「修学旅行殺人事件」高階良子

10月に少女まんが館へ行って読んだ漫画の感想です。

🌷「修学旅行殺人事件」高階良子

最近の少女まんが館ご来館者さんが探していたという一冊!気になっていたので読ませてもらいました!!🥰わーい

書誌情報:高階良子「修学旅行殺人事件」(1981、講談社コミックスなかよし、講談社)
収録作品: 「修学旅行殺人事件」、「学園祭殺人事件」


「昆虫の家」のときより絵が美麗になっていた…!!

▼事件のネタバレに触れています▼


「修学旅行殺人事件」

京都への修学旅行中に一人の男子高校生・薫が、同じ制服姿の何者かに撲殺される。薫の幼馴染である主人公・亜里(あり)が同級生たちと情報交換しながら真相をあばいていく話。

主人公の亜里がとても感じのいい子なのとハッピーエンドなのとで思ったよりほっこりしました…!!

たしか薫より亜里のほうがひとつ年下で、同じ高校に通っています。だから薫のほうが先に修学旅行に行くんです。

また、前半の薫と亜里のほっこりカップル具合は以前読んだ「うわさのふたり」の主人公と虎川くんのようでした!
同級生が騒ぐのをみて「薫ってそんなにかっこいいかしら」とようやく薫を改めて意識するような無垢な亜里なのでした。

序盤で薫の父が亡くなってしまうのですが、葬儀の後、亜里がそばにいてくれたから泣かないでいられたよと打ち明ける薫と、それに対して「わかっていたわ」としずかに微笑む亜里の場面もよかったです。
『クラスのみんなが薫をかっこいいって言うのが実は自分にはあんまりわからなかったけれど、今の薫を素敵だと思ったわ…』というようなことを素直に伝える亜里にきゅんとしました。。
セリフメモし忘れたので引用できませんでした、、😭

高階先生の思い描く、ふたりが心から愛し合い信頼しあう関係とはきっと一貫してこういうものだったのかなあ…と感じました。


あと薫の事件が起きて、亜里を気遣ったり事件について真剣に意見を交わしたりしてくれる友達とのやりとりも和みました。
萩尾望都「3月ウサギが集団で」や大島弓子「ヨハネが好き」など、賑やかなシーンのある学園ものがちょっと好きだからかもしれません。


薫の存在の大きさをあらためて思い知り悲しみにくれる亜里。しかし、薫の幽霊が町中や学校に現れた…という謎の噂が流れ、なんと亜里も薫の姿を目にします。

蓋を開けてみるとその幽霊の正体は、町のホテルに父親と滞在中の青年だったのです……薫はなぜ彼とそっくりなのか……亜里は真相に近づいていきます。。
…という感じに話が進んでいき、最終的にきちんと事件が解決します。


この作品を読んだ人なら誰もが一箇所、気になると思うのですが、、、
死後に生き返ることのある家系って、何?!👀
もしかしたら薫の血縁の家系のことについてもう少し説明が書いてあったかもしれないですが、自分が読み飛ばしてしまっていたかもしれません…。

それにしても薫は正義感があり、まっすぐな気持ちのよい青年で、「うわさのふたり」の虎川くんのメンタリティを引き継いでいるなーと感じました。
自分の中で『気持ちのよい好青年』の代名詞が虎川くんになりそうなのですが、虎川くんが誰なのかなかなか周りの人に通じないところがさびしいです。。風早くんはいろんな人に(たぶん)通じるのに。。


「学園祭殺人事件」

お嬢様の主人公・美春(みはる)は演劇部の部長・源(みなもと)さんが好き。
しかし美春の父親に取り入ろうとする演劇部OB・長谷さんがよからぬことを企て…、そしてさらに演劇部のあこがれの女性の先輩・栄(さかえ)さんが源さんに恋愛感情をいだいていることがわかり…、そうこうするうちに美春が奇妙な事件に巻き込まれていく…というお話。

美春ははじめから長谷さんのことがあまり好きじゃないのですが、なぜ長谷さんをよく思わず源さんのことを好きなのか、さらっと美春のセリフで書いてあり、それがけっこう大切なことのような気が自分にはします。
(これもメモし忘れた😭)

やっぱり「昆虫の家」の明石さんのように邪念がなかったり、太陽のように生まれながらに温かい人ってこの世にはいるもので、友だちであれ恋人であれそういう人と関われることで自分の陰の部分が救われていったりもするんですよね。逆にそれを妬んでしまったり、相手の明るさに対して自分の内の闇が引き立てられる感じがしてしまったりすると、よくない方向へ堕ちていってしまうのですが。。
「学園祭殺人事件」の美春の場合は美春も温かい人だし、源さんと明るさによって引き合わされている感じがしました。


この事件は解決編にたどりつくまでほんとうに殺人が起こってしまったと思って、読んでてハラハラしました。。

大人の目線で読むと栄さんのエスカレートしてしまう弱さもわかるというか…
栄さんについて書き込むと大人向け心理漫画になりそうです。
しかし栄さんについては同情するけど長谷さんについては特に何も。。自業自得。。という感じです…

ラストシーンの手向けられたお花がなんか怖かったです…!
事件は解決したはずなんだけど、、自分が読み落としてることがなにかあるのかな!


最後に……、ちょっと長めの付け足しを!

少女まんが館のオーナーさんとお話した際、高階良子先生の自伝的作品があると教えていただきました!
調べてみたのですがおそらく「70年目の告白〜毒とペン〜」(既刊2巻)だと思われます! 
さらに高階良子先生の他の作品についてもお話が聴けました…!

