画像1

ぶちょうのお通夜【音声と文章】

山田ゆり
00:00 | 00:00
※note毎日連続投稿1357日コミット中。1318日目
※音声・文章、どちらでも楽しめます。



おはようございます。
山田ゆりです。



今回は
ぶちょうのお通夜
ということをお伝えいたします。


昨年定年退職されたぶちょうのお通夜に行ってきた。
その日は会社がお休みの日だった。

ぶちょうのお通夜は
「一般の皆様はご焼香のみのご会葬でお願い致します」
というものだった。

それは全従業員に向けた社内メールの訃報にも
書かれていたから私は承知している。



昨今のコロナ禍で葬儀のカタチも様変わりしている。
喪服に着替えて出向き、香典をお渡ししてお焼香をしたらすぐに帰る。
以前だったらありえないことだったが
今はそのようなカタチが増えてきているのは
新聞のお悔やみの広告欄で知っていた。

しかし、私はこのカタチに行くことは初めてだった。
尊敬するぶちょうのお通夜である。

もしかしてお焼香をしたあと
席に座ってもいいのではないかと甘い期待をして通夜に向かった。


駐車場で同僚のB子さんに偶然お会いした。

ああ、良かった。

会いたかった人と偶然に会えて私は安堵した。
B子さんに挨拶をして一緒に式場に入った。



手指の消毒と検温を済ませ
自動ドアの取っ手に手を近づけドアが開いた。

正面に受付があった。
私はそこに一瞬向かおうとしたが
正面は他家の受付だった。
B子さんは自然なしぐさで左の階段に向かった。

さすがB子さんである。
おっちょこちょいな私とは違う。

普段会社では前髪を後ろに持ってきて、
バックルで留めているだけの彼女が、
今夜は後ろで三つ編みにし、
両耳には真珠のイヤリングがついている。
その清楚な雰囲気が私は好きだ。


私は彼女に従うように宮殿のような階段を昇って行った。



登り切った右側に受付があった。


B子さんは静かにバックから香典を出し、
受付で記帳し始めた。

私はコートを預けて番号札をいただいたりして少し手間取っていた。



私は香典入れから香典を出して
受付で一礼し両手でお渡しし記帳をした。

記帳を終え、香典返しを受け取り通夜の会場へ向かった。

「焼香だけでお帰りの方はお荷物をこちらに置いて焼香をお願いいたします」
案内の方にそう言われ、テーブルに荷物を置いて私たちは式場の中に入った。



B子さんのあとに私が続いた。
彼女はまっすぐ進み、いったん止まって左側のご遺族の方々に一礼をして右側の方に進んだ。
私は一礼後、左側に進んだ。

焼香は全部で3つできるようになっていた。


祭壇の前に立った。
通常よりも大きな写真があった。



焼香台の前で一礼
右手に持っていた数珠を左手に持ち替え
右手で抹香をつまみ
額におしいただいて
抹香を香炉の炭の上にくべる

もう一度右手で抹香をつまみ
今度は額には持ってこず
まっすぐ抹香を香炉の炭の上にくべる

遺影に向き直して合掌



お写真は背景も着ている服も白っぽいものだった。
そして白髪が目立っているぶちょうのお顔は
背中からの光で全体的にほわぁっとしていた。


いつものあの笑顔があった。
私の知っているぶちょうだった。



合掌しているうちに涙があふれ出た。


少し長めに合掌したあと
ご遺族に一礼をして式場を出た。


本来だったらそのあと式場の椅子に座り
通夜が始まるまでそこで待っている。


しかし、今回のお通夜は
その椅子が20個くらいしか用意されていなかった。

つまり、一般客は焼香のみで帰らなければいけない
ということを如実に表している。


もしかしたら私一人くらい
そこに座っていても許されるのではないか
と思ってお通夜に来た私だった。



廊下でB子さんに
「私は残っていたいんだけど、B子さんはどうする?」と聞いたら
「メールで焼香のみ、って書いてあったし、
あの椅子の数からして座れないと思う。」と言って帰っていった。



彼女だったら一緒に残るかなと思っていたから、
ああ、私の考えは甘いのかと思った。


それでも私は未練があった。
社内の誰か一緒に残ろうと思う人はいないかなと思い、
ロビーで少し座っていた。



ざわざわと10人くらいの集団がいらっしゃった。

コートを渡している時に
「焼香の後はどうされますか?」
「残っているよ」
その会話が聞こえた。
その会話を聞いて、じゃぁ、私も便乗しようかなと思った。

しかし、見ると私の知らない方々だった。
雰囲気からしてかなり近い親戚の方々だと想像できた。



少し経って、製造部門の男性陣がやってきた。
恐らく、休日出勤で現場に行かれ、
会社に戻って着替えて皆さんでお通夜にやってこられたのだろう。

焼香が終わって戻ってきた皆さんに挨拶をした。
皆さんはなんのためらいもなく帰っていかれた。
集団行動をしているからしかたないことだ。



私はもう少し待つことにした。


すると営業のCさんがやってきた。
お亡くなりになったぶちょうとは仲が良かった方だ。

私はCさんに近寄り、挨拶をして
Cさんが焼香からお戻りになるのを廊下で待った。



ほどなくしてCさんが式場から出てこられた。

私はCさんにすぐお帰りになるのかどうかをお聞きした。
もしかして一緒にお通夜に参列できるかも
と淡い期待をしたからだ。



しかし
「う~ん。一般の人は焼香のみって書いてあるし、
椅子がちょっとしか用意されていないから、
我々は居てはいけないのかもしれないなぁ。
だから、このまま帰るよ。」

そうか。

私はそこでやっと諦めた。




人は自分の行動の理由付けを知りたいと思う。



お通夜の時に喪主からの挨拶で
故人の最近の事をお話しされる場合がある。

ぶちょうの近況やなぜお亡くなりになったのかを私は知りたかった。



コロナ禍でいろいろなことが変わってきて
私たちはその変化に対応している。



昨日の常識は今日の非常識。
そんなことはたくさんある。



過去は過去



過去にとらわれずに
今を生きよう



目じりに深いしわを作りながら
ぶちょうがそうおっしゃっている


そんな気がする。










今回は
ぶちょうのお通夜
ということをお伝えいたしました。

本日も、最後までお聴きくださり
ありがとうございました。 

ちょっとした勇気が世界を変えます。
今日も素敵な一日をお過ごし下さい。

山田ゆりでした。



◆◆ 無料メールマガジン ◆◆
http://yuuki2.com/l/u/Z4bGUPjaVPxU6Dk5



◆◆ note有料マガジン ◆◆
【自分のための人生】
https://note.com/tukuda/m/m5b66808db98c


◆◆ アファメーション ◆◆
.。*゚+.*.。.。*゚+.*.。.。*゚+.*.。

私は愛されています
大きな愛で包まれています

失敗しても
ご迷惑をおかけしても
どんな時でも
愛されています

.。*゚+.*.。.。*゚+.*.。゚+..。*゚+

サポートありがとうございます💖サポートされたお金はプリンターのインク購入に使わせていただきます🤣60代ですが毎日noteを執筆中です😄素敵なnoterさんへ恩送りさせていただきます🎁kindle書籍も出版しています📚