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哀愁漂う、たこ焼き屋さんとコザ商店街。

3月土曜のお昼、天気はハレの日にコザへやってきた。

私は那覇生まれ・那覇育ちの人間で
30代の人生の半ばの現在、ようやく自分が住む場所
以外の街に興味を持ち出した。

「ロックの街」
「文化がちゃんぷる〜(ごちゃ混ぜ)する街」
「アメリカ世(ゆ〜)と沖縄世(ゆ〜)が混在する街」
「沖縄県の中でも異彩を放つ、摩訶不思議な街」
それがココ沖縄市、コザ。

今日は打合せついでに
那覇市から北上し車で30分ほどの場所にある、
沖縄市の中心街コザへやってきた。

ここ数ヶ月、訪れる機会が増えたコンパクトなコザ。

いつ来ても不思議な思いになるこの街は、
・コザパークアベニュー
・コザ商店街
・コザゲート通り
のエリアで構成されており
1時間もかけずに徒歩で周遊できる、
コンパクトな街だ。

打合せを終えたのは13時半と
ランチの混み合う時間が過ぎた頃。

コザは夜の活気に向けて準備をする商店街の住人に優しいようで
夕方近くまで、ランチの営業しているお店が多く点在している。

文化やお国がミックスするコザは
異国料理店が多く、どの料理も魅力的で
お腹を空かせる私を惑わせる、が。

お店の名前は「たこ焼き ちゃんぽん」?

打合せが始まる前から私は決意していた。
沖縄市コザの部外者で、まだまだ新参者である私が
まずは足を運ばなければならないお店と思う。
それがここ。


たこ焼き ちゃんぽん
たこ焼き? ちゃんぽん?

(ん、どっち・・?)
(何故コザでたこ焼きとちゃんぽん・・?)

以前、コザに訪れた際、
初めて看板を見た時にそんな心の声がダダ漏れだったことを覚え、
なんとしても食べてみなくては、と誓い
今日その機会がやってきた。

早速店内に入ると、客足は引いており、誰もいない。

受付に向かうと、70代くらいのおばぁがカウンターから現れた。

(せっかくだからたこ焼き以外にも何か注文してみよう)
(ちゃんぽんはあるのかな。)

お店のメニュー(手前)とカーテンで隠れて見えない厨房(中央)」


メニューが店内に飾られているが、どこにも「ちゃんぽん」の文字はない。(ちゃんぽんはないのかな。)

「ちゃん、、いや、、。
 沖縄そばと、たこ焼きを、お願いします。」

那覇からやってきたコザ新参者の私に
メニュー表にない「ちゃんぽん」の存在可否を聞く権利はない、
と後退りした。

注文を待つ間、誰もいない客席の中央の席に座り、
前後左右、お店の中を見回してみる、


店内:奥側の様子。
店内:入口側の様子。

外から見るよりも、意外と店内は奥に広く、テーブルが5席、畳が2席。
想定通りというと失礼だが、数年前の女性誌やスポコン漫画が並んでいる。

(いつぐらい前から営業しているんだろう)

心に浮かぶ疑問を、おばあに聞くこともできず、
新参者の私は、ただ料理を待つ。

「沖縄そば」と「たこ焼き」

10分も経たないうちに
まずは沖縄そばが出てくる。

「肉そば(沖縄そば)」

注文した沖縄そばは「肉そば」という名前で
一杯500円

そばの上に牛肉がのり、出汁は豚骨だしの
スタンダードな味のものだった。

そばをすすり、スープを飲みながら
「これがコザの人にとっての地元の味か」と
しみじみ哀愁に漂う。

と、今度は30代くらいの男性店員がやってきて
たこ焼きをテーブルに出して頂く。

「たこ焼き」

こんがり焼かれ、マヨソースが丁寧にかけられている。
こちらのたこ焼きは8個で300円。

沖縄そばを食べる手を止め、
お待ちかねのたこ焼きをひと口食べる。

(熱い、、あちこーこーやっさ、、びっくりするくらい熱い)

見た目ではわからなかったが

たこ焼き一つひとつ、丁寧に焼かれており、
中身が熱々なだけでなく、外側はパリパリの食感が味わえる。
また、タコの身は大きくしっかり引き締まり、噛みごたえ抜群だ。

(思っていたよりもこだわった作り方をしているのだろうか)
(先ほどの店員はお孫さんかな?)

尋ねもできないお店のことを妄想しながら
料理を味わっていると、
ぞろぞろと、お客さんが3組、4組と入ってきて
いつの間にか店内は満席になっている。

時間は14時になろうとしている。
客層は、地元であろう
20代の男女から60代の親子まで様々だ。

ご飯を食べ終えた私は会計を済ませながら
おばあの姿を目に焼きつけながら
「ごちそうさまでした」 (またきますね)
と言い、店を出る。

コザ商店街の住人たちの真ん中に、このお店?

この「たこ焼き ちゃんぽん」は、
コザの商店街の中でも中心地にあるようだ。
すぐ隣のブロックには、若者らが集まるワーキングスペースやダンススタジオ、
また反対の方角には、昔ながらの呉服屋や民芸品店が並んでいる。

また訪れたこの日は街中で、若者を中心とした音楽やアートのイベントが
行われていた。

コザ商店街、土日はイベントで賑わっているよう

当事者ではない、街の新参者である私は
街の人に尋ねたり、輪の中へ飛び込む勇気がまだないが
沖縄市コザの地元に住む人たちで、この街は活気付いているようだ。

そんな住人の憩いの場として
「たこ焼き ちゃんぽん」は営業を続け、
商店街の一角で料理を提供しながら、街の活気を見守っている、
のかもしれない。


追伸。

料理を食べている時に、お店に電話が入り、
おばぁが受話器を取って名乗っていた。

「はい、 たこ焼き屋 ちゃんぽんです。
 あいっ、〇〇自治会長ね〜元気ね〜」

料理はいくつか提供しているが、やはりちゃんぽんは無いのかもしれない。

ここは街の憩いの、たこ焼き「屋」
ちゃんぽんさん、だ。

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