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[思い出と光のテクスト]いつもそばにいた、ピッピカチュー

ポケモン、それは日本が誇る偉大なコンテンツである。わたしが小学生だったころ、彼らはやってきた。恐ろしそうな火を噴く怪獣から、スプーンを曲げるどこかで見た超能力生物、巨大なカエルの背中に咲く怪しげな花は、そのいずれも原作者たちの高い創造性の産物だ。

そして、最も愛されるポケモン、それはやはり「ピカチュウ」であろう。

最初期のピカチュウ
サトシのモンスターボールに入るのを拒否して木の上に逃げたシーン

この「電気ネズミ」という設定、モンスターボールに入れなくとも肩に乗せて運ぶことのできるポータビリティー、そして何よりもピッカッチューというかわいらしい鳴き声、それら要素が相まって、このキャラクターをポケモンの代表選手に押し上げた。

実のところ、ゲームの中で、とりわけ強いキャラでも無かったピカチュウであるが、アニメやグッズなどを通じて存在し続けたピカチュウは、世代を超えて愛されるキャラクターとなった。

皆さんの記憶から、ポケモンと戯れたであろう、ゲームボーイを取り出していただきたい。布団の中でも、机の上でも、旅行先でも、ポケットに入りはしないが、どこにでも持ち運ぶことができた、あのゲーム機である。ポケモンは、この箱の中で、子供たちと共にいた。

そして、通信なんぞ試みるには、重厚なケーブルを利用するか、なかなか繋がらない赤外線通信を何度もトライする必要があった。そう、この箱は閉ざされた世界であった。

ゲームボーイ
大きさは横に長い携帯電話程度だが、
厚みが3センチもあったことは、皆さん覚えているだろうか

アニメ版ポケモンが放送されはじめた翌年、太平洋の向こう側、人類の科学と進歩の最先端を行くシリコンバレーで、ある企業が産声を挙げた。そう、Googleである。

彼らは、パソコンを起動して、始めに接続する「ポータルサイト」の覇を競い、人間の手でウェブサイトへのリンクを整えていたYahooに対し、「アルゴリズム」を提供することで、必要な情報へ接続させた。そう、ポータルサイトなんて必要なかったのだ。今でも知られているとおり、Googleというロゴの下に、文字を打ち込む口だけ開いている、人類が手にした情報科学の結晶がそこにある。

パソコンを起動して接続、の前に、儀式が必要だったことも合わせて思いだそう。ピィピィガーーーピゴーンという音は、わたしたちが新たに踏み込む新世界インターネットの扉の音であった。

わたしたちは、ポケモンをいつしか忘れ、文字だけのサイトを巡回し、便所の落書き2ちゃんねるに無意味な殴り書きを行い、そして大人になった。その落書きのなかで、ある人物に言及したい。

大哲学者ググレカス

ググレカス
ローマ帝国の哲学者

ググレカスは、森羅万象を知る男として、ローマ帝国中に名を知られた哲学者だった。しかしながら、人々が彼に何を尋ねても「ググレカス」としか答えなかったのだという。もちろんながら実在の人物では無い。

人々は、酔いしれていた、本の虫になって図書館で何かを調べあさらなくとも、そんな奴よりはるかに多くの知識を、ググるだけで手に入る時代がやってきたのだ。自明な質問を投げかける、愚かな人間には「グーグル使えよググれカス」という罵声が浴びせられることとなった。

しかし、人類は忘れていた、私たちが良識という鳥かごの中に存在したことを。

進撃の巨人より
悪意に満ちた巨人達が、壁の向こう側にいることは忘れ去られていた

かつて存在した、アングラサイト

社会の表面ではない何か(ポルノとかコピーソフトなど)を提供したそれらのサイトは、誰がどう見ても裏街道そのものの絵をしていたし、間違って入ることも、逆にそちらが世界の真実だと思い込むことも無かっただろう。サイトの制作者はもちろん、アクセスしている人間も、そこが何かしらの裏の街道であることは理解していたのだ。

Search Engine Optimization(SEO)と不毛なサイト群
「いかがでしたか?」

名声を轟かせたグーグルのアルゴリズムも、全ての社会制度と同様に、その裏をかくようなチートが行われるに至った。検索に引っ掛けるように、背景色と一体化した単語の羅列などを覚えているだろうか?そのような初歩的なテクニックは、Googleの企業努力で乗り越えられたが、結局のところ内容に乏しいキュレーションサイトと、一文字一円貰っているか怪しい、チープなライターの書いた乱造記事がヒットするようになった。

このような不毛の森から、まっとうなコンテンツを持った企業、あるいは個人は、その軸足をインターネッツからまともなポータルサイトなどに移していったことは、あえてその詳細を語るまでも無いだろう。

コストと情熱、そしてナラティブ

どのようなサイトが、人々のググりの果てに見つかるようになったのか、社会は進歩したが、コンテンツはそれに伴い劣化していった。全ての人が情報を発信できるようになった現代において、ググりの上位にのせる(検索に引っかける)ためには、大変なノウハウとコストが必要となった。

いつしか、インターネッツの勝者は、アクセス数を稼ぐことのみを主眼とした「キュレーションサイト」やサムネだけでクリックさせようと割り込むYouTube動画となった。肩こりの原因が悪霊である現代において、彼らのような亡霊は社会をさまよう。悪貨は良貨を駆逐した。しかも、間違って一度でもクリックしてしまったら、同じような動画が延々とリコメンドされるのだ。

この荒涼とした不毛なインターネッツから、目を離してみよう。そう、毎週金曜日、わが子たちが、ポケモンを視聴している。

永遠の挑戦者サトシと、相棒ピカチュウ

ピッカッチュー、という言葉をよく聞いてみよう。魂を研ぎ澄ませ、真実を見いだそう、何事にもとらわれず、あなたの心の目を見開こう。

ヒッピー運動のスローガン:Turn on, Tune in, Drop out

ピッカッチューPick up true悟しサトシ

 永遠の挑戦者サトシは、相棒ピカチュウと共に、ポケモンマスターという高みを目指して、わたしが子供のころから励み続けている。実のところ、この偉大なアニメに隠されたテーマ、そこまでしてサトシが目指す目標、それは真実を見いだすことPick up true、というものだったのだ。

現代のカントー地方で、Pick up trueすることは容易ではない、だが、サトシは諦めない。彼は、子供たちのヒーローであり、大人たちも忘れてはならない熱いハートを持ち続けている。

馬渕 睦夫氏
外務省のエリート官僚だった彼は退官後、防衛大学校の教授を務めた後
Pick up trueしてディープステートと戦う光の戦士となった

補足:赤外線通信のできるゲームボーイは、あの分厚い初期型ではなくて、薄く小さくなった(ギリギリポケットに入る)あっちではないか?という声について。「マンデラエフェクト」というキーワードでPick up trueしていただきたい。ピカチュウの尻尾が黒かった世界から、あなたは来ているかもしれない。あなたの世界線は、どちらですか?

「シュタインズ・ゲート」より
バッドエンドしか見当たらない世界で、あなたは真実を見つけ出す

ピッピカチュー、真実を悟す電気ネズミは、わたしたちの心にいつもいたのだ

子供たちに愛されるピッカッチュー
心の奥底に見いだしたその姿は、グロテスクなものかも知れない

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