平家物語 感想

予告編

https://youtu.be/n27irsU7x6c

本編感想

第一話
絵のタッチが柔らかみと儚さを兼ね備えていて好みです。未来が見えるびわと将来のことが心配な重盛の関係はどうなっていくのか。久しぶりに高校の日本史の教科書を引っ張り出してみるアニメになりそう。主題歌、エンディングも雰囲気を上手く出していてこれは先の展開が気になりますね。

第二話
「闇も先も怖くとも、今は美しい。」意のままにならぬもの、賀茂川の水、双六の賽、山法師って高校時代にやったわ懐かしい。徳子は16にして高倉天皇のところに入内するんだったっけね。当時の政略結婚とはいえ若すぎるし現代の風習との大きな違いを感じた。

第三話
鹿ケ谷の陰謀。俊寛と藤原成親が処刑され鬼界ケ島に入るになったあの事件ですがこの辺りから平家の没落の序章が始まっていると習ったっけな。「忠ならんと欲すれば孝ならず。孝ならんと欲すれな忠ならず。重盛の進退ここに谷(きわ)まれり」自分の親に対しても毅然と意見を述べる重盛カッコいいな。後白河法皇と今様をやるシーンも文学史で習ったゆえに興奮しちゃった。

第四話
先が見えてもどう手を打つこともできない無力さに打ちひしがれるびわ。身近な人の死もこれから増えていくんだろうな、分かっていても辛い。花が落ちる=人が死ぬという表現をしているのが凝っている。徳子に安徳天皇が生まれるけど、知っているんだよね最期を。あと、後白河「遊びをせんとや生まれけむ、戯れせんとや生まれけん、遊ぶ子供の声聞けば、わが身さえこそ揺るがゆれ、」出典『梁塵秘抄』あーテスト範囲だー。

第五話
以仁王の挙兵。平氏だからって全員が戦うことを好まなかっただろうって確かに言われればそんな人もいるよね。そういう人にとっては自分の身分が平氏でありながらも、暴政をはたらいている自分の親兄弟が憎かっただろうな。人を「赦す」ことが争いを避けることに繋がるけど分かっていてもなかなか難しいことなのかもしれないなと思わされた。

第六話
福原京への遷都。頼朝公が出てきたけど杉田智和の声なんだよね笑 石橋山の戦いで使われたしとどの窟、うちの地元。富士川の戦いは水鳥の音に驚いて逃げたのか~こんなことを日本史でやってくれたら好きになっていたかもしれないな。「都は変わった。私も変わらなくてはならない。」維盛にとって戦いというものは辛いんだろうな。これから没落していくのを見るのは心が痛い。「見るに心の澄むものは~」こちらも今様。

第七話
南都焼き討ち、清盛の死。徳子の芯の強さが印象的だった。「望まない運命が不幸とは限らない。」欲望のままに生きて没落するか望まない運命でも精一杯生きるか。蓮の花は泥の中でも咲くところ、極楽浄土の象徴でもある二面性を持つ花だと思う。「女人五つの障りあり。無垢の浄土はうとけれど、蓮華真言に開くれば、龍女(りゅうにょ)も仏になりにけり。」こちらも『梁塵秘抄』からの引用。

第八話
「帝がいるところが都。」ついに都落ち。長くいた都を離れることはすなわち家内との永遠の別れとなることを意味しているから目頭が熱くなった。俱利伽羅峠の戦いで木曾義仲に散々にされて自責の念に駆られている維盛だけど、戦いを心から本当にしたかったのかどうかというのは考えさせられる。

第九話
大宰府も追い出される平家。笛吹の名手もここに散るシーンは涙なしでは見られない。敦盛最期は古文でやった気がするが僅か17にしてその命を終えるとは無念以外のなにものでもない。びわの旅で出てきた「何もできなくとも祈る」この精神が長く受け継がれてきたのであろう。

第十話
維盛も出家して入水。このことを語り継ごうと思ったからこそ今に至るまで存在していると考えると凄いことだと改めて思う。さて、屋島も負けて遂に最終戦壇ノ浦へ。徳子は周囲の力で平家側と上皇側にコロコロと立場を置かれているけどそれでもお強い人だ。

第十一話(最終回)
壇ノ浦の戦い。最期まで立派に戦って亡くなったんだな。実はこの戦いが起きた日は偶然にも私の誕生日であるから縁を感じた。安徳天皇も若くして入水したのであるから、歴史とは運命とは盛衰とは何とも残酷なものであるのだなと思った。「祈る」ことの大切さを学べた。タイトル回収もちゃんと最後にしていて良かったです。

全体を通して


『平家物語』は小中高と古典で触れてきて、歴史でも源平合戦として習っている以上あらかたの途中経過、最後は既に知っていた。だからこそ、本当に面白いのかと少々疑いの目を向けていたが見事にそれは破られた。物語や歴史でこれまで勉強してきた人物はちゃんと「人間」として生きていたのだなと気づかされた。今の自分と同じように食べ、遊び、楽しみ、考え、時に悲しんだり苦しんだりといったことをしていたんだな。歴史だと人間味薄くなってしまうだけにとても面白かった。丁度習った後白河法皇の今様であったり、高校の日本史の資料集を併用しながら話を追っていくことができ勉強にもなったアニメであった。

特に今回大きかったのは女性にフォーカスしたところであろう。時代に翻弄されながらも強く生きている様を見て感動した。
また、『平家物語』は戦いの記録を書いたものかと思っていたが、それだけでなく祈り・鎮魂を込めて書かれたものではないかと今回感じた。要所要所で祈りがテーマとなって出てきた。その思想が現代にまで伝わっているので、私たちも「祈り」で昔の人とつながることができるといっても過言ではないだろう。声優陣も豪華であったし、タッチも心がこもっているのをかんじられて素敵だった。大変に素晴らしいアニメであった。文句なしの★5+α。

ではまた。

遠方

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