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岩手でおすすめの温泉

 温泉はお好きですか?

 たいていの人と同じように私も大好きです。少し時間をさかのぼって、春先に岩手の温泉に行ってきました。
 そこで、ぜひおすすめしたい温泉に出会ったので紹介させてください。

岩手からのお誘い

 岩手の温泉は初めてだったのですが、現地の友人から遊びにおいでと誘われたので遠出することにしました。

 ちょうど桜のシーズン。

 桜を見ながら温泉三昧などと想像したら、がぜんやる気がマックスです。

 ではどこの温泉に行くべきか?
 友人に尋ねると「鉛温泉が最高! 藤三旅館がいいよ」と即答されたので、すぐに宿へ電話を入れました。
 今回は、割安に泊まれる湯治プランというものを選択します。食事のグレードはおちますが、他のお客さんと同じ源泉に入れます。

 ノープロブレム!
 
 二泊三日。車に妻をのせ、旅行バックをひっつかむと高速道路をひた走りました。目指すは、岩手県の花巻です。

岩手の桜 展勝地(てんしょうち)

星空の下で命の洗濯 -桂の湯-

 夜7時頃、山あいにある藤三旅館に到着しました。
 都会と違い、宿の周囲は真っ暗です。
 川沿いに建っているので、さらさらと絶え間なく流れる水の音がBGMになっています。

 前もってお願いしておいた晩御飯をいただき、さっそく「桂の湯」という露天風呂に向かいます。タイミングよく他のお客さんはいません。

 ひとり占めです。
 
 ランプ風の電灯の薄明りに照らされ、湯舟からは湯気がユラユラと立ち上っています。
 湯の華で白くなった浴槽の縁に立ち、暗い川面を眺めれば、川の水音以外は何の音もしません。

 久しぶりの贅沢な時間です。

 まずは身体を洗おうとシャワーの蛇口を回すと、硫黄のにおいがするお湯が出てきました。
 なんと源泉シャワーです。もう、びっくりですよ。

 よっぽど湯量が多いのですね! さすがに秘湯は違うとすっかり感心してしまいました。

 源泉シャワーで体を洗い終わると、いよいよ湯船に入ります。
「ふー」と息を吐きながら、おもむろに湯舟に身を沈めていきます。
 ぬるからず熱からず。
 ちょうどいい温かさとともに源泉のエキスが身体に沁みとおってきて、思わず「ああー...…」と声が出てしまいます。

 身体がくつろぐにつれ、しみじみ助かったと思いました。
 実は、ここに来る前に病院から高血糖を指摘されていたのです。大慌てでダイエットを始めたのですが、気づかずに放置していたら糖尿病になっていたかも知れません。あぶないところでした。

 星空の下でぷかぷか温泉につかっていると、なんだか空を飛んでいるような気になります。

 花巻といえば宮沢賢治。

 まるで『銀河鉄道の夜』に登場する機関車に乗っているかのようです。
 いつもはカラスの行水の私ですが、この時ばかりは他のお客がくるまで30分もお湯につかってしまいました。

 お湯は無色透明に近く、癒しの力を感じる泉質です。まさに命の洗濯でした。
 すっかりゆるんだせいか、その晩は温泉からあがると湯上りのビールも飲まずにすぐ布団に入ってしまいました。

星空の下で(温泉は撮影禁止なのでイメージ)

驚きの有料ガスコンロ

 翌朝、湯治客向けの自炊用キッチンに行くと見なれない機械があります。なんと有料のガスコンロでした。

年季を感じさせる有料コンロ

 コイン投入口から10円を入れると、10分ほどガスが出てきます。ヤカンいっぱいのお湯を沸かすのに、ちょうどいい感じです。
 こういった有料ガスコンロは初体験で、今回の旅は驚きの連続です。
「まだまだ日本は広いのだな」とすっかり感心してしまいました。

温泉で宇宙遊泳 -白猿の湯-

 翌日のメインは「白猿の湯」です。
 かわった名前ですが、宿の解説によれば由来はこうです。

 約600年程前、宿の創業者のご先祖様は山で樵をしていました。
 ある日、ご先祖様は、岩窟から出てきた白猿が木の根元から湧き出る泉で傷を癒す姿を見かけます。
 実は、それこそが温泉の湧出だったのです。その泉を掘って拡張し、しだいに現在のような温泉となりました。

 我々にはありがたい話なのですが、温泉を使えなくなった猿は、その後どうしたのでしょうか?
 少し心配になりました。しかし、白い動物は神様の使いという言い伝えもあります。きっと、山の神様が温泉の場所をご先祖様に教えてくれたのかもしれませんね。

 「白猿の湯」の素晴らしいところは、源泉が湯舟の底からポコポコと湧きだしていることです。つまり、まだ空気に触れていない生の源泉にひたることができるのです。

 なんて素晴らしい!
 そんな温泉、箱根にもないのではないでしょうか?

 注意すべきは、深いところだと水深が1.2メートルもあることです。
 なので、入浴は立ったままとなります。身長の低い方やお子さんは、浴槽の縁につかまってお湯につかるのがいいでしょう。

 湯屋はうす暗く、天井はとても高いところにあります。
 まるで夕暮れのような電灯の下、透明な源泉の中を立ったままフワフワと浮かんでみます。
 お湯の中なので、無重力のように体を軽く感じます。まるで宇宙飛行士になったかのようです。
 宿の静けさもあいまって、本当に宇宙に浮かんでいるかのようでした。

 宮沢賢治も鉛温泉がお気に入りだったそうなので、もしかしたら温泉に浮かびながら、機関車が天をかける姿を想像していたのかも知れません。

天かける橋(温泉は撮影禁止なのでイメージ)

まとめ

 温泉旅行はまさに非日常。
 転地療養としても良かったですが、お湯にひたるのがあれほど気持ちよかったのは鉛温泉が初めてです。
 おかげですっかりリフレッシュできました。後ほど合流してきた友人には深く感謝です。また行きたいと思います。

 岩手を訪れる機会があったら、鉛温泉に立ち寄ることを強くおすすめします。温泉好きの方なら必ず気にいるでしょう。

 最後までお読みいただきありがとうございました。

鉛温泉 藤三旅館


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