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蜜蜂と遠雷


恩田陸さんは
好きな作家さんのお一人ですが
なにしろ上下巻とも
ページの分厚さに
いつか読もうと
手に取るのを躊躇っていました。

ですが、先日見た
『あの本読みました』で紹介されていて
あとがきが読みたくなりました。(笑)

2019年に、映画にもなっていましたね。

すでに読んだ方や映画をご覧になった方は、それぞれの感想をお持ちになったでしょう。

私はピアノが弾けないし
書かれているコンクールの楽曲も、ほとんどわからない。
音楽は好きですが、クラッシックは普通に?好き程度。
果たして最後まで読めるのかなって
思いつつページを開きました。

ところが、20数ページ進んだ所で
三枝子の友人の
“猪飼真弓”にちょっと引っかかりました。

noteにはあまり書いてませんが
私は、弓引きです。
大人になってから、初心者教室に入って
弓道を始めました。
(この辺の事は、いずれここに書くかもしれません)

真弓の弓の文字。
苗字の『猪飼』←実在する、弓具店の名前です。

するとそこから、目線が変わりました。

読み進んでいくと
え?これって弓道と同じ⁈って思い出したら面白くなってしまいました。

********共通点探し*******

気持ちに余裕がないと、しっかり「ため」をもって弾くことができず、調子のいい時に比べ、演奏時間が短くなりがちだというのは何度も先生に指摘されていたからだ。

蜂蜜と遠雷


【ため】
弓道で言うところの
【伸び会い 詰め合い】でしょうか?
余裕がないと、これが保てなくて
矢を放ってしまう。
(早気と言われます)

同じピアノで同じ曲の演奏なのにこんなに違う

蜜蜂の遠雷

同じ所作なのに、人でこんなに違うって
思うのも弓道です。

たった20分のパフォーマンスのために年中練習
〜〜〜略
普段の生活ではあり得ないイベント
〜〜〜略
練習の蓄積の差
工夫して量を質で補う
〜〜〜略
むろん、勤め人である明石が練習できるのは早朝と夜と休日だ

蜜蜂と遠雷

弓道の昇段審査

時間にしたらほんの20分。
そして実際、自分の順番で、弓矢を引くのは、正味5分くらいでしょうか。

大人になってから、何人もの先生方の前で、弓を引くと言う審査される自分。
普段の生活ではもう、ありえない時間です。


それぞれの生活の営みの間に
時間を作ってお稽古(練習)
決められた時間の中で、工夫しながら
矢数を引くとか、一本一本の矢を
大切に引く。
こんな事が、コンクールと重なります。

「練習を一日休むと本人に分かり、二日休むと批評家に分かり、三日休むと客に分かる」という有名な言葉ある

蜜蜂と遠雷

ピアノの練習も弓道のお稽古も
同じで、その日のお稽古で掴んだものも
一週間行かないだけで、全然
うまく行かなくなります。

何よりむつかしかったのはコンクールへのモチベーションを保つことで、数週間に一度、この挑戦を虚しく感じる瞬間があるらしく、今更誰にも頼まれもしないのにコンクールなんか出てどうするんだろうね、と自嘲気味に呟くのだった。

蜜蜂と遠雷

この部分も、昇段は別にしなくてもいいわけで、合格に向けてのモチベーションを
どう保つか。
誰にも頼まれていないのに。
なかなか合格できない私には
「正にそれだわ」と自嘲です。

満智子はその都度「高い防音ルームを買ったんだから、元は取らないとね」
-----略
コンクールは時の運だから
-----略
本番でいい精神状態に持っていけず自滅してしまう*

蜜蜂と遠雷

これもそう。
弓や矢、必需品の弽(ゆがけ)は
安いものではありません。
その他、道着、袴、足袋などなど。
そのほとんどが、消耗品に近いし。
お金かかってます。
辞められない部分でもあったりします。

そして「運だから」←コレ
本当によく言われます。
お稽古ではいい感じでも、本番は
たった2本の矢を中てられるかどうか。

お稽古で、そんなに中らない初心者に近い方が、合格しちゃう事多々あります。

本番の日に緊張マックスだったり
普段しないミスをしてしまったり
頭真っ白になっちゃったり
私生活の心に引っかかる事あって
落ち込んでたり。
理由にしちゃいけないのですが
(だって弓道は“平常心”を
一番言われますから)
自滅するのです。

間の呼吸は「吸って、吐く」のではなく、「吐いて、吸う」のが基本なのだそうだ。
赤ちゃんはこの世に生まれてくる時、大声で泣き叫ぶ。出てくる時にまず「吐く」そして、人生の最期には、すっと「息を引き取る」。最期には「吸う」のだ。

蜜蜂と遠雷

ここでもびっくり。
弓道では息合いと言う大切な所作があります。
入場する時に、呼吸は
吸う為にまず、吐くから始めます。

他にもまだあるのですが
とにかく色々とあって、それを探していくうちに、読み終えてしまった感じです。

もちろんきっかけの「あとがき」も
楽しく読ませていただきました。
一冊の本が、色々な方の想いが
(特に担当さん)
交差して出来上がっていく過程を
リアルに知る事が出来て、興味深い
「あとがき」でした。

世の中の事は、結局
繋がっていたり
共通する何かがあるんだなって
思いました。

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