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【interview】武蔵野大学の明石先生が都会の屋上菜園で育てたい "Re-generative" な豊かさとは?(前編)

はじめまして!明治大学の4年のひろとです!
Tokyo Urban Farming Projectでは、SNSやイベント企画を担当しています!
今回は、2月に行った武蔵野大学有明キャンパスの屋上菜園の見学と、明石修先生のインタビューの模様をお届けします!

インタビュー相手
明石 修 (あかし おさむ)先生:
武蔵野大学工学部環境システム学科准教授 博士(地球環境学)
パーマカルチャーの手法をつかって、ひとと自然がともに豊かになるような関係のつくり方を実践的に研究中。大学に集う人が自然につながる場として屋上にパーマカルチャーガーデンを学生たちとつくっている。趣味は種まきと育苗。植物の芽がでて伸びていくのを見るのがたまらなく好き。人が自分で伸びていくのを見るのも好き。

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TUF取材チーム
ヒデさん:UNIVERSITY of CREATIVITY(以下、UoC) サステナビリティフィールドディレクター。サウナが好き。
こうさん:UoCプロデューサー。3児の父。家庭料理担当。プロデューサー。3児の父。家庭料理担当。
宮村さん :UoC  FERMENT「SUSTAINABLE CREATIVITY」メンバー。コンポストやカレーに詳しい。
山岸くん:立教大学4年。UoC  「バイオフィリック・クリエイティビティ ゼミ」1期生。日本酒と焼酎の知識が豊富。
ひろと:明治大学4年。「SUSTANABLE CREATIVITY実践編」1期生。最近水墨画を始めました。

野菜を育てるだけでなく、植物や人が育ってくる生態系に

ひろと:武蔵野大学有明キャンパスの屋上菜園では、どんなことをやってるんですか?

明石先生:工学部環境システム学科の2・3年生の学生と一緒に、屋上菜園を運営しています。野菜をたくさん収穫する農業というよりは、「生態系」を作っていく。その中から自分たちが得られるものを大切にしています。

野菜を作ることが目的というよりは、ここを通じて植物とか生態系も育っていくんだけど、そこから人も育っていくような場所にしたいと思って。それで学生たちと一緒に作っていくような形にしています。

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--明石先生に、屋上菜園を案内していただきました!--

パーマカルチャーに基づいた畑

トマトやブロッコリー、ネギ、ハーブ、ホトケノザなど、多様な種が共生している屋上菜園。単一の野菜を植えるのではなく、それぞれの野菜についている菌や虫などの習性を活かしあいながら、生態系を作っていく『パーマカルチャー』の考え方に基づいて作られているのだという。

ひろと:この畑は最初どのように作ったのですか?

明石先生:最初は買ってきた土でした。赤玉土というそんなに栄養の無いものと、落ち葉の腐葉土。武蔵野大のもう一つのキャンパスに木がたくさん生えているので、その落葉を腐葉土にして持ってきて。土壌は年々どんどん豊かになってきていて、数年前より明らかに育ちやすくなっています。ミツバチもよく働いてくれていて。自然はそうやって豊かになっていて、日本のほとんどの土地も放っておくと、最後は森になると言われています。ここも多分なると思う(笑)。

その過程で、生態系にとっても人間にとっても一番いいとこでバランスをとる。そこに行くまでの豊かにしていくところは、人間がやるというよりかは、自然がやってくれるのを手助けしたりする。この畑のやり方は、ちょっと普通の農業とは違います。

【DIY ピザ窯】

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明石先生: これは簡易で作ったピザ窯なんですけど、構造とかも学生たちが考えて作りました。最初は温度が200度以上上がらなくて、どうしようかと思っていたところに、煙突作ってみたら、上昇気流が起こるようになって温度が上がることを学生が学んで、ピザを焼けるようになって。実践的な学びというか、これを工夫しながら。すげぇ楽しかった!

ひろと: なんかみんなで作っていく感じがいいですね!

明石先生: ここで夏にピザパーティをやったんですけど、めっちゃ盛り上がりました。屋上菜園を開放して、トマトとか収穫してピザを自分でオリジナルを作って、いい感じにして。学生と教職員さん含めて200人ぐらい来てくれて。ピザ窯1個だから全然ピザ焼くのがが間に合わなかった。(笑)

ひろと:明治大学でもやりたい!!

ヒデさん:明治大学でも作っちゃえばいいじゃん!

人や場所のニーズから考える

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明石先生:今年の学生はここに竹ドームを作ったんですよ。

夏にここすごい暑いんで、日陰がなくて。へちまとかを合わせて、くつろげる場所にしようって言って。でも、ちょっと強度が足りなくて危険だったんで、取り壊しちゃったんですけど。

パーマカルチャーには、「人や場所のニーズから考える」と言う考え方があるのですが、ここには、何がニーズとしてあるかを観察して。
「夏すごい暑かった」「涼しい場所を作りたい!」と言うので、学生がいろいろ調べて、竹ドームというものを見つけてきて。自分たちで設計書いて作っていたんですけど、めちゃくちゃ楽しそうだった!

