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誰からも教えてもらっていない涙。

私はよく泣く。

でも涙腺が弱いのとは違うように思う。

幼い頃から、祖父母の家に遊びに行っては別れ際、いつも泣いていた。それは誰からも教えられることなく、涙が勝手に出てしまい。

その頃の祖父母の年齢はまだ50代。永遠に会えなくなる年でも一切ない。それでも小さかった私は、毎回泣いた。条件反射のように。母や妹たちが、そんな私を不思議そうに見る。「何で泣いてるん?」

悲しい、のだろうか。自分でもうまく説明できなかったし、30年以上経った今でも毎回涙が出る。今ではもう母方の祖母しか残っていないし、別れ際、坂道の下の角を曲がり、私が姿を消すまで見送ってくれる祖母は、本当に小さくなってしまった。でも泣ける理由は、たぶん昔と同じだ。

***

また、別の話。

会社で人事考課の面談が半期に一度ある。そこで私は毎回泣く。泣こうと思って泣いてなんかない。毎回今日は泣かない!と思って臨む。しかし、話していたら、今の自分の状況が悔しくて悔しくて涙が勝手に出てくるのだ。

どんなに頑張っても、「一般職」である私はそこから上には上がれない。でも期待されること、求められることは、そこらへんの「総合職」の男性社員より上で、彼らがのほほんと仕事をしてもらっている給料より私の方が少ないこともわかっている。「もっと◯◯部長や◯◯役員の仕事も取ってってほしいねんな」

ふざけんな!怒りと悔しさで涙が勝手に出てくる。そんな私を面談者の上司は不思議そうに見る。女って扱いにくいよなって思われてるんだろうな。それがまた悔しくてならない。

別れるのが「かなしい」涙と、自分の状況を理解してもらえない「くやしい」涙。

映画やドラマを見ても涙が出る。友人の結婚式では、スライド写真を見ながら、全然関係ないのに、その子のおじいちゃんやおばあちゃん、お父さんやお母さんと一緒の小さい頃が映し出されると毎回涙が出る。

どれも条件反射のように。

泣き虫、と言われたことはないけれど。

たぶん人より少し多めに涙を流して、自分の中でいろんなことに折り合いをつけているんだろうなと思う今日この頃。

#エッセイ #涙 #コラム #私のこと

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