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雑記2:「ミラン・ケストレルに送るつもりでいたお便り」

やあ、ミラン・ケストレル。いい空ですね。
よければ感傷のような吐露にお付き合いください。
私には好きなミュージシャンがいます。彼の名前はwowakaといって、ボカロPをしたり、バンドで活躍したりなどしていました。
私の部屋の隅には彼のアクリルスタンドがあります。今はその横にあなたのアクリルスタンドがあります。日差しに照らされて二方揃って美しくあります。
私、wowaka以外のアクスタって一生買わないつもりでいたんですよね。元々グッズの類に興味がないということもあったんですけど、でも彼、彼とアクスタというものには一層の気持ちがあったんです。
wowakaは2019年に亡くなりました。私は彼が好きでした。だから彼の遺影のつもりで手元に置いておくことにしました。だからといって他のアクスタを所有しない、なんて理由にはならないんですよ。それでも唯一を持つことに、唯一にすることに執着するのは…なんでしょうね。別にここでない世にいる彼がなにかしらを思うからとか、そんな理由じゃないんですよ。あの世はあの世、この世はこの世でしかなくて、そこには根本的な隔たりがあるから、だから、私たちは生きているんです。
閑話休題。
ミラン・ケストレル。どうして私はあなたのアクスタを買ったのでしょうね。あなたが青いからでしょうか?wowakaの隣に限りなく夜空に近いあなたがいてくれることが、きっといいからと、そう思ったからでしょうか?
ねえ、ミラン・ケストレル。
あなた、たぶん、空ですよね。星かもしれないし、月かもしれません。あなたはきらめく青、光、道筋なんだと思います。
あなたのアクスタを買って飾って、そうすることで、なにかがほどけた気がしました。愛って執着なんですけど、私はwowakaに対する執着を、傷付いてえぐれた肉をほじくり返してかき混ぜるようにして一切治さないようにしていた部分を、あなたのことで飲み干せた気がするんです。不思議ですね。
ミラン・ケストレル。今日も空がきれいですね。
あなたがあなたであること、嬉しく思います。あなたがリスナーの救いであるように、リスナーがあなたの救いであったら幸いです。
空の果てしなさを知る度、海の波のはためきを見る度、月の遠さを知る度、あなたをずっと考えると思います。ありがとう。では。

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