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【roots2】 《26章》なぞとき

次の日、デイブはルビーにもサイラスの事を聞いてみた。ルビーは記憶に無いと答えた。
「オーウェンにも聞いてみたんだ。僕は前の記憶が曖昧だから…」
「ほら、前にデイブが書いた本を読んでみたら?何か思い出すかも知れないし」とルビーが提案してデイブはリビングのソファーに寝転がり自分が書いた古い本を読み返した。
特別それらしいくだりはなかった。
もしかしたら…キツネの所でデイブが落ちた穴に植えた枝かな…ってくらいだ。

昼過ぎにオーウェンが4階に上がって来て
「もしかしてなんだけど、デイブが生まれた記念に木を植えたりしてないかな?」と言った。
「どうしてそう思ったの?」デイブは素直に聞いた。「これ。俺のつけてるこの日記のココ」と表紙の紋章の様な刺繍を指差した。
「由緒正しい生まれなんじゃないか?」続けてもう一冊分厚いビロードの表紙の本を出して指差した。「アルバムにもついてた、ホラ。少しすり減っているけれど同じだよな。これ1000年もっているとしたら相当しっかりした作りじゃないか?」
「本当だ…同じマークだね。ルビーのにも付いてるのかな?」デイブがルビーを呼んだ。
「ルビー!日記とドレスを見せてくれない?」
ルビーが持って来てテーブルに広げた。ドレスに付いているタグは文字のようなものは形跡だけで見えなかった。日記には同じ紋章が入っていた。
ルビーは箱のようなハードカバーに入れてあるのでくっきりと紋章が残っていた。
何故かオーウェンと同じ辺りがすり減っていた。
「同じだね」
「俺が守り番で、ルビーは案内人。デイブがこの紋章の持ち主の王か…王子か…ってこと?」
「どうして僕はこの日記を持ってないんだろう…」
「読み書き出来なかったとか?」
三人は顔を見合わせてもう一度紋章に目をやった。
「これを調べたら、この旅の秘密がわかるかも知れないね。どうしてあの廊下にいたのか。なぜ10歳まで閉じこもっていたのか…」デイブは紋章を手でなぞりながら、ずっと不思議に思っていた事を口に出した。確かに始まりが唐突だった。
突然廊下にいた訳を未だに知らないのだ。
「先入観を持たずに慎重に調べてみよう」オーウェンが静かに言って2人を見た。真剣な目に2人もうなづいた。
「明日、図書館に行ってみる」とデイブが言うと
「一緒に行くよ」とオーウェンが言ってくれた。

次の日朝から2人で図書館へ出かけた。
街を歩くのが久しぶりでデイブは緊張していた。
チェイスはどこにもいない。それなのに、なんだか心はぎこちなく。ざわめいた。
オーウェンが一緒で本当に心強かった。

図書館に着くとまずは、紋章ばかりが載っている本を探した。
やたらと分厚い本。
開いた途端に古い紙の匂いがした。
借りては帰れない本だったので机に広げて、
ここで調べることにした。
オーウェンの日記帳と並べてじっくりと比べてみる。中々同じ紋章と出会わない。
三分の一は見ただろうか。ため息がでだした頃、
今はもう存在しない国の紋章が良く似ていることに気がついた。
「これ似ているね。ここが少し違うかな…」
その後、似ているものも同じものも見つけられないまま見終わった。
もう、お昼過ぎ。
望みは一つ。たった一つ似ていた、この国の歴史を調べる事にした。
それにしても、全く同じではないから。
2人は肩を落としていた。

to be continue…
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少しずつ紐解かれる
全てを最初から知ってたら
どうしてたかな📙☕️

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ワクワクとドキドキと喜びと幸せを🍀
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