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机上詩片⑦「のっぺらぼう」

パパのえを かいたよ

おおきな パパの えがおの え

パパに みせに いったよ

パパは つまらそうなかおをして いったよ

「パパは つかれてるんだ あとに しなさい」

やがて ぼくのえのパパの えがおが いなくなったよ


ママのえを かいたよ

やさしいママの えがおの え

ママに みせに いったよ 

ママは おこったかおになって いったよ

「ママは いそがしいの あとに しなさい」

やがて ぼくのえのなかのママの えがおが いなくなったよ


ぼくのえを かいたよ

えのなかのぼくは ないていたよ

そのえは だれにもみせなかったよ

やがて ぼくのえのなかの ぼくのかおが いなくなったよ


かぞくのえを かいたよ

のっぺらぼうの かぞくのえ

パパも ママも みてくれなかったよ

やがて ぼくのえのなかから かぞくが いなくなったよ


せかいのえを かいたよ

のっぺらぼうの せかいのえ

どれがぼくだか わからなくなって

やがて ぼくのえのせかいから 

ぼくが いなくなったよ


あるあさ かがみを みたよ

かがみにうつったぼくには 

かおが なかったよ

なみだをながす めも

えがおをつくる くちも

なんにもない そのかおを みて

それが ほんとに ぼくなのか わからなくなって

やがて ぼくは せかいから 

いなくなったよ


さいごに そらを みたよ

そらは とっても あおくて あおくて

のっぺらぼう だったよ

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