【つながる旅行記#94】霊場恐山。part.2 (なにこのアイス)
硫黄漂う地獄ゾーンを抜けると、砂浜のような景色が現れた。
そこにあったのはなにやら新しい地蔵。
裏の説明を見ると、東日本大震災後に出来たもののようだ。
時折響き渡っていた鐘の音はこれだったのか。
自分の職場にも震災の被害にあった方は何人もいる。
当時ボランティアに行った人もいたが、あまり口に出せるようなものではない場面も多かったと聞く。
当時の自分は経済力もなく、行動力もなかったので、何の貢献も出来ていなかったな……。
眼前に広がるのは宇曽利山湖(うそりやまこ)。
恐山にある火口湖だ。地元では宇曽利湖というらしい。
素晴らしく透明で美しいが、pH3.5の酸性の湖だ。
生物が生育する環境としては相当厳しいのはいうまでもなく、魚類はウグイが一種類いるのみ。
これは浅虫温泉水族館の回(#31参照)でチラッと紹介したが、世界で最も酸性度の高い環境で生きる魚だ。
そしてこの浜は極楽浜と呼ばれる。
先程までの岩だらけの場所から一転して広がる白い浜に、
人々は極楽を見たのだろう。
訪れた人々はこの景色と共に死者と向き合う。
……自分もそろそろ決着をつけねば。
……ん?
罠です!!
罠がありますよ!!!
一体誰がこんな……!!
(それは草結びじゃよ……)
!?
……そう、これは草結び。
決して観光客への罠ではない。
賽の河原では、子供が積んだ小石を鬼が崩して回っている。
子を失った親たちは、鬼が足を引っ掛けて転ぶように、こうやって草結びを作るのである。
つまりこれがあるということは、子供を失った親たちがその子のために祈りを込めて作ったということ。
そうだったのか……。
というわけで、一周して戻ってきた。
なんだかしんみりとした気分である。
まだバスの時間には余裕がある。
しばらくそこらへんを探索しよう。
まだ行ってない箇所もあるのだ。
ここは三途の川。
橋は登れるようになっているが、決して渡りきってはいけない。
そっちは冥土の世界。行ってはならない場所なのだ。
あ、渡っちゃった。
そう、自分はそういう人間である。
さっき書いた解説は今調べて知った。
だって近くの看板にもそんな事書いてないし!!
書いてあるのは爺&婆の解説である。
解説によると、奪衣婆(だつえば)が死者の身ぐるみを剥ぎ、懸衣翁(けんねおう)がそれを受け取って近くの柳の木にかけて、その枝の垂れ具合で生前の悪行を推量するらしい。
服が重いと罪も重いのだろうか?
亡くなる時は革ジャンとかを着ていないことを祈ろう。
※ちなみに三途の川の橋は老朽化で今は渡れません(2022年)
ではちょっとお腹も空いたのでご飯にしよう。
カレーである。
スパイスで誤魔化そうと思ったのだ。
なにをって、硫黄臭である。
そう、この食堂の中も硫黄の匂いがしていることに変わりはない。
打ち消さねば。
(味は普通でした)
ちょっとデザートも食べたくなったので外にあった霊場アイスを買おう。
当然全種盛りで行く。
バニラ以外がイチゴや抹茶じゃないのが斬新だ。
ブルーベリーとよもぎとバニラ。
なんかアイスというよりシャーベットな感じ?
さてさてお味は……。
……すごいわ。
全部よもぎの味しかしないぞ。
えっ、硫黄って味覚や嗅覚をよもぎ限定にする効果あったりする……?
口に含んだとき、バニラの「バ」の字どころか「b」すら感じない。
完全に「よ」から始まってるわこれ。
新感覚にも程がある。
霊場アイス、すごいわ。
というわけで下北駅へ戻ってきた。
恐山は行きたいと思っていた場所だったが、まさか本当に行けるとは。
行こうと思えば……いや、どうにか行動を起こしさえすれば、
どこだって行けるものなんだな……。
さて、ではまた大間のフェリーで函館へ帰って……ん?
ホリデーパス……?
すごいな。1日だけだけど青森中を巡れるのか。
でももう15時だしな。
今買ってもね……。
・・・
さあ、青森巡りを続けようか!!(切符買った)
次回へ続く!
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