見出し画像

声優専門学校と私

 私なんかでも、声を使って表現することができるようになる。

通うほど行った体験授業を受けた後にそんな希望が持てた。入学した理由はそれだけだった。
そして私は声優専門学校に入って初めて自分の声を意識した。
自分にとっての日光に照らされたような世界を初めて垣間見て目が覚めた。
先生の何かしらへの愛情や熱意を目の前にして、強靭で切実な一面に感動した。
私なんかでも歌を歌えるようになりたいと軽々しく思ったのがきっかけでボイストレーニングにも通った。
歌を上手くなりたい!声で演技出来るようになりたい!という思いから自分なりに、闇雲に、進んで行った。

統合失調症の予兆もあったと予想できるその時期は唐突に悲しくなったり生まれてきたことの幸せを感じたり情緒不安定の極みだったけどそれでもその幸せは嘘じゃないと後生確信できるものだったから入学したことは後悔していない。ただ、
私が後悔しているのはもっと長くあの幸せな生活を続けられたら、もっと幸せを噛み締めて過ごしていたら。それぐらいの心残りだ。

辛さと幸せが混合したその過去は、私にとって自分自身を語る上で唯一無二の思い出だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?