朝、授業前とかに来て、1限始まる前とかに来て、普通の授業だったらでも1限なんてもうめんどくさいなーって思っちゃうような感じなんだけど、朝からここに来て、みんな竹ドーム作って、「立ったぞー!」みたいな(笑)

【落ち葉プール】
自然に逆らわずにどうやってデザインしていくか

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明石先生: 色々積んでいますけど、これは落ち葉堆肥で。そこの前の公園のところに欅の並木があって、そこで朝掃除してるおじさんから、100袋以上の落ち葉もらってきて。それをこの箱に学生たちとで入れて。学祭のときにみんなで作ったんだけど、子供たちがここでプールで遊ぶみたいな落ち葉プールみたいなのを作りました。

ここで子供たちに遊んでもらうと、勝手にこう踏んでくれて、すると落ち葉をいい感じに、ほぐれてくれて。

ヒデさん: キッズトラクターですね(笑)。パーマカルチャーで鶏を歩かせて畑耕す「チキントラクター」に似ています。そこに集まるいろんな力をうまく関係づけて、活用する。

明石先生:そうですね!無理にやってもらうんじゃなくて、その習性というか、ひとや生き物が自然に楽しくやってくれることをうまくとりいれるようにしています。子供たちもこの落ち葉があったら、もうめちゃくちゃ楽しく遊んでくれます。結果として落ち葉がいい感じにほぐれてくれる。そういう「習性」を組み合わせてやっていく。

無理に何かをやることって、常にエネルギーが必要になるんじゃない。自然に逆らってやることって全部エネルギーが必要になる。逆らわずにどうやってデザインしていくかを大切にしています。

【DIY 養蜂】

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宮村さん:そっちがミツバチですか?

みんな: すごいー!

宮村さん:なんでビールケースの中にペットボトル入ってるんですか?

明石先生:重りです。水入れてて。

ヒデさんへぇー!これぞクリエイティブ。収穫できてるんですか?

明石先生:収穫できます。

ヒデさん:どれぐらいはちみつ出来るんですか?

明石先生:10キロくらいですかね。今年はコロナで入れなかったのですが、去年は10キロくらい取れました!こないだそれを青山ファーマーズマーケットで、出店して売りました。

このくらいの瓶で(50グラム)800円かな。いいお値段だけどおかげさまで好評です。

ヒデさん:東京でできたはちみつがいいんでしょうね。
50 gで800円だったら、その100倍… そしたら8万円??

明石先生:そうです。まだ学生の人件費は出ないですけど。何か物を作ったりとかするときに、資金として使ったりして、回していく。いつかここで経済も回したいです。

いくらで売ったらいいかも、学生が調べて。
一応なんか原価計算してみたり、そういう勉強をしました。

山岸くん: ここのミツバチ達は、だいたいあの畑から蜜を取ってくるんですか?

明石先生:いや、この周りがほとんど!
意外とお台場の周りに花があったりとか。木があったりとかして、そっから取ってくる。ここまで戻ってきて。半径2キロくらいはいくんですよ。

結構ね、養蜂は農村地域よりこういうところの方がやりやすいですよ。農薬を撒いてないんで。農村地帯の方は農薬の影響で、ハチは意外と住みにくかったりします。ここは、もう街路樹とかも濃薬やってないんで。むしろ、都市と蜜蜂は結構相性がいい。

ヒデさん: あんまお台場は好きじゃないんですけど、すごい人工アイランドというか、そういうとこで、そんなに取れるんですね。

明石先生:結構取れますね!木とかの蜜も取ってくるんで。

人間が作り込んできた場所の中に、余白のような場所を作りたい

ヒデさん: それにしても、このお台場という人工的につくられた場所の中で、こういう生態的に豊かな場所が4年ぐらいでできちゃうというのが、すごいですね。

明石先生:そうですね。 何か都市がそうなればいいなって。今まで人間が作り込んできた場所の中に、自然とか人間がコントロールできない要素を入れていって、余白のような場所を作りたい。
そうやって都市をアップデートしていきたい(笑)。

ヒデさん:そうですよね。まさに同感ですね。 以前にポートランド行ったときもいろんなところのパーマカルチャガーデンを回ったら、どこに行っても養蜂があって。もう必ず養蜂とコンポストが畑が必ずセットであるんですよ。あとピザ窯も。もうなんかパーマカルチャー の4点道具見たいな。

うちの庭にもピザ窯を作ろうとしたんだけど、隣の人から「燃えると危ないんじゃないか」と言われて、事前にケアはしてたんですが、泣く泣く諦めて、土台だけ作ったのが残ってます(笑)

明石先生:確かに、コミュニティを作るようなパーマカルチャーガーデンでは、やっぱり初めの方で、ピザ窯を作ることも多いです。そこで人集めて本格的に始める。

ヒデさん:ピザ窯があるとみんなで楽しめるし、食べれるし、いいですね。手作りだとお金もかかんないですし、みんなで作るのも楽しいし!

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前編はここまで!後編では、明石先生がこの場所で屋上菜園を始めた理由や、晴海にあるタワーマンションでの屋上菜園プロジェクト、今後の展望についてお聞きします!

Tokyoを食べられる森にしよう
Tokyo Urban Farming
http://www.tokyourbanfarming.jp

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