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身に覚えのない自動引き落とし(ショートショート)【音声と文章】

山田ゆり
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※note毎日連続投稿1700日をコミット中! 1688日目。
※聴くだけ・読むだけ・聴きながら読む、
どちらでも数分で楽しめます。




おはようございます。
山田ゆりです。



今回は
身に覚えのない自動引き落とし(ショートショート)
をお伝えいたします。




昭和の時代、ひとりの若者が高卒で、ある町工場に就職した。
特別秀でたものがない、平均的な若者だった。
町工場の親父さん(社長)はとても親身になってくれる方だった。

世の中の事を何も知らない若者に対して初めての銀行口座開設は親父さんがやってくれた。

若者は親父さんの言うとおりに署名し、届出印は親父さんが用意してくれた。そしてキャッシュカードを渡された。

「これでお金が必要な時に下ろせばいい。通帳もあるが記帳しなくてもだいじょうぶだから。」
世間知らずの若者は親父さんからキャッシュカードを受け取り、その後はお金がいり用な時に少しだけお金をおろして使っていた。
通帳と印鑑は渡されなかったが世間知らずの若者はそれを不自然だとは思わなかった。



一人っ子で母親と二人暮らしで他に身寄りのない若者は親父さんから仕事のことは勿論、人間として生き方・考え方をたくさん学んだ。

親父さんのおっしゃる世界は若者にとって全て正義だった。
だから、身の回りに起こることは全て親父さんに話をしていつも相談に乗っていただいていた。


若者は周りの人よりも呑み込みが遅い方だったがそれでも数年後には一人前に仕事ができるようになった。



ある日、彼は自宅の建て替えを余儀なくされた。
住んでいる土地が市の都市計画にかかり、立ち退かなければいけなくなったのだ。


他の土地に家を建てる分以上のお金が市から入ってくることになった。


彼はすぐに親父さんに相談し、親父さんはとても喜んでくれた。

そして、いままでの給与振込の通帳を解約して、新しい通帳を親父さんが作ってくれキャッシュカードを彼に渡した。




定年間近になった彼は、ある件で、昭和の時代の通帳の出し入れを確認しなければいけないことになった。


何でも相談していた親父さんは数年前に会社を去られ、彼の知らない場所で暮らしている。
だから今は何でも自分で考えて生きていかなければいけない。



ずっと通帳記帳をしたことが無い彼は金融機関に相談に行った。
1,100円の手数料を支払い、1時間以上待たされて当時の通帳の動きを知ることができた。

彼の目的は果たされた。


しかし、よく見ると、当時、自分の知らない引き出しがたくさんあることに気づいた。

〇〇リースとか、〇〇ファイナンスとか。
そして、マイナス残高になることが多く、給与振込でプラスの残高になるのだが毎月のリースやファイナンスでまたすぐにマイナス残高になっていた。


彼はその引き落としに全く記憶がない。

ずっと通帳記帳したことがなかったから、彼はそれには全く気が付かなかった。


親父さんはいい人だったが、競馬・競輪・パチンコに興味がある人だった。
そのことで、時々若者からお金を借りることがあった。




さて、自分に身に覚えのないリースやファイナンスという引き落としはいったい何だったんだろうか。







今回は
身に覚えのない自動引き落とし(ショートショート)
をお伝えいたしました。

本日も、最後までお聴きくださり
ありがとうございました。 

ちょっとした勇気が世界を変えます。
今日も素敵な一日をお過ごし下さい。

山田ゆりでした。








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