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不正が起きない工夫が施された仕事【音声と文章】

山田ゆり
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※本日はいつもと違う声になってしまいました。口の中に脱脂綿を入れているため、サ行が特にできず、発音が変になり、お聞き苦しいと思いますが、これで通します。
生きていれば不都合は起こりえるものだから^^





高校を卒業したのり子は、本社が東京で地元に支店がある小売業に就職した。


事務所の入り口のドアを開けると左側に銀行の窓口のようなところがあった。
そこが、のり子の職場だった。

のり子の先輩は4歳年上がお二人と2歳年上がお一人で、4人態勢で3つの仕事をしていた。

小6から高校三年生まで友達のいない寂しい学生生活を過ごしたのり子だったが、会社に入って人に恵まれた。

のり子は相手に不快な思いをさせたくない一心で、いつも笑顔を絶やさなかった。



先輩方は皆さん優しい方ばかりで善人しかのり子の周りにはいなかった。

誠意を持って対応をすると相手は喜んでくださる。のり子を虐める人は誰も居ない。全肯定されていると感じたのり子は仕事に対して積極的になった。

自分が誠意を持ってすればするほどのり子に対して相手は良い反応をしてくださる。


自分はここにいていいんだ。


自分の存在を肯定できる場を得て、のり子はのびのびと仕事をした。

それは小6から7年間の暗く寂しい思いのダムが決壊したような感じだった。




のり子達事務係の仕事は大きく分けて「窓口」と「金庫」と「売上計算」の3つ。

「窓口」は銀行の窓口のようなところで両替をすること。


営業中、各レジにお札が集まり、小銭が足りなくなる。
だから、決められた時間に各レジ係から両替を頼まれる。
売り場の男性社員が各レジから両替依頼のカバンを預かり「窓口」に集まる。
男性社員は中に入っている両替票と合計金額のお金を確認してトレーに入れて窓口に出す。

分厚い透明なアクリル板の窓口は、トレーを出し入れする分の大きさだけ切り抜かれていて、立っている人の口元あたりに話が聞こえるように小さな穴が円状にあけられていた。


事務の窓口担当のメインの人が中央の机のところに座り、その隣にサブの人が座る。

サブがトレーを受け取り両替票の縦計をそろばんでパチパチ音を立て検算をする。計算が合っているのを確認して、隣の両替メイン担当にトレーを渡す。

メイン担当の左側キャビネットの中には金種ごとに棒金が箱単位で入っている。

キャビネットの上には万券、五千円札、千円札、それぞれ専用の木箱が置いてあり、両替票の空欄にトレーに入っていたお札の枚数を記入して木箱にお札を入れる。

カラになったトレーに今度は両替票の脇にチェックマークを記入しながら棒金を乗せる。

全ての棒金をトレーに入れ終えたら、メインの人はもう一度両替票の縦計をそろばんでチェックする。

そして複写になっている両替票を切り離し、上の方を目の前の伝票差しにガシャッと挿す。

複写の下側の両替票はそれぞれの棒金が積まれたトレーの一番上にある1円の棒金をすくい上げそこに両替票の控えを乗せて、メインの人は立ち上がり「202番さ~ん」とレジ番号を言い、窓口の隙間からトレーを出す。



窓口担当者はこの一連の作業を行う。
「両替」は一日に数回、決められた時間に決められた音楽がなりみんな窓口に集まってきていた。

この両替は日中、売り場の男性社員との交流の場になっていて、楽しみの一つだった。
それがご縁で結婚された先輩もいらっしゃった。



事務の3つの仕事は毎日担当が入れ替わっていた。

それは、毎日、億単位のお金を扱っているから不正防止のためなのだと、のり子は感じていた。

毎日違う仕事をしていたから、マンネリもなく、「今日はあの仕事だ」という楽しみもあった。

また、もしもその人しか知らない仕事があると、例えば急病で休んだり入院などしたら、たちまち業務が滞る。だから、事務係全員が全部の仕事ができるそのシステムは他の会社でも取り入れるべきだとのり子は思う。




会社では普段はあたり障りのないBGMが流れているが
「雨が降ってきました」
「両替」
「レジの中の膨らんだお札を回収」
「レジが混んできました」など、
それらを知らせる音楽が決まっている。


例えば雨が降ってきたら上からの指示がなくても入り口にカサ袋とそのゴミ受けを店頭に設置するようになっている。

「レジが混んできた」という音楽が鳴り出すと、バックルームで作業していた人たちがレジの袋詰めを手伝いに集まってくる。


何もかもが新鮮で面白い。
のり子は水を吸うスポンジのようにいろいろなことを吸収していった。


そんなのり子だったが、ある日、生理痛が酷く我慢できなくなり、先輩方にお話をして会社の保健室的役割の部屋に向かった。




長くなりましたので、続きは次回にいたします。



※脱脂綿をかんだ状態で読み上げていますのでお聞き苦しくて申し訳ございません。当人は、なかなか無いことなので、この状態を楽しんでいます。

※note毎日連続投稿1800日をコミット中! 1787日目。
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どちらでも数分で楽しめます。#ad 

~不正が起きない工夫が施された仕事~
未来を知るためにネガティブな過去を洗い出す 



※今回は、こちらのnoteの続きです。

https://note.com/tukuda/n/nc686a6f01156?from=notice

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