朧の読書記録 #2
標野凪『こんな日は喫茶ドードーで雨宿り。』双葉文庫,2023年
令和5年6月28日〜7月12日 読了
いったい涙ってどれだけ在庫があるのだろうか。
この本にはそんな言葉がある。
前作『今宵も喫茶ドードーのキッチンで。』に続く今作も、全5話の短編集からなる。悩みを抱えた主人公たちが、おひとりさま専用カフェ「喫茶ドードー」を訪れ、店主そろりの料理で元気になる物語だ。
今作の5話全て、共通するのは「言葉」だったと思う。「言葉」ひいては「言霊」
自分が発した言葉、他人からの言葉、全て魂が宿った言霊によって、心が雨模様になっている5人いや6人それぞれの言葉にまつわるお話だ。
ぜひ読んでいただきたいので、細かい内容の紹介は省いておく。
代わりに、わたしの心に残った言葉たちを紹介することで、この本の読書記録としよう。
ただ一つ言うとするならば、第一話に登場する主人公に影響を与える後輩、榊はづきも喫茶ドードーを訪れることができますように。
わたしの言葉に対する思い出、考えにしっくりきた文章の備忘録
わたしに新しい考え方と勇気をくれた文章たち
連続テレビ小説第104作『おかえりモネ』が好きなわたし。
この本を読んで思い出したシーンがあった。
人の相談は聞くことができるのに、自分の深いところの話をする勇気がないわたし。
それがどうしてなのかちょっと分かったような気がしたこのシーンの言葉を、この本の記録にも添えて、終わることにする。
生きてきて、何もなかった人なんていないでしょ 何かしらの傷みはあるでしょ
自覚しているかしていないかは別として
毎日笑っている人も何かしら傷みはあるよね 何も言わないだけなのかもね
言えないですしね 相手の方がつらいんじゃないかって思うと
体の痛みも心の痛みも本人でなければ絶対にわからないんですよね