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テラミスティカ好きによる「革新の時代」レビュー

日本語版の発売はまだだが英語版を購入し遊んでいるので(世界同時発売とは?)、テラミスティカ好きの視点から比較を交えてレビューする。
※ テラミスティカやガイアプロジェクトの話を比較に出す際に革新の時代にそのまま置き換えられる用語があるなら革新の時代の用語に合わせます

革新の時代の経験は現状3人戦を4戦。
内2戦が200点超え。
初戦を除けば平均点190点超えるのは出来すぎてて怖い。

勢力では修道士好き。
早く4人戦をやりたいところ。

すでにテンデイズから日本語版ルールも公開されているけれど、手っ取り早く差分だけ確認したい場合は私の以前の記事もどうぞ。
種族能力などは追加で読む必要があるが、テラミスティカを知っていればおおよそこれだけでもやれた。

追記:勢力のランキング考察も書いたのでこちらもどうぞ


3行でまとめ

テラミスティカ好きなら刺さるがガイアプロジェクト好きはガイアでいい。
テラミスティカを完全に置き換えるわけではなく好みの問題。
最高なのでやろう。


レビュー

テラミスティカ好きやガイアプロジェクト好きは買うべき?

ガイアプロジェクトよりはテラミスティカ寄り。
1をテラミスティカ、10をガイアとしたら、革新の時代は3という程度にはテラミスティカ。

テラミスティカが好きならすぐに慣れる。ルール自体ほとんど追加だけなので当たり前といえば当たり前だが。
ガイアプロジェクトが好きでテラミスティカは苦手という知り合いは難しいと言っていた。

複雑性もそのまま テラミスティカ < 革新の時代 < ガイアプロジェクト

ゲーム性的にテラミスティカはせめぎ合い、ガイアプロジェクトは押し付け合いと思っているが、おそらくテラミスティカと比べてガイアプロジェクトが好きという人は革新の時代と比べてもガイアプロジェクトのほうが好みだと思うので、シリーズを集めたいという人以外は購入の必要はない。

テラミスティカのほうが好きだけど、もうちょっと今風に選択肢が増えるといいなと言う人に刺さるゲーム。
テラミスティカ好きなら買って損はない。


コンポーネントに関して

最高。値段に納得ができる。
個人ボードがダブルレイヤーでかっこいい。
各種タイルのサイズが違い嵌める場所を間違わないようになっている気配りもいい。

個人ボードはダブルレイヤー

木駒の形もユニークなものでテンションが上がる。

各種コマたち


少人数でも楽しめる

マップが両面で、片面は1-3人用、もう片面は3-5人用になっている。
また、2人用の追加ルールも用意されており、少人数でも楽しめる工夫がなされている。
重ゲーをやる際には3人になることも多いため狭いマップはありがたい。

ただやはり4人がベストだろうな感じるので可能ならば4人集めたいところ。


ゲーム性

テラミスティカは経済性と得点のバランスを見極めるのが重要。
低得点になりそうなゲームでは得点能力を持つ勢力を取ったり、土1の恩恵(工房2点)を急ぐ必要がある。
革新の時代は6Rの得点が2種類あることと、得点源が増えたことで露骨な低得点ゲームが減り、経済のスノーボールがそのまま得点に結びつくパターンが多くなった。極端な例だがあるゲームでは6R目だけで80点ほど獲得した。
そのため得点能力しか持たない勢力は、上手にプレイした経済的な勢力に勝つのは難しいと感じる。

1Rの道具の価値が高くなった。
テラミスティカでは学校に必要な道具が2つだったので、初期の道具の量は同じでも手元に2つの道具が残った。
対して革新の時代では学校に必要な道具が3つになったため1Rで建てた場合道具が1つしか残らなくなった。
そのため、パワーアクションあるいは能力タイル(恩恵タイルや技術タイルにあたるもの)で2スコップを取っても、道具を増やしていないと工房を置ききることができない
また、テラミスティカと比べて、初手で宮殿を目指すパターンも増えた。その場合初期資源だけでは道具が残らなく工房を追加で置くことができない。
道具の有無が1Rの行動の広さに繋がっている。

