メールが怖くて震える

仕事用のメールアカウントがある。
仕事の発注、納品、その確認。
打ち合わせの連絡。
時節のあいさつやなんでもない世間話なんかにも使っている。

当然、仕事において重要なもので、無くてはならないのだが、
これがいつしか内容確認するのが億劫……いや
怖くなった。

メールが来ているのは知っている。
でも、開くことが怖い。面倒なのではない、怖い。

仕事の連絡が怖いというかというとそうではなく
LINEや直電、面と向かっての仕事のやりとりは平気である。

ただメールだけ。
メールアプリに指を這わせるのにも決意が必要、
起動させたらいくつも並ぶメールの要件に胃が締め付けたれ、
タイトルから、優先度が高い物に目処をつけ、震える指でタップ。
内容は、これといってなんてことのない仕事の連絡で安心する。

これの繰り返し。

なぜこうなったかはわかっている。

若かりし頃、なんの感情の揺れもなくメールを開いていた時期も
あったが、とある新規の仕事を受けた時のこと。

原稿のたたき台をメールで入稿。その修正やリクエストが
クライアントからリターンがくる。
当然の行程で、どんな仕事でも同じようなやりとりをするのだが、
その仕事だけは、たたき台以降も何度も何度も修正の連絡が来る。
日に何度もだ。

内容にNGがあるというのなら修正もやぶさかではないが、
クライアントからの指示があいまいでぼんやり。
なにが気に食わないのか分からない。

このようなメールが幾度も届き、いつしかメールを確認するのも
億劫になり放置。
迫る締め切り、当然、怒涛のメールが届きはじめ、やがて直電も入る。

なにをどのように直せばいいのか……?

若い頃はなかなか聞けず、特に怒られているわけでもなのに
プレッシャーと困惑で、メール恐怖症になってしまった。

その仕事を完遂し数年経った今でもメールを開くのが怖い。







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?