見出し画像

田舎暮らししたことない問題から考える、移住(引っ越し)先の地域特性と個人属性。 (3/3)

都会に戻ってきました。そして田舎暮らしを検討し始めました。

3回目の引っ越し(都会⇨田舎)

第一子爆誕。家が急に狭くなった。赤ちゃんグッズが増え、家で過ごす時間も増えた。あまりに狭いので、ベビーベッドを置くためにテレビを捨てた。あって当たり前と思っていたが、改めて優先順位をつけてみると最下位となったテレビ。必要に迫られてやむなく手放したわけだが、捨ててみると意外と見てなかったのでむしろスッキリ✨これが断捨離か!と感動していた。
いや、感動しているのも束の間。本当に家が狭い。50cmほどしかない人間が一人増えるだけで、都会のど真ん中のマンションの一室は牢獄のように感じた。赤ちゃんが泣けば家中が泣き声でいっぱいになる。
逆に言えば赤ちゃんの寝返る音すらどこにいても聞こえそうな家だったので新生児の生死を見守る必要がある時期までは良かったのかもしれない。
(夫は寝ると赤ちゃんの声が全く聞こえなくなる能力を持っていたので、睡眠が阻害されることはなかった)

初めての育児

合理性のかけらもない赤ちゃんを相手にするのは仕事ばかりしていた大人の世界にいた私には苦労も多かった。なかなか寝ない赤ちゃん相手に本気で怒ったり、赤ちゃんを可愛く思えない自分が生物として終わってるんじゃないかと情けなくなったりもした。
病院からもらったリーフレットには"赤ちゃんが夜寝るには太陽光を浴びせて自然な1日のリズムを感じることが大切です"とあった。太陽光。窓は南東側に一つ。いつも帰宅は暗くなってからだったので気にならなかった採光。
朝はそれなりに明るかったが必死に窓際に連れて行くものの日が入る時間は限られる。
とにかく外へ出かけた。周辺は百貨店や複合施設が徒歩10分ほど。赤ちゃんスペースもあり授乳もおむつ替えも休憩もできる。何より百貨店なので足りないものがあればすぐ買えたし、抱っこ紐でいけばベビーカーも借りられて身軽に出かけられた。至れり尽くせり。
整備された美しい公園も徒歩5分ほどで到着し、ゆっくりと過ごすことができていた。揺れる木の葉をじっと見つめる娘を見ながら肉まんを頬張ったりした。
都会の美術館や大きな施設は赤ちゃん連れも考慮されており、バリアフリー設計がなされていたり、ミルクのお湯まで準備しているところもあった。電車さえ乗らなければ、かなり快適な環境だった。
幸い、抱っこ大好きな赤ちゃんで抱っこさえしていれば猛烈に泣くということはあまりなかったのでお出かけは比較的容易だった。

育児と仕事を両立させたい。ただそれだけ。


ただし、この小さい人もだんだん動きたくなってきた。しかし家が狭い。
当然、はいはいし始める頃には引っ越したいね、と考えるようになった。周辺の家賃を見て驚愕。60平米で35万なんて安いんじゃないかと思うほどだった。
そしてそんな時、保育園には入れないことがほぼ確定し、無認可に入れて復帰を検討することになる。見に行ったところは1ヶ月20万〜(施設費、その他教材費など別)。
家と保育園で最低55万円/月。働く意味とは。いくら消費する街とはいえ、コストかかりすぎでしょう。

そこから、真剣に自分たちの生活の優先順位を考えた。

🍎保育園に入れるエリア
🍎広い住居。欲を言えば庭。
🍎できれば乗り換えなしで行けるところ。どんなに遠くても通勤1時間以内

保育園に入れるエリアというのがかなりネックになった。当時0歳児の入園は熾烈な争いだったので、住民歴が長い家庭が優先される自治体が多かった。
つまり、今から引っ越して入れるエリアはかなり限られた。
優先順位第1位でいきなり行き詰まった。調べてみたら政令指定都市のほとんどで待機児童がいる状況で、人口が少ない田舎を狙うしかなかった。
そこから今移住した地域が引っ越し先の候補に上がってきた。3番目の1時間以内は怪しいが、夫は新幹線で通勤できることがわかり乗車時間は1時間を超えるものの確実に座れるし、仕事や読書に充てることができそうだということがわかった。
優先順位の上位2つを満たせることがわかり早速役場へ。必死な思いで子供を抱えて担当課を訪ねた。

🍎 "あの。大変恐縮です。これから引っ越しを考えているのですが、4月から保育園入れてもらうことはできますか?まずは短時間からとかでもいいのでどこか入れるところはありますでしょうか?"

🏢"はい。この書類にお名前など書いていただけますか?現在の住所で大丈夫です。"

保育園入園手続き終了。

え?あのポイント計算するための現在の自分の状況を事細かに説明するための数十問に回答する紙はないんですか?拍子抜けにも程があった。

田舎の多様な住民構成

過去数十年移住者がじわりじわりと増え続けている地域であり、聞けば15年内の移住者をカウントしたら住民の半数は移住なのでは?という話。
また移住の理由も様々とのこと。農業がやりたい人、転勤で来て以来この土地が気に入って住み続けている人、隣町から引っ越してきた人、都会と田舎のいいとこ取りをするための二拠点の人、都会に疲れた人、別荘使いの人、子育て移住の人、バラエティに飛んでいそうな町民の様子が窺えた。
属性バラバラだ。2番目に住んだ街で感じていた人の統一感はあまりなさそうだ。同調圧力からくるソーシャルプレッシャーも低いのかな、と勝手に思った。
"ゴミ捨てルール間違えて村八分みたいなことはありますか?"と聞くと、"私も移住なのですが、気持ちの良い人が多い気がしています。気候のせいですかね?"と笑って否定してくださった。応対してくださったのが懐の広い方でよかった。
その後、色々あってこの町への引っ越しを決めた。リスクを考える役割の方として、まずは最低限優先したいことが満たされていることを確認
そして地域の特色と町の人々の属性の多様さが居心地良いかもと思えた。自分たちのバックグラウンドに関わりなく地域と関われそうなところが今まで我々夫婦になかった観点だなと純粋に興味が湧いた。
前回の引っ越しは私に主導権もあったし今回は譲ろうかと思えた。本当に無理だったら都会に戻ってくる意思があることを互いに確認して、田舎暮らしを試しにやってみることにした。

気候がいかに人間の判断や思考に影響を与えているか、と実感する毎日なのだが、それはまた追って何かの時に記事化したいと思う。

つづく🍎

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?