【連載終わり】「顔だけじゃ好きになりません」を読んでみて思ったこと <ファッションの話と最終回のこと>

やっと、少女まんが館へ行って「世界でいちばん大嫌い」コミックス全巻を読んでくることができました。。
だけど、もうこの記事の書き方を忘れた・・・そして「顔好き」はもう11巻まで発売しているらしいです..🍃ヒュルル..

私がしたかった「ファッションの話」とは、要するに「顔好き」も「せかきら」も服が可愛いなあと思った、ということです!!

私は「顔好き」の才南のパンツスタイルが新鮮で好きだったんですけど、何度読み返しても記憶にある服装が見つからない……なんで?五周くらい読み返して確認したのに…。まあいいか。

少女まんが館で「せかきら」を読み返して、

水嶋先生の結婚式の時の万葉と扇子(せんこ)の服や、
ファッションショーのモデル兼カットモデルを務めるために万葉が杉本に髪を切って貰う日の服や、
杉本の過去篇が始まる直前の万葉の服とか、
東京行くときの万葉の服が

可愛かったなーと思い出しました。
面倒くさいので服装の説明を一切省いてしまったが、素材がコットンとかデニムとかでカジュアルなんだけど、デザインがシンプルな服って感じです。実際自分もそういう服が好きです。

「せかきら」から20年以上経っているので当然ですが「顔好き」の才南はもうちょっと今風で、シーンによっては韓流を好きな若い層が着てそうな服だなと感じました。(ってどんな服?って感じですが、ユニセックスな感じ)

「せかきら」から20年と言ったけど、「せかきら」は秋吉家シリーズの中ではかなり過去のほうの作品なので、作中の時間はもっと昔なんですよね。
作者も過去の話を書いているので登場人物の恰好に気を遣う、流行り廃りのない服を着させているつもりだが、みたいなことをどこかに書いていた気がします(表紙絵やふろく・グッズのイラストカット等では連載当時の現在の恰好をさせてたようです)。私は秋吉家シリーズでちゃんと読んだ&リアタイしたのがこの「せかきら」だけなので、どの作品が連載当時の現在(起点)なのかちゃんと調べてないんですけど、たぶん公式情報でもそこはちゃんと決まってるんじゃないかなと思います。


しかも「せかきら」も「顔好き」もファッションショーがあるんですよね。
さっき水嶋先生の結婚式の服装も挙げましたけど、「せかきら」に描かれる盛装や衣装もかなり好きで、昔読んでた頃は憧れました。美容師漫画なのでヘアアレンジが凝ってるのも好きでした。
ただ、「顔好き」の衣装のジャンルは私にはまったく分からなかった..!!装苑みたいな創作アート系なのかなと思うんですけど、メンズ服だから尚更分からん。。あと「せかきら」終盤(2000~2001頃)にはコスプレカルチャーが顔を出してきますが基本的に「せかきら」はコスプレ以前の世界。「顔好き」は完全にコスプレ以後の世界なので、ファッションの現実/非現実の境界がちょっと違うなと思います。

そういう感じで、「せかきら」って連載初期は特にそうでしたけど絵柄がスタイリッシュだし、恋愛だけじゃなくて職業漫画でもあったし、おしゃれ漫画だったんですよね。
「ご近所物語」(1995~1997)の描くファッションはコテコテで、いい意味でThe Worldだったけど(そもそも矢沢あいの描く漫画はハイブランドの在る世界)、「せかきら」は地方住みの高校生がふつうに美形でかっこよく、ふつうにおしゃれをし、いつの間にかおしゃれな人たちと知り合って、おしゃれな職業を選択していく。スタイリッシュさが何気なさ過ぎて、そのスタイリッシュさに読んでる当時は気づかなかったなあという感じです。たぶん作者のもつ美意識が元々そういう傾向(=強調はしないがお洒落)なんだろうなと思います。

「顔好き」の人たちは東京住みなんですけど(おそらく井の頭線と中央線界隈の人たちだと思われる)、東京ではこういう何気ないスタイリッシュさは成立しない気がしますね。なぜだろう。まあ時代も全然違うけど。
彼らはお洒落なものを経験的に知っているけど自分自身は等身大ファッションを選ぶタイプで、その感覚が東京の人らしさだなと思うんですが、スタイリッシュさって東京では無難さともとらえられるというか、不慣れさと防衛力を却って示す感じがするからですかね。東京で垢抜けるって大変ですよね。


以上、ファッションの話でした。

そして私がここまでダラダラと「せかきら」を引き合いにだして何が言いたかったかというと・・・ってこれもう書いたっけ?と思って記事を読み返したんですけど、私は同じラブコメだからという理由で二作を比較してたのか。(思い出した)

でも私はショックだったんです。私は20年以上経っても似たような漫画を選んで読んでいるのか、、と気づいて…。
せっかく今の時代の感覚が知りたくて「顔好き」を読んだのに、結局「せかきら」と似てるじゃん。自分が昔読んでたものと同じようなもの読んでも仕方ないじゃん…と。

でもこの5つ分の記事を書いて、似てると思った要素も時代の変化を経て変わっているということに触れられたと思うし、今回の記事でも二作品それぞれにファッションショーシーンがあろうとそれぞれのファッション性がけっこう違うということも分かったんですけど、でもやっぱりどうしても、根っこが同じものを見ているような気分になる。。。

根っことは何か、それは編集です!!「花とゆめ」編集部による、大ヒット連載陣の編集方針。読者を惹きつける話の運び方や見せ方です!

