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【roots2】 《8章》燃えたもの・2


リビングのソファーに座ってコーヒーを飲んだ。香りと温かさにデイブは少し落ち着きを取り戻した。
「落ちついた?」ソファーにあぐらをかいて座るルビーが軽く聞いた。
「うん」
「背中は?」デイブは正直に「痛いよ」と笑って言うと、その様子に安心したように
「数日大事にしていたら治るわよ」と言ってますます明るく「あ!お腹空かない?」と聞いた。
「いつの間にこんな時間…僕が何か作ろうか?」
「作れるの?」ルビーはびっくりしてすぐに聞き返した。
「作れるよ。何が食べたい?」
ルビーはお腹に手を当てて「すぐに食べれるものを」と言って笑った。

明るい声が聞こえたらしく、オーウェンが上がって来た。
「お邪魔するよ」「オーウェンいらっしゃい」
ルビーが答えると、軽く手を上げて答えてデイブを見た。
「デイブ、大丈夫か?」
「うん。ありがとう」力なく微笑むと。ルビーが「背中が赤くなって血が出たの」と教えた。
オーウェンはデイブに近づいて「見ても良いか?」と聞くと返事も待たずに背中に立った。
デイブは自分でシャツをめくり上げた。
まだ血が滲んでいる。翼のような形だった。
「痛そうだな」「少しね」
「動き過ぎたのかな。シャツで擦れたのかもしれないな」オーウェンの気遣いだ。
デイブにもオーウェンにも、そんな理由じゃ無い事はわかっていた。
「あぁ」デイブがうなづくとオーウェンは「ゆっくりしたら良いよ」と言って立ち上がり、
「デイブ、俺たちがいる。1人じゃない。忘れるなよ」と続けて言った。
その瞬間、デイブの背中が赤く光って激痛が走った。
ううっ。唸り声を抑えられない。
「デイブ!!」
背中が焼けるように痛んだ。オーウェンがシャツをめくると傷口から赤い光が漏れていてさっきより傷がひどくなっていた。
「暗示だ。あの手紙…暗示がかかってるんだ!おかしな手紙だと思ったんだよ。きっとあの骨もミアじゃない!!騙されるところだった。デイブ大丈夫だぞ!ミアじゃない!!」
デイブは苦しみながら、何度もうなづいた。
「骨を調べてもらうからな。心配するな」
そう言うと下の階へ走って降りて行った。

ルビーがデイブの腕にそっと手を掛けて
「うつ伏せに横になれる?」と聞いた。デイブはシャツを脱いで顔を歪めて横になった。
「自分で見えないから…ごめんね」
ルビーは痛々しい背中に薬を塗りながら
「何言ってるの。ずーっと手を繋いでてって言ったのはデイブでしょ」と笑って頭をくしゃっと撫でた。
しばらくして落ち着くと、デイブはイテテ…と体を起こして「ルビーのご飯を作るんだった!」と立ち上がろうとした。ルビーはデイブの手を掴んで座らせると
「良いわ、私がやるから」と言った。「僕が美味しいのを食べさせてあげるよ」とデイブは何も無かったように笑った。
「デイブ」ルビーは泣きそうになりながらデイブの鼻を優しくつまんでほっぺにキスをした。
「何⁈」デイブはびっくりしてルビーを見ると「嬉しいから」と言いながらポロポロと泣いていた。
「怖い思いをさせてごめんね」デイブがルビーを抱きしめるとルビーは手をデイブの背中にまわしそうになったのを引っ込めた。
「無理しなくて良いのに」
「お料理くらい出来るさ」
デイブは優しく言ってこの旅で初めてのキスをした。

to be continue…
*******

2人にとって平和とか平穏ってあるのかな😢


毎週水曜日更新📙✨

ワクワクとドキドキと喜びと幸せを🍀
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