しろ

静寂のなか、
白い水面に白い水音、
心地の良い律動、
白い裸足、
つーと伝うは、
黒い血液、
ぽた、ぽた、と、
白に黒が混じってく、
広大な白に、
混じる黒は、
直ぐかき消される、
瞳の奥から、
流れ出る黒い血液は、
止まない、
裸足の上は、
脆く朽ちて、
ぽろ、ぽろ、と、
白に落ちていく、
白はすべてを、
呑み込んでゆく、
ゆっくりと、
ただ、ゆっくりと、
裸足の下まで、
沈んでいった、


やがて、律動は、
静止した、
水面の柔らかさは、
大理石のように、
固くなった、
今度は、
何も受け付けなく、
なった、

ああそうだ、
また死期が、近づくと、
この白は死者を迎える、
そうして、
幾度となく、死者を、
呑み込んできた、

ほら、ほら、
また動きだした、
表面が柔らかくなって、
白の水音が、
きこえる、

一滴、
落ちて、
次は誰、

白に向かって、
落ちていく、
眼差しの、
残像だけを、
遺して、