どうしてダブルカットをすると「怪しい」と言われてしまうのか
こんなツイートを見つけました。
「ダブルカット怪しい問題」
皆さんもこのようなセリフを言われたことがあるのではないでしょうか。僕もダブルカットを用いたトップコントロールをした時、「今一番上に持ってきたでしょ」って言われたことがあります。
こういった理由から、パスやDPSなど「何もしていないように見えるコントロール」が人気なのかなあと思っています。
実はこの問題について、結構深く考えたことがあります。その結果、ある持論を導き出しました。
「怪しく見えるのは、カットの文化が日本に定着していないからでは?」
こう考えたきっかけは、レナートグリーン氏のレクチャーDVDがきっかけでした。今日はこの持論について、書いていこうと思います。
先に言っておくと、めちゃくちゃマジックや技法の話が出てきますので、種明かしとかを気にする方は、こちらで読むのをストップしてください。まあ、今これを読んでいる方は、ほとんどマジックに興味のある方だとは思いますが。笑
ロゼッタシャッフルとカットの関係
レナートグリーン氏の『MASTER FILE』というDVDの中でロゼッタシャッフルという混ぜ方について触れています。ロゼッタシャッフルとは、デックを二つに分けて、その二つをくるくるとひねって円形状にとした後、それらを押し込んで混ぜ合わせるというシャッフルです。よくわからん!って人はぜひ調べてみてください。
このシャッフルの解説の中で、レナート氏はこんなふうに語っていました。
「デックの横と横を噛み合わせるシャッフル(欧米で主流のファローシャッフルのような混ぜ方)は一回だけやったとしても、観客は混ざったとは思わない。3回行なってカットすることで、ようやく混ざったと納得する。
リフルシャッフルも一回では納得しない。2回やってカットを行なって、ようやく混ざったと思う。
しかし、ロゼッタシャッフルは、一回だけでよく混ざった納得する、カットも必要ない。」
これをみたとき「あー確かにそうだなー」と思いました。これ実際やってみるとわかりますが、リフルシャッフル一回だけだと、なんか気持ち悪く感じるんです。2回やってようやく混ざった感が出るんですよね。
しかし、ここで先程のレナート氏の言っていた事と自分の感覚の中に「ある違い」があることに気づきました。それは「カットをしなくても混ざった感はあるな」という事です。
先程のレナート氏の発言をよくみると、必ずカットの話が出てきています。ここでカットの話をするということは、それには必ず意味があるはずです。そうしてある結論に辿り着きました。
欧米人は「カット」に対して絶大な信頼を置いている」
つまり「カットをすれば混ざる」という価値観を欧米の人は持っているのではないかと考えました。
イカサマ防止としてのカット
「トランプゲームといえば何を思い浮かべますか?」と言われたら、日本ではババ抜きや大富豪、七並べとかを想像するでしょう。ですが欧米では、トランプゲームといえば、ポーカーやブラックジャックなどを思い浮かべ、日本と全く違うものを想像します。しかも、欧米はトランプというと、ギャンブルといったイメージも少なからずあります。
スリーカードモンテがわかりやすい例です。欧米では、手軽な賭け事としてよくスリーカードモンテをするらしいです。演出でよく1ドル札出すものとか見ますよね。あれはこういった背景からきています。
でも日本で「スリーカードモンテをしましょう」って言っても「何それ?」ってなりますよね。ルール説明を挟まないとまず通じません。それぐらい、日本はトランプにギャンブルのイメージがないということです。
そう考えると欧米では、自分のお金が取られるかもしれないわけだから、イカサマとかもめっちゃ警戒するわけです。そのイカサマ防止として「カット」というのを必ずするようになり、「カットの文化」が形成されているのだと考えます。
そして日本では、トランプゲームは「ただの遊び」なので、そこまでイカサマを警戒することもないため「カットの文化」はないのでは?と考えたわけです。
そして、このカットの文化や概念がない故に、次のようなことが発生します。
カットが怪しく見えるのは、ヒンズーシャッフルのせい
日本人が一番混ざっているように感じるのは、リフルシャッフル、次点でヒンズーシャッフルだと思います。ただリフルシャッフルは一般の人でなかなかできる人はいないので、ヒンズーシャッフルが一般的だと思います。
ここでヒンズーシャッフルを詳しく分析してみましょう。
右手でカードを持ち、左手に4〜5枚ほどの束を渡していきながら、混ぜていくものです。僕は大体9回ぐらい、束を左手に渡すとヒンズーシャッフルが終わります。人によって個人差はあると思いますが、大体10回前後だと思います。だいたいこれを2~3周します。つまり20~30回前後のパケットの移動がある訳です。これが日本人が「混ざった」と思うシャッフルです。
では、ダブルカットトップコントロールはどうでしょう。デックを右手で持ち、下1/3を左手に渡して、右手パケットの上に置き、これをもう一度行う。
そうです…たった2回です。
30回のパケットの移動をもって「混ざった」と認識する人に、2回しか混ぜていないシャッフルを見せたらどう思うでしょうか?答えは歴然です。
そう考えると、ダブルカットは「混ぜた」というよりも「移動させた」という認識になるのも不思議ではない、といえるでしょう。
リフルシャッフルが結局最強
じゃあどうすればいいのって話だと思いますが、ダブルカットの後にリフルシャッフルを必ず付け足せばいい、と僕は思います。
日本人のリフルシャッフルに対する信頼感は、欧米のカットに対する信頼感に似てる気がします。これを2回やっておけば、相手は混ざったと、たいてい思ってくれます。(中には疑い深い人も稀にいますが)
ただ、僕が一番お勧めするのは、前田知洋氏のコントロールの流れです。
好きなところに相手のカードを差し込んでもらい、そのカードを確認した後にコンビシングコントロール、そしてオーバーハンドシャッフルをしてコントロールし、リフルシャッフル。この流れが、日本人が一番混ざったと思う流れではないかなと思っています。
これは、狙ってやっているのかどうなのかは、前田さんにいつか聞いてみたいです。
今回のまとめ
以上が、カットはなぜ怪しく見えるのか、に対する僕の見解でした。
日本にはカットの文化がなく、ヒンズーシャッフルと比べると混ぜてるようには見えないため、カットが怪しく見えてしまうのでは、ということでした。
皆さんはこれについてどう思いますか?是非コメントを頂けると嬉しいです。
余談ですが、カットの話なので、遊戯王のパンドラの話も盛り込みたかったのですが、めちゃくちゃ長くなったので消しました。Twitterとかで軽く触れるかもしれません。笑
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月乃輪ウルフ
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