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閑話休題 雇われ院長はあり?なし?その3
給料の交渉よりもっと重要なのは、実は「雇用」契約です。
分院の院長は法人の理事にすることが義務付けられています。
一部の大きな組織では分院の院長を理事にしなくてもいいケースがありますが、通常の医療法人の場合は、理事にしなければなりません。
そして、理事の任期は2年です。
なので、2年経ったら辞めても問題ないだろうと思うかもしれませんがちょっと違います。
まずは、会社の場合になりますが、取締役は会社が不利な時期に辞任をした場合、会社の損害を賠償しなければならないという規定があります。
この不利な時期というのが微妙な表現であることは間違いがないのですが、会社が遅滞なく他人にその事務処理を委任するのが困難な時期と言われています。
これを雇われ院長に当てはめると、後任の院長に引き継ぎができない状態も該当する可能性があるということです。
後任の院長が決まらない状態で辞任することは難しい可能性があるということです。
やむを得ない事由がある場合は辞任できますが、一般的には、健康上の理由、受任者が重大な損害を被る場合等があるようですが、こればかりは規定が曖昧で、正直、裁判にならないとわからないのかもしれません。
そして、このやむを得ない事由の立証責任は辞任した側にありますので、裁判でも大変になることが予想されます。
また、医療法人社団の役員の任期が切れている場合、規定の人数に理事数が足りていない場合で、再任や新たな役員の選任等をしていないのであれば、その役員は権利義務役員となるようです。
権利義務役員は通常の理事と同じ権限を有していることになります。
ここからはより法律に詳しい人と相談をしたほうがいいレベルなのかもしれませんが、通常の理事と同じ権限を有している場合、医療法人に損害を与えた場合、損害賠償請求の対象になりかねないと考えられます。
どういうことかというと、任期2年終了したので辞任しますといって辞任を申し出ても、後任の理事が決まらない場合、理事が継続してしまう可能性があるということです。
任期も終わったので辞めますといってその分院の診察をしない場合、分院の収入はゼロになるので、スタッフの人件費、家賃等々で確実に赤字になります。
辞任しても登記上は理事であるため、分院の経営には責任があるため、分院の赤字については責任が生じる可能性があるということです。
もちろん、理事長が後任を見つけ、対応してくれるのであれば問題は全くありませんが、理事長がそういうことができない場合、後任が見つかるまでは診察を継続してくれと言われたら、継続せざるを得ない可能性が高いと考えられます。
もしくは自分で後任を見つけ、理事長に納得してもらうかです。
以上の2つの「不利な時期の辞任」、「権利義務役員」が僕個人としての考えでは、雇われ院長のもっとも大きなリスクはこれじゃないかと考えています。
要は辞められないということです。
自分で開業したい、土地も見つかった、来年の任期終了後に開業するので辞めますと伝えた。
でも、後任が見つからないから待ってくれ!といわれるリスクがゼロじゃない。
もちろん、やむを得ない事由に該当する可能性は十分にありますが、後任が見つからないからという理由で申し出があった時点で、2年待ってくれと理事長から申し込まれた場合、果たしてやむを得ない事由に該当するかはわかりません。
ここをどうやってクリアにしていくかは非常に難しく、医療法と契約書のどちらが有効性が高く、どちらが優先されるのかが僕はわかりません。
知り合いの院長も分院を作りましたが、その後、雇用したDrが一方的に辞めました。
訴訟を検討しましたが、もう関わりたくないということで、明らかに問題がありますが、バイト医を見つけ、常勤として登録し診療を継続しました。
この場合、辞めた院長は運が良かったと言えますが、裏では訴訟は検討はされており、損害賠償請求の可能性があると考えています。
その辺り、うまくいくケースもあれば訴訟沙汰になるケースもあると考えられます。
この契約だけは本当に面倒くさく、正解はないように思いますが、どうしてもする場合は、一度弁護士に入ってもらい対応した方がいいとさえ思えると思います。
弁護士費用は色々込みで10-30万円程度だと思いますが、個人的には弁護士に相談した方がいいと考えています。
10-30万円が高い!と思うかもしれませんが、揉めた場合を考えたら安いものです。
契約で揉めるのは本当にしんどいです😅
経験者だからわかるしんどさです。
大きな組織でも契約・約束は平気で反故にしようすることさえあります。
まあ、だからこその契約であり交渉なのですが。
何れにせよ、雇われ院長をする際には、弁護士への相談、もしくは契約内容をちゃんと弁護士にみてもらい、法律的なアドバイスをもらった方がいいと僕は考えています。
もしかしたら法律の解釈は間違っているかもしれませんが、揉める可能性もある事項であることは間違い無く、もっとも注意した方がいいと思います。
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