根っこはorigin、編集は見せ方。根っこと編集って、指す部位が全然違うじゃないかって感じがしますけど、要は編集で表現の形や方向性を整えることで、バラバラの個性と良さをもつ原案を、沢山の人が読んで楽しいと思える形に仕上げる。私はそれこそが雑誌連載系少女漫画作品の根っこだと思うのです。

ストーリー展開も、主人公の主義主張も、作者の望む方向に進むのではない。すべて編集部が、この形なら読者に伝わりやすい、この思想であれば読者が受け入れやすい、この展開であれば読者の共感を得られる、こういうストーリ上の課題であれば若くて人間関係を学んでいる途中の読者たちが感情移入できる……そういう方針と目的のもとに漫画家を導き、作ってきたからです!
そしてそのノウハウは編集部で秘伝のたれのように連綿と受け継がれてきているのだと思います。だから私は「せかきら」と「顔好き」を読んで、そうかこれが「花とゆめ」編集部の力なのか…!と思いました。

今回少女まんが館で「花とゆめ」本誌も一冊読んできたんですけど、「花とゆめ」ってオタクに振り切った極端な世界観の作品も昔から載せているのでそっち専門の編集者のノウハウは私にはちょっと分からないですが、、とりあえずラブコメ勢はこんな感じなんだな、ということが分かりました。


そして最後に最終回の話ですが、最終回というのはこの記事が最終回って意味じゃなくて「顔好き」の最終回について私はもう予測を立て始めているという話です。というか読んでない巻がもう3冊以上あるのでそれを読んでから言えよって感じですが、やっぱり最終回は才南の高校卒業かなと思います。それまでに先輩の過去の清算(青が好きの話のあたりの過去の人間関係)と進路決め、才南の進路の話題があると思います。そして先輩は将来的にはファッションモデルとか、ほんとうにそっち系の仕事をするんじゃないかな?

進路の話は「せかきら」でけっこうじっくり描かれてるんですよね。少女まんが館で12巻一気読みしてきて改めて思ったけど、「せかきら」って終盤で主人公の就職先の世話を誰にどのようにしてもらうかが懸案事項になる時期があって、なんだか志賀直哉の小説みたいだな、って思いました。

「顔好き」の最終回を予測してしまうのは、なんかもうファッションショーで私は満足してしまい、だいたいここから主役二人の進学までは恋愛イベントと学校行事の繰り返しだなと思うからです。

そして、これも少女まんが館で「せかきら」一気読みして思ったことなんですけど、「顔好き」は主人公に同性の友達がいないのが物足りない…!これも未読の8巻~11巻でどうなってるのか分からないんですけど……いまは友達いるのかな??
才南の唯一の女友達は日常的にネトストをする人で、才南は彼女に言えないことが沢山あって、7巻までだと「ラスボス」扱いされてるんですよね。じゃあガス抜きは誰でしているかというと、先輩のことや学校公式アカウント運営のことも含めて本音で話せる唯一の存在が土井垣君ということになっており、それは都合が良すぎないか?!と思います。8巻でラスボスの彼女とは何か衝突があって、それがきっかけで運営仲間=より近しい友達になるとかいう展開になったのかな?(あらすじから予想しました)

友だちって筍みたいに勝手に生えてくるものじゃないし、近くに生えた筍がたまたま本音を聞いてくれる筍だったとか、そういうことは無いんだよー、友だちは作るものなんだよ!と思います。たしかに「顔好き」に友情を描き込む尺はこれ以上無いように思いますが・・・

(今思い出したけど、少女まんが館で今回一条ゆかりの「女ともだち」最終巻読んでくるの忘れた…)

やっぱり私は「せかきら」の万葉と扇子が好きで、彼らが交わすセリフは大人になった今でも『ほんとそれ大事だよね~』と共感できるし(こういうのが編集部の力…!)、彼女たちもすでに何年も友達付き合いしてるけどそれでも相手の気持ちが分からなくなったり衝突したりする。そのたびにちゃんとお互いの気持ちを言うから関係が続いているんですよね。気持ちを言うのも訓練しないと出来ないしね!私は人を見る時はその人の友人関係は絶対みます…。友だち付き合いってほんと、ごまかしがきかないんでおすすめです。


ふう…やっと書きたい事が一通り書けたので終わりです。(4000字…)

少女まんが館さん、今回もありがとうございました。
私はこのシリーズの記事を「読んだ漫画の感想」マガジンに入れてるんですが、「世界でいちばん大嫌い」全12巻はすでに手元に無いのでぜんぶ少女まんが館さんで読みました。全巻分で記事一個たてるかもしれないです。

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