「70年目の告白〜毒とペン〜」は今1巻を読み終えたところで、虐待描写も生活苦も読んでいてくるしいのですが、、思いのほか伯母さんの心変わりにダメージくらいました……
まじかよーと思いましたが、昔の大人っていい加減ですよね…今も昔も変わらないかもしれませんが。。
占い師が予言した、家系から出る成功者って高階良子先生では?!

あとこれを読んでふだん忘れていたのに蘇ってしまった記憶があり、、
おそらく中学の卒業式前日だと思うんですけど何が原因かまったく覚えていないのですが何かで叱られて母親から顔を叩かれ、しばらくしたら少し腫れて、母親のほうが「卒業式なのにどうしよう」とうろたえ始めたことを思い出してしまいました……
自分としては卒業式に何の思い入れもなかったし、『じゃあ叩くなよ』と思いつつもそんな顔の形が変わるほど腫れたわけではなかったのであんまり気にしていませんでした。しかし母を「ひどいよ!」とも責めなかったし「気にしなくていいよ」とも気遣わず終始無言でいたので母はさぞかし不気味に思ったことでしょう…。今思うと変にフォローしなくてよかったなと思うので自分の態度は正解だった気がします。だからずっと忘れてたんだし……
今回思い出して気づいたのですがこの件以来叩かれることがなくなった気がします。頭叩かれるのはふつうだったけどなんであの時は顔を叩かれたんだろう?
ちなみに母は姉も私も叩いて叱る人でしたが、『姉のお尻を叩いたら自分の手がすごい腫れた』と繰り返し言ってました。手とかティッシュ箱で叩かれました。高階良子先生のお母様は棒を使っていたので手に豆くらいはできたかもしれませんね…
そう思うと暴力って相手にダメージを与える代わりにその分自分にも身体的負荷がかかる行為です。それでもいいから暴力をふるいたい…!という強い気持ちがなければできないことで、暴力を奮っている人は理由が何であれどこかストッパーの外れた状態に陥っているからそれが可能なのでしょう…
ちなみに我が家の親は未熟な親ではありますが、自分たち子どもが生意気でくそガキだったために叱られたことの方が多いのでやたら暴力的な親というわけではないです。。

あと中表紙の森の絵がすごい…!!
描ける人にしか描けない絵のような凄みを感じました。


最初はほんとにタイトルだけで手にとった作家さんでしたが、作風もバックグラウンドもボリュームのある作家さんに偶然出会えていた、、ということがわかりました……
自分は引きがいいのだろうか!と思ってしまいそうです。

しかも初めて見つけた日には時間が足りなくて読めなかったんですよね、、(たしか「天ない」の掲載誌を全部確認したくて、「りぼん」をしらみつぶしに読んだ日)
その次に訪問したときもまだなんとなく気になっていて、それでようやく読むことができたのでした。


今思うと「昆虫の家」って根源的な絶望が描かれていたなーと思います。
その絶望がいろんなバリエーション(変奏)となってその後のいろんな作品に表れているんじゃないかなと思いました。

↑の「修学旅行殺人事件」や「学園祭殺人事件」が読みやすいのは明るい人たち側からみた世界が描かれているからかなーと思うのですが、わたしはこれを読んでいると『「昆虫の家」の明石さんが見ていた世界だな』と感じてしまいます。そしてきっとそこには同時進行して存在したはずの別の闇の視点の物語があるんだと思います。


次はやっぱりホラーとかオカルトに振り切れた作品を読んでいきたいです…!


あといい加減長いのですが、もうひとつ付け足し!
今回は茶話会にも参加できました!

オーナーの大井さんが紹介されたコマをみて、「血しぶきがすごいですね…!!」と思わず口に出してしまうくらい楽しかったです!

茶話会のあとも参加者の方々とお話するなかで、『なぜ小学館文庫のカバーを全然別の人が描いているのか問題』についての話が聞けたのも驚きました!

うちにある大島弓子

女ま館で参加者の方から見せていただいたのは新井苑子さんが描かれたカバー絵の「11人いる!」でした。うちにある大島弓子のカバーは川井輝雄さんという方が描かれていました。。
これ注文して届いたときすごいびっくりしたんですよね……


今年最後の女ま館訪問が終わりました〜
また来年です。。。
この日は一条ゆかりの「女ともだち」2巻が読みきれなかった…残念…
中断してるけどほんとは「オルフェウスの窓」も読みたいんだけど。。


女ま館が休みの間、どうしようかな、、と少しずつ考えてまして、
じつは自分は漫画喫茶が苦手で、一回も行ったことがないのですが、でも出先で漫画をちょっと読むっていうのをやりたくて、
だったら『漫画が読める喫茶店みたいなところ』(きっとあるはず。ひとつ目星は付けました)に行けばいいじゃないか!…と気づいたので、漫画が読める喫茶店みたいなところに行って漫画を読んでみようと思います。

あと実は去年から今年にかけて女ま館で読んだ漫画でまだ感想を上げられてないものがけっこうあって、もし記事にできそうなくらい文章が書けたらUPしていこうかなーと思います。
女ま館で読んだ漫画の感想はもともとインスタでちょろちょろ一言感想を書いていたので、その文章もちょっと使いつつ膨らませられればいいな…。

あと新しい漫画も読んでみたいです。自分の思う新しい漫画とは…うーん、「さよならミニスカート」とか……いま「花とゆめ」で連載中の「顔だけじゃ好きになりません」の広告を電車で見て以来ちょっと気になっているんです……既刊5巻までなので追いつくのに丁度いいし、設定もツッコミどころが多いし、何より自分が惹かれないストーリー(!)だからこそ、おもしろかったらどうしよう(←)とか、、逆になんの哲学もなかったらどうしようとか、、いろいろ気になるので読んで確認してみたいです。


女ま館よ、、また来年~🌸

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