科学ディスプレイでの都市の鍵による上限が7段階目と8段階目の間に設定されているが、これが意外と早くキャップにたどり着いてしまう。
科学ボーナスに影響するのはもちろんのこと、都市の鍵の数的にも科学特化で全ての種類で1位を目指すようなことはほぼ不可能になった。点数が割れるので、他の要素できっちり差をつける必要がある。


本というリソースの影響

革新タイルの取得または、本アクション(パワーアクションのように本を消費して行うアクション)に本が必要だが、特にこのゲームのタイトルでもある革新の名を持つ革新タイルは非常に強力。
最低でも1つはほしいところだが獲得には5冊以上の本が必要になる。

本を得る手段は限られており、能力タイルを取得するときに単に能力の種類だけでなく科学トラックを上げるか本を取得するかという選択を迫られるようになったあたりが大きな変更点ではあるが、一番本の影響を感じるのはスコップレベル2にすると任意の本が2冊もらえることからスコップレベルを上げる機会が増えたという点

単にスコップレベルを上げるのに必要なリソースが減ったということも合わせて、革新タイルの2枚目や3枚目を狙うつもりでいる場合この本2冊を利用する可能性が高い。
そして2段階目に上げたのならば、最終ラウンド付近で6点もらえる3段階目にする可能性は高い。

また、本とは関係ないが6Rの2つ目の得点の1/2が工房に関する点数であるため、最後までスコップが大量に必要なケースが増えたこともスコップレベルを上げる要因として挙げられる。
本の追加と6Rの得点の追加の相乗効果でスコップのレベルを上げる可能性が高まり、道具によるスコップの獲得が増えることで道具の重要性が増した


中立建物に関して

取得する方法が主に革新タイルであることもあり、強力な収入をもたらす。
その点でも強いのだが何よりも、自分のボード上以外から建物が降ってくるというのが大きい
テラミスティカやガイアプロジェクトの経験者なら誰もが一度は経験したことがあるであろう、工房使い切り問題。
工房が切れてしまった場合、工房を得るにはギルドがあれば2道具3金、ギルドも切れていた場合さらなる追加コストが必要になるが、そのコストなしに建物数を増やすことができることから最終得点のエリア得点争いで強力にリードすることができる。

個人的に前述の道具の重要性という観点も含め、3道具収入のある中立工房は現状非常に評価が高い。出現したゲーム全てで建てている。

中立建物の存在によってエリア得点の計算でボードの残りコマ数で比較はできなくなっているので癖でやって見誤らないように気をつけましょう。


マイナス点

少しだけネガティブに感じた部分もある。

モジュール式になったことと経済性がより重要になったことで、一部のシナジーが発生する組み合わせ以外はどんなセットアップでも強い勢力が順当に強いと感じる。
色を挟まれているのでこの勢力はやめようかとか、このセットアップならコイツも行けるはずとかそういった楽しみが減った。

ここからはテラミスティカと比べての好みレベルの話になるが、可能な行動や収入方法が増えていることから争点が分散した。
つまりは今風になっているとも言えるのだが、最終ラウンドの7金を巡る争いみたいな場面が減ったのはちょっと寂しい。
また、セットアップが多様化することで、当然ながら似た盤面が来る可能性が低くなった。「この種族と色と宮殿を組み合わせてみたい」という場合や、「今回のようなセットアップで次回はもっとうまくやりたい」という場合でもいつ訪れるかはわからない。


まとめ

基本的に追加された点はどれも好意的に受け止めることができ、テラミスティカ、ガイアプロジェクトに引き続き傑作であるといえる。

革新の時代はテラミスティカからの正当進化と感じるが、上位互換かと言われるとそういうわけでもなく、最終的には好みの問題。
個人的にはともに10点満点だがテラミスティカの方が好みである。

しかし10点満点に変わりなく少なくとも年内は革新の時代を遊び続けたい。

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