食べることと作ることは生きること。あと考えることも。

休みの日に、作り置きをしながらこんなことを考えた。

どう考えてもこの時間が1番自分を大切にできている。
自分を大切にするというのは簡単なようで割と難しい。
ていうか多分世の中には肉体的であれ精神的であれ、自分を傷つけながらじゃないと生きていけない人間が一定数いるはずだ。
例えば私とか。
まあ、私以外に聞いたことないけど。いやこんなこと他人に言わないか。当たり前だ。

そうこうしているうちにハンバーグが焼き上がる。おお、我ながらいい出来。1番上手くできた気がする。
火を消して焼き上がったものはお皿へ。
残りのタネをざっと拭いたフライパンに載せて点火。
温野菜にするための野菜を切りながらまた考える。

物語や言葉に影響を受けやすい人間だと思う。
だから私の場合は物語によって傷つくことで生きている、みたいなところがある。
鬱小説というやつが読みたい時期があるのはそういう理由だろうか。最近そんなのしか読んでないが。ディストピアとか。幸せな話、最近読んでない。ハッピーエンド受け付けられてないのか？そんなことないと思うけど。

切り終わった人参と水を鍋に入れて点火。
土より下の野菜は水から。母の教え。
残りの葉物をざくざく切って、フライパンを見る。
うん、いい感じ。
ひっくり返して、蓋をして、弱火。
鍋が煮立ったら残りのものを入れてこちらも蓋。

ディストピアが読みたいのはなぜだろう。やっぱり現実がディストピアっぽいからだろうか。
どんどん近づいてってる感じがするもんな。『ハーモニー』のWarchMeってほぼスマートウォッチだし。スマートウォッチ欲しいなと思うのに『ハーモニー』があんなに気持ち悪いの何でなんだろう、いやめちゃくちゃ好きだけど。

野菜をザルにあげて、水を切りつつ冷ます。
ハンバーグは片面焦げた。まあいいや。人に見せるものじゃないし。
同じようにお皿に乗せる。

現実がディストピアってあんまり笑えないな、面白いけど。
だとするなら、考えることをやめれば多分幸せになれそう、うん。
考えずに生きていけば、世の中に流されるように生きていけば幸せになれそう、そういう登場人物多いし。
でもそういうのって私にはできないんだろうな。
だって作り置きしてんの考える余裕を作るためだもんな。

ハンバーグは2個ずつラップに包んでジッパーバッグに入れて冷凍庫、温野菜はタッパーに入れて冷蔵庫。
その他いろいろ作ったものもそれぞれ冷凍庫と冷蔵庫に振り分ける。
はい、来週の作り置き完了、と。

---

こんな生活を始めて1年経った。
日常生活のテーマは「いかに考えないか」。
勢いで動いていかないと何もできなくなる。
ご飯は後、先にお風呂。
朝は何もできなくても仕方ない。その代わり夜と休みの日に。
そして私をずっと悩ませていた「食」もこの度解決を見せた。

食べる、ということにあまりこだわりがないのかもしれないと思ったのは一人暮らしをしてからだ。
一人暮らしの作り置きなんて2日に1回、下手すれば毎日同じものを食べることになるし、アレンジなんてしないのでお弁当は同じものを毎日詰めることになる。
「飽きた！」ってなる人もいるんだろうけど、私はそんなこともなく毎日飽きもせず同じものを食べている。
コンビニとかに入って食べたいものが分からない、ということが日常茶飯事どころかいつもそう。甘いもの食べたいと思って入ってもそう。
外食も大体そう。自分の体が面倒くさいことこの上ない。

コンビニに入って、何も買わずに出ていくことが、まあ多分3回に2回くらい。
あとの1回は目的があって入っている(ミンティア買うとか朝ごはんとか)のでちゃんと買って出ている。
ちなみに朝ごはんで買うものは決まっている。ローソンのチョコもっちロールみたいなパン、名前忘れた。
ファミマとセブンは決まってないのでできればローソンに寄りたい。
話が逸れたけど、要するに食べたいと思うものがあまりない。
好きな食べ物は嫌いな食べ物以外と答えたい人間なので。実際に言ったことはないけど。
そういう人間は毎日ご飯を考えることがもうとんでもなく苦痛なのだ。主婦とか主夫ってこういう気持ちなのだろうか、多分違うな。
面倒くさいし苦痛、でも食べないといけないし買うなり作るなりするのは自分だけ。どうしようか。

だから作り置きなわけだ。
これなら週に1回だけ食べたいものを考えて作っておけば何食べていいか分からないときも、食べるものはあるので適当に何かは食べられる。
考えることが減ってほくほくだ。大満足。
その分の時間と余裕は他のことに使える。
作り置きの時間はそのための準備で、いわば来週の自分が生きるための準備時間なのだ。

考えなきゃ生きていけない。
そのための準備をする。
ほら、1番自分を大事にできてない？　
ともすれば自分を1番傷つけてるのが自分なのだから、たまには大事にしておかないといけない、いやほんとに。
理由もなく、落ち込む時期がある。
なんか落ち込んでる、と見つめる自分と心が追いついていない。
心が空っぽな感じ。掬い上げようとしてもそもそもそんなものがない感じ。
その時期に入るのには何の前触れもない。
だからせめて食べることは放棄しないように、来週の自分の余裕があるか分からないから準備をしておく、死なないように。

ていうことで声を大にして言っておきたい。
作り置き別に偉くもなんともないから！！！！
これ全部自分のためなんで！！！！他人のために作ってるものないんで！！！！他人のためになんて多分しないし！！！！

心の余裕があるからしてるわけじゃない。
むしろ心の余裕を作るためにやってる。

褒められることにちょっとモヤモヤとしながら、今週も来週の自分のために生きる準備をする。
そうやって私は生きている。
そうやってでしか、多分生きていけないんだろうな、と思う。
そんな日常生活。