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TABU tabloid

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共同主宰・たかやまのアート・レポートなど *tabloidはメンバー個人が作成するマガジンです。 *マガジントップ画像:齊藤智史氏の“イシキ”より
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#gallery

風にゆらぐ静かな絵画たち。

ロバート・ボシシオ「BEYOND」展 104GALERIE 池尻大橋まで歩いた。 それは、私にとってはさしたる距離でもなく、 とても日常的な行為だけれども、 お金で時間を買う行いのほうが自然な忙しい人たちにとっては 不可解な行動かもしれない。 私にとっては、歩く間に、余計な考えが徐々に削ぎ落とされ、鑑賞に向かっていく感じがまたよいのだ。 週末にギャラリーをいくつも回ろうとしているときなどは、 そうもいかないことが多いのだけれど、 今回は、ロバート・ボシシオだけを見に行く。

複眼的なひとつのせかい。

小西景子「水の影、光の粒子」 染谷さんのギャラリーに最初に伺ったのは 三瓶玲奈さんとやましたあつこさんの展示のときだった。 このとき、実は会期に間に合わず、 三瓶さんから教えていただき、染谷さんと連絡をとって 会期後にギャラリーを開けていただいて拝見した。 ・ 四階まで階段を登り(エレベーターはない、しかもなかなかに急な階段だ)、ドアを開けると、染谷さんが時間に合わせて待っていてくれた。 ・ もちろん目的は、 三瓶さんとやましたさんの合作展を拝見することだったが、 染谷さん

静謐な世界にざわつく気持ち。

髙木大地さん個展「Light, colour, outlines」 初めて拝見した。 2010年に多摩美術大学大学院美術研究科修士課程を修了した作家で、 「DOMANI・明日展 2021」に参加されていた髙木さんの 三年ぶりの個展だそう。 ・ 「DOMANI・明日展 2021」を見逃していただけに、どうしても見たかった。 ・ ギャラリーの芳名帳のそばに、予約申込表があった。 何かと思ってみると、 約10年間の作品をおさめた作品集「Daichi Takagi 2010-202

分け入っても分け入ってもたどり着けない。

山本亜由夢さん個展「我々の休暇」 アーツ千代田3331から上北沢の一軒家に移転した Open Letter。 オーナーの自宅兼ギャラリーとなった。 ギャラリー部分は、DIYで仕上げられ、 漆喰の壁塗りワークショップに私も参加した。 いやぁ、楽しかった。 上北沢に来ても、土曜日・日曜日のみ開廊のスタイルは変わらない。 これがなかなかにハードルが高い。 そしてパンデミック。 そんなさなか、オーナー家は三人家族となった。 壁塗り以来お邪魔できずにいるうちに いろいろなものが動

未知の、湧き出る本能のような。

宮間夕子 二人展「MONONOKE」より 東京・日本橋のギャラリー MASATAKA CONTEMPORARYで 2020年8月22日から9月11日まで開催されていた 上床加奈さんとの二人展「MONONOKE」から宮間夕子さんの作品。 ・ 宮間さんは武蔵野美術大学造形学部油絵学科を卒業した作家。 最初にお目にかかったときは、横浜美術大学の助手をされていたように 記憶している。 宮間さんのステートメント 描かれるこの者達は、目に見えない神秘の力を視覚化させた存在であり、それ

それぞれ孤独、という多様性。

干場月花「多様性というかたち。」 RISE GALLERYの特徴ともなっている 「Creativity continues」シリーズ。 毎年、二人の作家が個展、二人展、グループ展と 一年弱にわたって制作を続ける展示だ。 作家にとっては、それなりにハードな制作期間となる。 ・ この「Creativity continues」シリーズに参加した作家の その後の変化や成長に注目するシリーズとして 「Creativity still continues」というシリーズがある。 その

何ものでもない何かを遠くに見る。

清水香帆「辿る先」 RISE GALLERY「Creativity continues 2018-2019シリーズ」最後の展示として開催された清水香帆個展『辿る先』を拝見した(会期終了)。 ・ 清水さんは、女子美術大学大学院美術研究科博士前期課程美術専攻洋画研究領域修了した画家。「群馬青年ビエンナーレ2015」入選(2015)「シェル美術賞展2016」入選(2016)などの実績がある。 清水さんの作品はこれまでにも何度か拝見している。 前回は紙の支持体にドローイングとい