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長かった一日【音声と文章】

山田ゆり
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※音声と文章、どちらでも楽しめます。

おはようございます。
山田ゆりです。


今回は
長かった一日
ということをお伝えいたします。



病気療養中の重役がお亡くなりになった。
出棺・火葬・通夜があったその日のできごとをお伝えしたい。


本社は道路に面しているところにある。
前日に男性社員が歩道の雪を排雪したこともあり
歩道に雪は少ししかなくスッキリしていた。
私たちは寒空のなか
道路に向かって横一列に並んだ。

あの独特のクラクションと共に
重役のご遺体が乗った霊柩車が本社の前を出発した。
私たちは一斉に深々と長い時間頭を下げていた。


重役の出棺が終わり
私たちはそれぞれ仕事に戻った。


やがて、あと数分でお昼休憩になるという時に
内線でKさんと私は社長に呼ばれた。

お昼に社長に呼ばれることは日常茶飯事のことである。
「お願いだからお昼は休ませてほしいよね」と
Kさんと二人でヒソヒソ話しながら私たちは社長室へ向かった。

私たちは社長室の打ち合わせのテーブル席に座り
社長のお話をお聞きした。

社長は本日の通夜のスケジュール表と
式場での人の流れの図を私に渡し、
1枚コピーするように言われ、
私はカラーコピーをして社長室へ戻った。

「この図のように人が歩いた場合、
流れがスムーズにいくようにするには
どんなところが気になるか。
その気になる点を二人で洗い出して

それを式場の係の方に確認して
そしてそれを受付やクロークや香典返しなどの
それぞれの係の方々に説明してほしい。」と社長がおっしゃった。

だから、集合時間よりも少し早く行って
式場の係の方に確認をしてほしいとおっしゃった。


社長室から出た私たちは
「とりあえず、お昼ご飯たべよう」という事にした。

Kさんは用があってご自宅へ向かった。


私はスケジュール表と人の流れ図を見比べながらお弁当を食べた。
自分の席で食べている時に社長がいらっしゃって
それらを今日お手伝いする人数分コピーして
式場で皆さんに配るようにと言われた。

私は数分でご飯を口の中に詰め込み
食事を終わらせ
その書類を人数分コピーした。


まわりの女子社員は勿論、お昼休憩中だった。

コピーが終わったころにまた内線が鳴り
私は社長室に入った。



社長は今日のお手伝いの人が
うちの会社の人間であるとお客様に分かるように
急遽、名札を作ってくれとおっしゃった。

この時間にそれをするのか・・・。
先ほど指示された疑問点の洗い出しはこれからだ。
その前に、集合時間が早まるから
遠方の営業所の方にその時間の訂正の連絡もしないといけない。

疑問点の洗い出しを社長が指示してから
まだ10分くらいしか経っていないのだが
社長の中では既に過去のことになっている。

社長は年齢に比べてとてもアイディアが浮かぶ方だと思う。
次から次へとアイディアが浮かび
私たちは何はさておき、社長の指示に従う。



新しい指示である名札。
社長は名札の大きさや仕様の要望をおっしゃった。

男性は背広に胸ポケットがあるから
名札を止める箇所はワニ口で。
女性に胸ポケットは無いから
安全ピンでとめるものでなければいけない。
流石である。
社長の心配りはいつも細かいところまで行き渡っている。

その名札を事務用品のお店から30個
買ってきてすぐに名札を制作するようにとおっしゃった。

社長がおっしゃる大きさの名札が
どこで売っているかは分からないが
Kさんに買ってきてもらってことを進めなさいと言われた。
あいにくKさんはまだ帰ってきていない。

彼女を待っていてからでは遅すぎると私は思った。
普段は「ハイ」のひと言で引き下がる私だったが、
私はダメもとで社長に提案をした。

今日、事務所には4人の女子社員がいる。
事務係はKさんと私で、
他に別の部門の女性が二人いらっしゃる。

社長は事務係の私たち二人にだけいろいろ指示を出されているが
きっと後のお二人は、疎外感を味わっているのではないか。

Kさんはまだ戻っては来れず
彼女を待っていたら時間がもったいない。

だから、
残りのお二人にも準備を手伝ってもらってはどうだろうか
と社長に提案した。



私はいつも社長のイエスマンである。
社長がおっしゃった通りに私が動く。
社長はそれを求めていらっしゃるのが分かるから
自分が思ったことをいつも飲んでいた。

しかし、今は、通夜のお手伝いに出発する時間まで
あまり時間がない。

Kさんがいないことは勿論だったが
私は「自分も何かお役に立ちたい」と思っているだろうと察して
お二人の気持ちを気遣った。

イエスマンの私が時々、自分の意見を言う。
その日の社長のご機嫌次第で怒鳴られることはこれまで何度もあった。
それはそうである。
社長のご機嫌を損ねたかもしれない。
今日もそうなるかもしれないと私はあきらめた。



すると社長はそれもそうだと思われたようで
社長はお二人に名札の件をお任せした。


任されたお二人は突然舞い込んだ仕事をイキイキとされた。

一人が買いに行って、運よく、
1軒目の事務用品専門店で丁度良いものを見つける事が出来た。

もう一人の方が、PCで名前のデザインを作り、
印刷して切るなどをしてくださり
名札はあっという間に出来上がった。

Kさんがやっと戻られて
まずは集合時間を決め、遠方の営業所へ集合時間の訂正の電話をした。
そして次に二人で問題点を考えた。

いつもよりザワザワな事務所は一体感で包まれていた。

私たち女性社員は
お通夜のお手伝いの為に出発する時間まで
今日はもう自分の仕事はできないと諦め
その準備だけに集中した。

出棺・火葬・お通夜があったその日は
最近の忙しさの中で
一番、いろいろなことがあった一日だった。


その日は式場についてからもたくさんのことがあったが
長くなったので別の機会にお伝えしたい。





今回は
長かった一日
ということをお伝えいたしました。

本日も、最後までお聴きくださり
ありがとうございました。 

ちょっとした勇気が世界を変えます。
今日も素敵な一日をお過ごし下さい。

山田ゆりでした。




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