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[音階] "なんとかスケール"に終始するなかれ

ジャズのアドリブを学ぼうとする際に、〇〇スケール(音階)に執着する学び方があります。
わたしは、これに全面的に賛成する気にはなれません。

例を挙げましょう

Key of C Major、コードはG7、通常ですと「ここはミクソリディアンスケールを使いなさい。」という説明で終わります。(実際にはリディアンb7thスケールを提示しています。)
しかしG7というのは「コード」ですので各音の役割というものがあります。
上記の説明だけで終わると、なんともモーダルな、各音が平均化された「ただの音の羅列」で終わることが良く起こります。
あくまでコードトーンはG,B,D,Fの4つ、テンションとして9thであるA,13thであるEの2音,そしてアボイドノートとしてのCの3つのカテゴリに分けます。
それらを順序よく並べ替えると、ひとつの音階が現れます。これをミクソリディアンスケールと呼ぶ、と考えます。
あくまで主体はコードトーンであり、テンションはテンション、アボイドノートはアボイドノートなのです。
アドリブというのは瞬間的な作曲で、これはメロディを作曲するわけですから7音すべてが対等ではないということを重点的に学びます。
もちろんスケールを知らなくていいというわけではありません。

管楽器奏者に対するレッスンとしては、まず第一にコードトーンの把握です。
頭でわかっていても弾けなければ意味がありません。
しかし基本的に単音楽器である管楽器奏者はコードを演奏する機会はありません。
そのために訓練としてコードアルペジオを徹底的に鍛え上げます。
また、このコードトーンも4音が対等ではありません。
ベーシストがrootを弾いているため、rootの重要性は最低です。
またそのrootから完全5度(厳密には1octと完全5度)が倍音として発生するためP5の重要性は2番目に低い。3rdはMajorであるかminorであるかを決定付ける最重要項目であるため重要度も最高位。これで順位付けも完了しました。

次に考察すべきは強拍か弱拍か。拍頭か拍裏か。
それによって配置すべき音も選択する必要があります。
強拍あるいは拍頭に置かれたおとは強烈に聴き手の記憶に残ります。

もうひとつ挙げれば、そこはシンコペーションしているのかアンティシペーションしているのか。シンコペーションしているならばコードトーンはすでにほかの楽器から提示されているため提示の必要はことさらなく、アンティシペーションしているならその逆の考慮が必要です。

そして、ぜったいに考慮がもれてはいけないのが「次のコードは何か」という考察です。使用するテンションによって聞き手は次のサウンドを予測します。期待を裏切りたいときにはわざとアンマッチドなテンションを使用することがあります。

またアルペジオとともにアプローチノートも確認します。
練習の段階であらゆる解決方法を模索します。

実際のレッスンではこの前の段階でベースラインの構築を教示していますので、それとの比較を行い、評価します。

このように、〇〇スケールをとにかく吹けばいいというような内容で進めることはありません。
このあと、モーダルについての話をするまではコーダル上の西洋的和声進行における単音でのラインづくりを訓練します。

京都在住のサックス/フルートプレイヤーです。 思ったことを自分勝手に書いていきます。 基本、内容はえらそうです。