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散らかさないミリオンカードのススメ

先日こんな動画を出しました。結構反響があったので嬉しかったです。

実はこれ、実際にサロン以上の規模の営業で披露しているルーティンの一部です。

ハンドル付きの袋の中から、トランプケースを取り出します。箱からトランプを取り出し、箱は袋の中へ。トランプをファンで広げ、袋の中に落とし入れる。そこからファンプロダクションを行い、一枚出し連続、小手返しからのファン。そして袋の中に手を入れると、実は底が空いていて、トランプも箱も消えてしまう、というルーティンです。

このルーティン、自分の中で結構気に入っていまして、今回の記事では、参考になる人がもしかしたらいるかなーということで、シェアしようと思います。

ここから先は、割とマジックの秘密に触れざるを得ない箇所も出てきますので、ここから先はマジックをやる方のみ読み進めていただくよう、よろしくお願いします。

いわゆる「映画レビュー動画みたいな導入」です。それでいうと、茶一郎さんっていう映画評論系YouTuberさん、めっちゃ面白いのでぜひ見てみてください。唐突な宣伝でした。


営業では散らかせないからミリオンカードはできない?

サロンやステージの営業だと、ミリオンカードとかCDマニピュレーションとか、派手なマニピュレーションってやっぱりやりたくなるんですよね。お客さんとの距離も遠いですし、遠くの人まで伝わるマジックとなると尚更です。

自主主催のステージとかであれば、花吹雪まで使って派手派手にやるほうがインパクトもありますしシンプルに受けるので、好き放題散らかせます。

が、営業となるとそうもいかない。なるべく散らかさないで、入退場に片付けはなるべくスムーズに行いたい。散らかったままの部分があると、それはクレームに繋がってしまう可能性すらあります。


そうなると「ステージ散らかしマジック部門」殿堂入りのミリオンカードは、営業のネタとしては、なかなか入れづらくなってしまいます。ミリオンの練習とかしてても、後々「え!そんなとこからカード出てくる!?」みたいなことが発生するくらいですし。


学生のときに、インターロックプロダクションとかパーフェクトプロダクションの複数枚出しとか練習したのに、全然使えないじゃん…そんな風に思ってた時もありました。

そんなときにあるDVDに出逢います。


ミリオンカード、衝撃のオチ

あるDVDと言っておきながら、名前を忘れてしまいました。DVDもメルカリで売ってしまったので、わかった方はコメントで教えていただけると嬉しいです。

ミリオンカードをしているマジシャン。右手からはどんどんカードが出てきます。そのカードは、左手に持っている箱の中へと落ちていきます。最後、カードが出切ったと思いきや、おもむろに右手を箱の中へ。すると、手が箱を貫通します。その箱には底が無く、今まで出していた大量のトランプが忽然と消えてしまう、というマジックでした。

これを見たとき、「トランプ消えたー!すげー!」と同時に「これなら散らかさなくていいじゃん!」と歓喜に沸き上がりました。

それから箱を制作し、ルーティンの中にミリオンカードのアクトを入れるようになります。まずは5枚カードの演技をして、その後にファンプロダクション、出し終えたら底がないエンディング。

個人的にはミリオンカードというマジックは、マジシャンだ!というイメージにものすごくぴったりですし、遠くからの視認性もかなり高いため、ぜひとも取り入れたいマジックの一つでした。

トランプが消える箱の導入により、散らかすことがなくミリオンカードができるようになったのです。

ただ、やればやるほど、あることが気になり始めます。それが…



肝心の箱が邪魔くさい

この箱は木材で作ったもので、少し大きめに作ってしまったこともあり、荷物の持ち運びの際に、かなりかさばって少し邪魔くさく感じるようになってきました。

まあ少し小さく作り直せば良かったのですが、「今は使えてるしまあ後でもいいか」という「妖怪さきのばし」が現れて、なんとなく使い続けていました。妖怪ウォッチに出てきそう。


そんな時に、あるひらめきが生まれます。それが今回の動画でも使用した「チェンジングバック」の活用です。

自分が使っていたものは、袋の下にチャックがついているタイプで、そこを開けて手を通すことでより中が空ということを演出できるタイプでした。実はこの機構、買った当初は全然気づいていません。部屋の掃除をした際にチェンジングバックの説明書が出てきて、「そういや読んでなかったなあ」と思って読んでみたら、「え!そんな機能ついてたの!?」とびっくりした次第です。

説明書等はよく読みましょう。笑


そこで、そのチェンジングバックでの動きと、先程の箱の底がないことを示す動きが、全く一緒だということに気がつきます。チェンジングバックに変えてみたところ、箱と同じようにウケたので、それ以来バッグを使うようになりました。

箱よりも圧倒的にかさばらず、荷物の持ち運びがよりスマートに。こうして、散らからないミリオンカードのアクトが完成したのでした。めでたしめでたし。


新しいものは「既存✖️既存」で生まれる

というわけで今回の記事では、散らからないミリオンカードができた流れをご紹介させていただきました。ちなみに「オリジナルです!」というつもりは毛頭ありません。きっと誰かが似たようなことを考えついていると思います。

(オリジナルです!って豪語したら、Twitterのマジックオリジナル警察、もとい、有識者の方々がクレジット教えてくれそうな気もするけど。笑)

若い方々に多いですが、オリジナルのマジックを作りたい!と思ってる方は、かなり多いと思います。ただ、マジック界隈は割と研究しつくされている気がしまして(特にカードやコイン等)、0から1を作るのはかなり至難の技かなと考えています。むしろ0から1を作れる人を天才というのでしょう。

オリジナルを作りたい人こそ、いっぱい勉強をするべきです。そして、一つの分野だけではなく、その他たくさんの分野の知識も吸収するべきです。重なり合わないと思われる2つのもの、また3つ以上のものの掛け算によって、新しいものって案外生まれますよ。

日々、新しいマジックを目にすることをマジックオタクとして楽しみにしています。


そして、今回の記事が、ミリオンカードやステージマジックが好きな人、そしてマジックを愛する人のためになることを心から願っています。最後まで読んでいただきありがとうございました。


月乃輪ウルフ

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