どうしても仕事が欲しくて欲しくてジタバタしていた物書きの営業法①
こんにちは、千賀つづらです。
現在は専業の物書きをしており、同人小説や商業小説、時にはシナリオなどを書いています。
さて、今回はいわゆるお仕事の取り方、「営業」についてお話をしたいと思います。
営業って言ったって、小説家がガツガツ仕事を取りに行くのは格好悪いと思う方もいるかもしれません。
ですが、今は書き手・コンテンツ共に大飽和時代。
本当は向こうから声をかけてくれるのを待つのが一番ですが、そんなことを言っていたらいつまで経っても実績は増やせません。
むしろ今はクラウドソーシングなどで営業・提案をする方も増えておりますし、ものの考え方や営業の仕方などは知っておいて損はないと思います。
かくいう私も長らく文章一本では食べられない時代がありましたし、今後食べていけるかもまったくもって不透明です。
なので割とガツガツ営業するタイプですし、今も「あ、この仕事やりたい!」と思ったら迷わず営業するようにしています。
ちなみにですが、商業での私自身のスペックはこんな感じです
と、こんな感じです。
きょうびコミカライズ原作はしたことがあるよ!という方も多いですが、私は商業でそういった経験は……ありません……。
それでも度重なる営業の末になんとか今はいくつかのお仕事をいただけていますし、自分自身でコンテンツを発信することで無事ご飯も食べていけるようになりました。
そんな、いわゆる「売れない物書き」の私がどのように営業をするのかを書いていきたいと思います。
今「書き手」が足りない業界は何かを見定める
なにごとも、需要と供給というのが大切です。
物書きにも同じことが言えまして、例え小説レーベルさんで「もっと刊行点数増やしますよ!」というお知らせなどがあれば、それはきっと作品を書ける作家を増やしたがっていることでしょう。
逆に「これから刊行点数を減らします」「雑誌を休刊します」という場所で新規の営業をかけようとしてもなかなか成功はしないわけです。
例えば自分が100万部売り上げた超大人気ベストセラー作家とかなら話は別ですが、こっちは売れない作家なんですから、そこらへんはシビアに見定めないといけません。
私は作家は職業であって芸術家ではないという考えを持っていますので、割と「あー、今TLのシナリオライター探してる感じ?」「小説の方はどうかな。電子で新規レーベルができたな…」と市場を探っています。
そこで「あっ、ここ今人欲しそう!」と思ったら、できるだけ素早く営業をかける方がいいでしょう。多分同じことを思っている人は、周りにたくさんいます。
ポートフォリオを作る。複数ジャンルで作る。
さて、今人が欲しそうな業界が見つかったら速攻営業!カチコミ上等!
……となるのですが、ちょっとお待ちください。
武器、装備してますか?
丸腰のまま当たって砕けろ大作戦をしておりませんか?
本当に当たって何回も砕けたら心まで折れそうになってしまうので、その前に武器であるポートフォリオを用意しましょう。
ポートフォリオと言っても、種類は多岐にわたります。
などなど、ざっくり言えばこれまでの成果物が見えるものが必要です。
(営業かけたいレーベルさんで指定されているものがあれば、絶対にそれを提出しましょう)
コレなしで営業をかけるのは「なにができるかよくわかんないけど、とりあえずココで書かせてください!」という、割と本気で無謀なチャレンジです。
勇気と勢いは良いんですが、せめて「私はこれを書けます!(書いてきました!)」という証拠を出しましょう。
これを、やりたい仕事ごとに用意します。
例えば乙女向けの小説とシナリオライター、両方をやりたいと思ったら、
①小説の営業用にムーンライトノベルズに作品を上げておく
②シナリオの営業用に短いシナリオ(エロあり)をPDFでまとめておく
この二つを用意しておくといいでしょう。BLもまた然りです。
或いはマンガのシナリオもやってみたいな~と思ったら、
③脚本形式の短いシナリオもPDFでまとめておく
これくらいをしておくと後々スムーズです。
理由は単純で、小説に求められる能力とシナリオに求められる能力は、近しいですが同じではないからです。
私もかつて「小説書けますので漫画シナリオやらせてください」と無謀なチャレンジをして轟沈したことがありますが、「小説書ける」と「シナリオ書ける」は結構違う筋肉を使います。
地の文がないので、小説と同じような描写をシナリオではできないんですよね。
そしてシナリオもまた然り。地の文で説明できていたことをセリフや動きであらわさないといけないので、分けて考えた方がいいと思います。
あと、物語重視のレーベル(サークル)に営業をかけたいのか、それともエロ特化のレーベルに営業をかけたいのかでも話が違ってきます。
バチバチエロエロを掲げているところに「超泣ける純愛ラブストーリーの企画持ってきました」はカテゴリーエラーです。
営業をかけるということは「自分はこんな商品が作れます」とアピールすることですから、ここは自分が書きたい作品を出すのではなく、相手側のニーズに合わせたものを提案しましょう。
できれば完成した原稿を持っていきたい
さて、ポートフォリオが用意できたところで、その中身についても触れたいと思います。
ムーンライトノベルズさんで連載している100話越えの大長編!
全部はできてないけどイイところまで書いたシナリオ!
とか、往々にしてそういうものは物書きの手元にあるものです。
「物語が書けます」という証明にはなるので、ないよりはあった方が絶対にいいのですが、私はできれば完成原稿を用意して営業に挑んだ方がいいと考えています。
なぜかというと、これは
「私は物語を書き終えることができる人間です」という証明になるからです。
なにを言っているんだお前と思われるかもしれませんが、物語を一本完結させるのって本当に大変なんです。人生で一度も話を完結させたことがないという人だって、割とざらにいます。
人生をかけた大長編というのは非常にロマンがあって私も大好きなのですが、営業先が欲しているのはロマンの塊ではなく「完成された一本の原稿」です。
企画を立てたはいいけど、壮大になりすぎて終わりそうもないとか、途中で飽きてしまったとかだとまず商品にはなりません。
先述しましたが、営業先にとってあなたの物語は商品です。
飽きることなく最後までしっかりと書き上げられることがなにより大切なので、その証明をしましょう。
既に作品をkindleとかで出してるよ~!という人は、それをポートフォリオにしてもいいと思います。
「この話を最後まで責任もって書ききりました!」といえるので、形はなんであれ説得力が段違いです。
今まで作品を販売したことがある人はそれを実績にすれば問題ないですし、販売したことないな~という人は無料で一本、短編でもいいから物語をしっかり(中身空っぽとか全く別の方向性とかはダメですよ。先述したようにジャンルを見極めましょう)完結させて、それを装備としてひっさげつつ営業をしていきましょう。
……と、ここまで営業を行う前の準備のことをつらつら書いていきましたが、長くなってしまったのでここで一旦切ろうと思います。
あと、「お前一次同人で作品出すまでメシ食えなかったんじゃねーのかよ!」というツッコミは甘んじて受け止めます。事実ですので…
ただ、そんな中でも年に数本のお仕事をいただいてましたし、それらすべてが営業で獲得したものだったので、そこら辺のノウハウは結構蓄積しています。食べていけなかったのはひとえに実力不足です。
また、「じゃあ手っ取り早く同人やりてぇ!」って方にも記事を用意してますので、良かったらこちらも見ていただけると嬉しいです(宣伝)
それでは、次は実際にポートフォリオを作って営業をする時のコツについてお話しできればと思います。
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