見出し画像

カドアイ。

「ピピピピッ」とアラームが奏でる無機質なメロディによって目を覚ました朝。朝日が神々しく私を迎えているが、今そういう気分ではない。金曜日というのもあり、まだ寝ていたい。
そんな気分だった。
そんな私に呆れたのか、さっきまでの朝日はすっかり雲に隠れてしまった。重い瞼を開け、スマートフォンを見ると、そこには8:00という時間が映し出されていた。完全にやらした。

私は受験生0学期とよくいわれる高校2年生、いわゆるJKだ。学校に遅れるなんてことはあってはならない。家から学校までは15分。まだ間に合う、その一心で家を出た。幾つかの曲がり角を超えた先に学校がある、そこで事件は起きた。角を曲がった瞬間、私は人とぶつかってしまった。地面に叩きつけられる間の時間がまるでスロー再生のように感じた。カバンからは物が飛び出していた。必死に立ち上がり、「ごめんなさい!!」と謝った。そうしたら「大丈夫です、気にしないでください!」と優しそうな男の人の声が帰ってきた。私は恥ずかしさから必死に物をかき集め学校へ向かったが、学校は待ってくれるはずもなく、堂々と私にとって終わりのチャイムを奏でていた。

第1章 〜忘れ物〜

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?