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【roots2】 《11章》目を覚ませ!

サイラスに言われた通りに、それぞれの家の周りに葉を撒いた。
新しい家の周りにはタイラーに頼んで。
キツネ三兄弟、ペリカン兄弟の家や店にも撒いたり置いたりしてもらった。
魔術めいたものからは少しでも遠ざかる事が出来たのではないかという安心感に包まれ一息ついた。

オースティンは起き上がり食事が出来るまでに回復していた。自分を責め続けている姿が心配だ。
デイブも前にオーウェンがチェイスにやられて入院した過去がある。
その間に、僕も成長出来た。だからオスカーも目を見張るよと励ました。

「どうしてTVや電話、パソコンを置かないんですか?」とオースティンが聞いた。
「ケーブルから侵入されやすいだろ?警備をダメにされたくない」オーウェンが答えると
「だからって、手紙が安全だとは言えないんじゃ?」オースティンの質問に今度はデイブが答えた。
「だから一緒にいるんだよ」
「情報は外にいる5人がくれるからね」
オーウェンが続けるとオースティンはうなづいた。
「僕はインターネットに頼りきりで、そこで見えるものが本物とは限らないですよね」
「疑ってばかりでは生きられないさ。」とデイブがオースティンの気持ちに寄り添った。
「騙すより、騙される方がいいって考えなんだ」
とオーウェンがデイブを見てからオースティンを見た。
「相変わらず息が合った二人ね」とルビーがお茶を運んできた。
「1000年の仲だからね」と二人は笑った。
「僕もそんなふうになれるかな」オーウェンは
「なってるさ!体が治ればオスカーの声が聞こえてくるよ。「オースティン来てくれ!」ってさ」
と明るく答えた。
「また信用してもらえるかな」オースティンが肩を落とした。オーウェンはオースティンの肩に手を置いて「心配して電話してきたんだぞ。オースティンを助けたい一心で危険を冒したんだ。オスカーを信じないでどうする?」と言った。
「電話?いつ?オスカーから?」とルビーが割って入った。「まぁまぁ」とデイブが
「2人で乗り越えて行こうと思い直してくれて良かったし、僕たちも元気出して行かなくちゃな」と言ってルビーが落着いたのを見て続けた。
「僕がオーウェンを失っていた時。どんな事をしてでも取り返さなくちゃってずっと思っていたよ。あの床に落ちていた血の跡を2度と見ない!と強くなれたんだ。オスカーも同じさ」
それを聞いてオースティンはため息をついて
「デイブさんは強いから」と言った。
三人は大笑いして「どこを見てそう思ってる?」とオーウェンが聞いた。オースティンは勢いよく不満そうに。
「どこを取ってもですよ。皆んなを守って戦える。本も読みました」と言った。
デイブは嬉しそうに「ありがとう」と言うと、2人にいつまでも笑うなよとつついた。
ルビーが笑いながら「私はいつまでも6歳のままでいて欲しいのよ。皆んなに助けてって言える事はとっても大切な事なのよ。最近のデイブはカッコつけようてしていて。少し嫌なの」と言うと
オーウェンはまた大笑いして
「可哀想だろ。そう言うこと言うなよ」とますます笑った。そんな2人をデイブは嬉しそうに眺めていて。三人の絆から生まれている言葉の中にある三人にしか見えない愛情が羨ましいと思った。
兄弟。家族。まるで自分自身のように全てを受け入れ合える存在だと信頼している。
「僕も早く2人に会いたい」オースティンがポツリと呟いた。
デイブがその手を握って「まずは自分だ。しっかりしないとまたつけ込まれる。一度入られたという事はチェイスは入り易いと思ってる。揺さぶりに勝つんだよ。オースティンには僕たちがいる。この顔を思い出すんだ。皆のために負けないと。
大丈夫。体を治せば心も強くなるよ。君は守り番の運命の子なんだ」と満面の笑顔で言った。
40歳近いオースティンはしっかりと目を閉じてデイブの前では小さな子どものままになり、深くうなづいた。

to be continue…
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たった1人でも、何を言っても愛情を感じられる人がいてくれたら幸せだね🍀


毎週水曜日更新📙✨

ワクワクとドキドキと喜びと幸せを🍀
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