友達たちをよく迎えるのだそうです。グラン・パはずっとマイアミにいるから…
ずっと同じ場所で、同じことをしていたって、いいな、、と感じました…


「アロイス」

双子の少年の話。といっても弟:アロイスは生まれるときに亡くなってしまっていて、兄:ルカスの視点で語られます。主人公ルカス(ルカ)は控えめな優等生なのですが、亡くなった弟アロイスと語り合うくせがあります。

これも秋田文庫の「アメリカン・パイ」に収録されていたので読み直してみたんですけど、けっこう記憶と違っていた… ルカの中のアロイスはある日とつぜん話しかけてくるようになったのだと思いこんでいましたが、ルカは小さい頃から内なるアロイスとふつうに語り合っていたのだった。。
やっぱり記憶ってあてにならない…。ほんとに記憶だけであらすじを書いた記事もあるんですが、全然別の物語になっていないか心配です……それはそれで間違いをたのしんで読んでもらいたいです←


おもしろいのが同じ顔なのにルカとアロイスの顔つきが、ちゃんと違っていて書き分けられているところ…
ルカは従順でかわいらしく、アロイスは反抗的で大人びています。

ルカの母を訪ねて来た小説家の紳士(元医者)も話に登場するのですが、この人は知識人なのもあってルカが示すアンビバレントな性質に興味をいだきます。(最初この人が最終的に悪魔祓いみたいに解決してくれるのかと思ってた……)

この小説家の紳士がルカとその友人たちに受精卵のしくみと双生児についての説明をするシーンがあるのですが、「バルバラ異界」の拒絶反応とタンパク質について説明する場面みたいだなあと思いました。古風な外国を舞台とする風情あふれるストーリーでもこんなにナチュラルに生命観を科学するシーンをさらっといれられるなんて……離れ業だ…!と思いました。「アロイス」は二重人格もの(二重人格の真偽はさておき)のような作品なのでもしかしたらサイコスリラーやSFに分類されるのかもしれませんが、、


「アメリカン・パイ」では『自分を忘れないでほしい』という思いにじーん…としましたが、「アロイス」はもともと生まれていなくて『意識』しかないのに、それが消されたらどうなっちゃうの??とハラハラする展開となっていきます。あなたを忘れないよって言ってもアロイスは納得しないのです…(そりゃそうだ…)

アロイスが
ルカの中で
身をよじって
さけぶのを
ルカは感じた
「アロイス」(秋田書店「アメリカン・パイ」)p165

この場面のベタ、怖かったです〜…派手な画面ではないのですが、、

ルカはアロイスをこれ以上、精神の内に留めておけないと追い詰められていくのですが、アロイスもアロイスで自分の意識が消されるのなんてまっぴらで、身体を欲しがるのです。

最終的にルカとアロイスは和解するのかなーと思いきや、、なんと……!続きは読んでみてください。
(追記:「読んでみてください」と無責任に書いたけど刊行中の本では「アロイス」は読めなかったーーーー😭秋田書店さん刷ってください!もしくは少女まんが館へ読みに行ってくださーい🌹)


アロイスは「居た」んだろうなあと思うのですが、居なかったのかも、、と考えてみるとたのしいです。だってそしたら葬式のときの小説家の独白が効いてきますよね。

わたしはリースベルトちゃんがその後交際してサイコパス疲れしないかどうか……心配になってしまいました。。。


「アロイス」のコミックスの表紙を検索してカラーで見た時はなんて素敵なんだーー!ときゅんとしました。
あと自分は十代の頃花とゆめコミックスばっかり買っていたので、花とゆめコミックスのあの枠の中に萩尾望都の絵があるのがすごいレアな感じがして好きです。。


「アロイス」の再読が(少女まんが館に行かないと)叶わない、、と思い込んでいた時にはネットで「アロイス」単行本を買おうかかなり迷ってました。
今思うと秋田文庫版も版元品切れのようなので、買えてよかったーーー👀と思います……


投稿してから気づいたのですが、「少女漫画をつまみよみ」でこれが初の萩尾望都作品の投稿でした…!!温めすぎた。。( ˙꒳​˙ )…。
少女まんが館では漫画を読み続けてその合間の休憩のときに萩尾望都作品を読むようにしている(休憩?)ので実は読む頻度が少ないのです。
が、好きな作品がたくさんあるし、まだ読んでない作品もたくさんあるので、投稿もたくさんしたいです~

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