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意外とできた、できたんだよ

 職業訓練に通っていました。いました、というか朝を迎えればもう最終日です。早い。

 パソコン技術を学んでいまして、慣れるだろうかと不安しか無かったパソコン作業は想像していたよりも何倍も楽しく「ものづくり」が元々好きだった私は目の前にものがあろうがデジタルだろうが、自分が何かを一から作りだすことにときめきを感じることに変わりはなかったようです。それが分かっただけでも職業訓練に通ってよかったと思っています。
 資格も取れましたし、ここ数ヶ月の私はなんだか気分がいいです。まるで部屋の中の要るのか要らないのか分からないものを全部捨てて風通しが良くなったところに小さな植木鉢をひとつ置いて一息ついたような、そんな心地です。

 ところで。 
 インポスター症候群という言葉を先日初めて知りました。
 これを知ったのは福島の二本松で行われたジェーン・スーさんの講演会。全体通してポッドキャストやラジオ、書籍で彼女が我々に語りかけているような優しくも力強いものでしたが、講演会に行って数ヶ月経っても私の頭の中に非常に強く印象を残しているものがありました。インポスター症候群という言葉。

インポスター症候群とは?

 自分の能力や実績を認められない状態、だそうです。
 仕事や私生活で確実に能力を発揮しているのにも関わらず自分自身を過少評価してしまう人々。謙虚とはまた違う深刻なネガティブな心理状態。
 インポスターは和訳すると「詐欺師」や「ペテン師」の意。ここで騙しているのは自分のことです。特に女性やマイノリティに多いと講演会でスーさんは話されていました。自信が無いことにより「自分なんてできっこない」「今の成功は単なるまぐれ」と思ってしまい。本来任されるに値することを断りがちになるのがよくある例だそう。
 謙虚なのは良いことですが、それを繰り返し続け自分の中に天井を作ってしまい自信喪失に繋がり、心理的な壁がどんどんできていく。
「私なんかが、私ごときが、と言って自重していいことなんか一つもなかった」とOver Tne Sunでお話ししていたことを思い出しました。顔面パンチ。

 かくいう私もきっとインポスター症候群でしょう。前職は職人気質の仕事だったので「毎日勉強、自分はまだ下手だと思うべし」精神が染み付いていました。そんな状態で朝から晩まで仕事をしていたので自己肯定感なんてあったもんじゃありませんでした。それから退職。新しい場所で働こうと動くにあたり自分が持っている物はなんだ?と己に問うても何も自信を持てませんでした。
 そんな思考の中入った職業訓練。初めて会う人々、初めて学ぶ技術。何にもできっこないと思っていたのですがするするとパソコンの資格をとれたではありませんか。そして様々な事情やバックボーンを持ち偶然ここに集まったクラスの人達と交流をするうちに人と関わることの楽しさを少しだけ思い出すことができました。私にとってこの3ヶ月は大きな成長でした。まるで人生のボーナスステージのよう。
 もしかしたらインポスター症候群から少しづつ抜け出せられているのかな、と最近では思います。


 職業訓練ももう終わり。どうか泣かずに笑顔でクラスのみんなとお別れしたいです。

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