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南伊豆で暮らす友達の話

こんにちは。大塚です。
写真が「どこで風呂入ってんだよ」って感じですが、南伊豆にかっこいい友達が住んでいて、その家にズカズカと乗り込んで風呂に入った時の写真です。この湯船の隣は普通に道路です。

僕は今、新潟の十日町っていう雪がどっぷり降る場所に住んでいるんですけど、唐突に伊豆に旅に出ることがよくあるんですよ。車で8時間かかりますが長距離運転によるストレスを感じる脳の回路を遮断する能力を持ってるので、今回も「最近、暖かくなってきたから伊豆行くかぁ」って気軽な感じで、ジーパンとジャケットとパジャマを雑に車にぶち入れて伊豆へ向かいました。

友人の名前はヨッシーとマキング。夫婦。「家に行ってもいいかな?」とFacebookのメッセージを送ったら「焼畑やってるから、夜くらいに来てもらえれば」って返信がきました。どんな友人か一息に説明出来ない。

熱海から伊豆半島を南下して3時間。
白浜海岸を横目に半島の先を目指すと、山の木々がもこもこした感じになってきます。川沿いに車を走らせていたら、火と煙が見えたので「あそこやな」って分かりました。

彼らの家は、土壁に瓦屋根。昔ながらの長屋で築一世紀に届くんじゃないかしらん。ってくらい。パッと見ると、人住んでるんかな?って家で、僕の家といい勝負。

生活模様は冷蔵庫なんて洒落たモノは必要なく、囲炉裏で火を炊き、燃料は薪。水道は山からの水を引っ張ってきて使って、トイレはおが屑。太陽の恩恵で僅かばかりの電気を生み出す生活。いわゆる自給自足。文明を少しずつ手放していってる感じ。

ただ、なんか違うのはヨッシーは好奇心の塊が人よりも大きくて、ただ何事も自分でやってみたくて色々やってるってだけなんだよね。多分。

焼畑も「前から焼いてみたかったんだよね」と村上春樹の小説に出てくるやつみたいなこと言っていました。焼いた後は棉の種を撒いて、育てて繊維にするらしい。暖かさでポンと弾けるんだよな、棉は。可愛らしいよね。

彼らは普通に駅で待ち合わせして居酒屋で飲んで、他愛もない話する友人って感じなんですよ。「最近、夜走るのにハマってるんだよねぇ」って感覚で焼畑やったり、穴熊食ったり、小麦を栽培したりしてる。

「俺も道端にヘビ落ちてたから捕まえて食ったよ。」

って言ったら、やっぱり凄い興味持ってくれて背骨の砕き方とか調理方法とか話した。「穴熊の干し肉あるよ」って出てきて、やっぱ爬虫類が基本美味いよねぇなんて話をする。

そんなヨッシーとマキングの「おもてなし」が実家の母を軽く超えるレベルで、天ぷらを1種類ずつ揚げてはお皿に入れてくれて、柿の葉やら野菜の切れ端のかき揚げやらを囲炉裏の火加減を調節しながら作ってくれて、部屋に入ったら、布団の横に蜜柑と来てくれてありがとう的なメッセージが添えられて、「これがヒトのココロか...」ってAIが心を学んだみたいなことになってました。

彼らの生き様とか哲学をもっと伝えたいという欲望があるのですけど、「これも新しいライフスタイル!」とか「丁寧な暮らしとロハスな日々」みたいに言葉を当てはめるのも野暮やなぁと思ったので、日記に書く友達の話くらいにしておきます。誰か伊豆とかも一緒に行こう。吉澤夫婦、一宿一飯と人の心をありがとう。これインターネット上に書いてるから多分見れないと思うけど。ほんでは。

地域PRをしている会社を経営しながら、個人でライターやファシリテーターもしています。日本文学が好き。