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短編小説✳︎青い朝顔 ❸ 彼氏

大学2年になって、友達も出来ないと思っていた小夜にも『彼氏』が出来た。

色が白くて、少し訛りのある話し方が、雄介はとても気に入ってるからと言ってくれたので、彼の前では訛りを気にせず、小夜もたくさん話ができた。

サーフィンにも小夜はよくついて行くようになった。
サーフィン仲間の友達もずいぶん増えた。
気にしていた訛りも、誰も笑う人はいないし、むしろ可愛いと言ってくれる仲間達。
ただ色白の小夜は、日焼けが怖くていつも陸から、波乗りする雄介を見守っていた。

初めてのキスも経験して、2ヶ月ほどした頃、海岸で行われる花火大会に、一緒に行こうと、雄介から誘われた。
サーフィン仲間もみんな来るらしい。ただし浴衣か、甚平を着てくる約束だった。

小夜も、実家に帰った時「彼氏ができた」と母親に言ったら
「浴衣でデートとかあるかもしれないから、持って帰りなさい」と浴衣と帯と下駄と小物一式持たされた。

「母ちゃん、ナイスだわ!役に立ったよ」

バイトもお休みをもらった。
週末は当然忙しいので、あまり休みは取れないけれど、いつも真面目な働きの小夜なので、店長も気持ちよく休ませてくれた。

着付けをするときは、エアコンを強にして部屋を冷やしてから着る。
白地に青い朝顔柄の浴衣。
すごく透けるから、浴衣の下にも肌着と腰巻も着けなさいと母が言った。
「これじゃ暑いよ!」って言ったけど、「透けてパンツ丸見えは、お願いだからやめて」と言われた。
まあ、確かに下着を見せながら電車に乗るのは恥ずかしいよね。
肌着、腰巻、浴衣の三層になる。

しかし不思議なことに帯を締め終わると、だんだんとかいた汗も引き、意外に涼しくなるのだ。


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