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アガサ・クリスティー「そして誰もいなくなった」日高新報2024年7月18日付掲載ブックレビュー
全世界で1億部突破の大ミステリー小説である。
イギリスの西部の孤島(兵隊島)にいわくありげな10人が集められた。
元判事(無実を死刑にしたことがある)、元教師(生徒を溺死させたことがある)、元大尉(戦地で部下を誤った命令で死亡させた)、老婦人(使用人の娘を自死に追いやった)、青年(スピード狂でひき逃げをした)、元警部(犯人を死亡に追い込んだ)、医師(手術中に患者を死亡させた)、元陸軍将軍(敗色濃厚の戦地に部下を派遣し死亡させた)。そして孤島の別荘の執事夫婦である。それぞれに恨まれる理由がそこにはあったのである。
リビングの暖炉の上には10個の小さな兵隊人形が置かれていた。そして1人死ぬたびにそれが減っていく。
次々に死んでいく登場人物たち。彼らを招集したのは、U・N・オーエンなる大富豪であったが、この物語には何故か登場しない。
オーエンを繋げてスペルを綴るとUNknow、つまり『知られていない』となる。人々は自分たちの中にU・N・オーエンがいるのではないかと疑い始める。そして最後に衝撃の結末が待っていた。
解説の赤川次郎は本作品を次のように解説している。
-ミステリーはもともと「知的で粋な」娯楽であったはずだ。時代が求める変化は当然のこととして、「時代を超えた面白さ」も一方に、厳として存在する。その代表作に、「そして誰もいなくなった」をあげることを、私は少しもためらわない。-
猛暑の夏休み、エアコンの効いた部屋で、ミステリーに親しんでみるのもいいのではないだろうか。
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