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41歩の世界(ショートショート)【音声と文章】

山田ゆり
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※note毎日連続投稿1515日をコミット中!
1474日目。
※聴くだけ・読むだけ・聴きながら読む、
どちらでも短時間で楽しめます。





おはようございます。
山田ゆりです。


今回は
41歩の世界(ショートショート)
をお伝えいたします。



玄関のドアを開けると湿った匂いがした。
風除室に入る階段がしっとり濡れていた。

傘を取りに行くのが面倒で
私は肩をすぼめながら駆け出した。
袋の中のペットボトルがガラッガラッと揺れる。

音を消すために袋がギュッとなるように握り直しながら
1、2、3、4…と数えて歩く。

41でゴミ収集場についた。

既に箱の中には袋が置かれていた。
こんなに早い時間に出す人がいるんだ。
もしかして昨夜の内に置いていたのかもしれない。

空を見上げる。
今朝は小鳥たちの姿がない。
小雨の日は小鳥たちもお休みなのかもしれない。


立ち止まっていると雨が自分だけにめがけて降ってくるような感覚になる。



誰か来るかもしれない。
長居は無用だ。

さっ、帰ろう。


私はくるりと向きを変え、
車が来ないか左右を確認してから
1、2、3…と数えながら駆け出す。

来た時よりも身軽だったから歩数は減るかなと期待したが予想に反して行きと同じ数だった。


41歩だけの世界。
重厚なドアに手を伸ばす。

それは、コンフォートゾーンの境目。
重厚なドアを開ければ
自分を守ってくれる場所がある。
努力とか成長とか意識しなくてもよい居心地の良い場所がそこにある。

頑張らなくてもいい場所。
肩ひじ張って自分を守ろうとしなくてもいい場所。

出来ればずっとそこに居たい。
我慢とかごめんだ。


一日に一回だけ41歩往復するだけの生活でいたい。


それは現実的なことではないと分かっている。



この場所があるから私は外で働ける。

自分の意見を言えない弱虫

嫌味を言われてもニコニコして傷ついていないふりをする自分

認めてもらいたいのに目立ちたくない

失敗したくない気持ちが多すぎて新しいことにトライできない逃げ腰な自分


そんな面倒な性格の私でも生きていられるのは
ドア1枚で私を守ってくれる場所があるから。



朝のたった41歩でも私にとっては緊張する世界なのだ。






今回は
41歩の世界(ショートショート)
をお伝えいたしました。

本日も、最後までお聴きくださり
ありがとうございました。 

ちょっとした勇気が世界を変えます。
今日も素敵な一日をお過ごし下さい。

山田ゆりでした。



◆◆ アファメーション ◆◆
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私は愛されています
大きな愛で包まれています

失敗しても
ご迷惑をおかけしても
どんな時でも
愛されています

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