05:企業分析の本質と、間違いだらけの外大生のOB/OG訪問

前回までで、自己分析の考え方と、実施方法、さらにはその結果をどう活用していけば良いのか、というところまで踏み込みました。今回は外大生のための勝ちにいく就活講座が想定する就活ステップで非常に重要な企業分析に入っていきます。想定しているテーマは以下の通りです。

―本項の概要
―免責事項
―デスクトップリサーチの方法と手に入れるべき情報
―OB/OG訪問で本当に手に入れるべき情報
―補足:OB訪問における就活セクハラへの備え

<本項の概要>
自己PRの精度は、企業分析の精度によって決まります。にも関わらず、精度の高い企業分析の手法についてはなかなか学べません。それもそのはず、企業分析というのは社会に出てからも必要なスキルになり得ますが、企業分析を生業にしているコンサルを名乗るようなプロにとっても、なかなかに難易度が高いものなのです。プロにとっても難しいのですから、それを適切に教えることができる人材も限られてしまいます。また、企業分析の一貫として重要度が高いと言われるOB/OG訪問についても、外大生は他大生と比べると下手くそで、本当に必要な情報を取れずに終わっているケースが散見されます。「どんな仕事をしていますか?」「仕事をしていて楽しいと感じるのはどんな時ですか?」といった完全なる失敗質問を繰り返すような訪問は時間の浪費にしかならず、1ミリも得られるものがありません。先輩から自慢話だけされて終わった、なんて先輩の批判をしているようでは非生産の極みです。先輩の性格に問題があったのは事実だと思われますが、良い話を引き出せなかった自分にもまた非があるものです。傍から見ればどっちもどっちです。また、ここでの分析をはずすと、入社したとしてもミスマッチが起こってしまい、不幸な末路を辿る可能性すらあります。極めて重要な部分にも関わらず、外大生にとって必要な方法論やあらゆる情報が不足しています。間違った方向にだけはいかないように、何とか卒業生の視点から、狙い通りの内定を獲得する確率を上げる参考になれればと思います。

では、いつものように免責事項です。

<免責事項>※前回とほぼ重複しますが念のため記します
本題に入っていく前に心苦しいお断りがあります。大変申し訳ないのですが、当たり前のことながら、ここから先の内容は「『必ず』成功できる」という類のものではありませんのでご注意ください。「『絶対』狙い通り内定獲得できる」ノウハウが世の中にあれば、こんな楽な話はありません。残念ながらそれは不可能です。我々が提供できるのは、あくまで、一定の定量的な経験に基づく方法論です。これは後でも触れますが、確実に成功する方法を示すのは難しいのですが、確実に失敗する方法を示すことは比較的容易です。以後示していく内容は、確実に失敗する外大生の事例を数多く見てきた視点から失敗をなるべく避け、成功する確率をできる限り高める、という考え方でお伝えしていく内容です。よく言われることなのですが、就活というのはどうしても「運」の要素が絡みます。面接という手法を取り入れる以上、あるいは最終的には人が内定者を選ぶ以上、合う/合わないという相性の問題は出てきてしまいます。本気で合わない人が自分の面接官になってしまった場合、それはもう運が悪かったとしか言いようがないことになります。一方で、今も昔も「実力」が重要な要素であることも疑いようのない事実です。ここで言う「実力」が何を示すのかは講座の肝になってくるので講座内で詳述しますが、その「実力」を最大限に高めておくことで(実力を下げる方法を取らないことで)、「運」が回ってきたときに確実に自分のものとする、というのがコネ無し就活生の基本的な就活の戦い方になってきます。そのあたりの機微について、本題に入る前に明記しておきたいと思い、補足させていただきました。

また、本講座は自分の関心があるところをつまみ食いできるように設計しているつもりですが、それでもどうしても前回までの内容を踏まえないと理解度が浅くなってしまう場面もあるかとは思いますのでその点も頭に入れて読み進めていただけますと幸いです。

<デスクトップリサーチの方法と手に入れるべき情報>
さて、企業分析というと、とりあえず企業の採用ページであったり、企業が発行している会社概要等々、既存の情報から収集し始める人が多いと思います。そういう既存情報を収集していく分析手法のことを、読んで字のごとく「デスクトップリサーチ」と言ったりします。今時はネットで色々見ているだけでもかなりの情報がありますし、何より手軽ですからデスクトップリサーチからやっていくのが定石になると思いますが、それにしてもどう「良質な情報」を集めていけば良いのだろうか、というところが重要になってきます。ご存じのように、特にネット上にはあまりにフェイク情報が多いです。加えて、企業の採用ページや採用関連の読み物、インターンシップ、その他の様々な学生と企業との接点というのは、当然のように世に言う採用ブランディングが施されているため、嘘ではないけどちょっと盛られた夢のような情報にあてられてしまうことがあり得ます。客観的な情報収集が重要ながら、情報爆発によってそれがどんどん難しくなる現代において、特に新卒の就活という場面でのその難易度はかなり高いものがあるわけです。ありがちな例としては、新卒の学生から見ればブラック企業としてテレビやネットで報道されている企業だけがブラック企業に見えてしまうものですが、実態としては報道されていない企業の方がブラック度合いが深刻なケースが多々ありますし、逆に実は全然ブラックじゃないのにブラック企業だと思われている企業も沢山あります。世界的なベストセラーにもなった『FACTFULNESS』にもそういった客観的な情報から人々が遠ざかってしまうメカニズムが書かれていますが、就活におけるブラック企業の判別については最たるものでして、これについては書きすぎてしまうと脱線してしまうので、本講座初回の「ブラック企業の不都合な真実」の項に譲ります。

とにかく、そういったノイズを最小化しながらいかに良質な情報を手に入れるか。完全にコツがあるので説明していきます。まず、思い出していただきたいのが、

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