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【短編小説】事実は小説より奇なり

     『事実は小説より奇なり』

    とは、よく言ったものだ。しかし、
  別に私は、この言葉を信じていない訳では……
          ない。

      その根拠は、何よりも
   『自分自身が体験したから』である。

    この前だって、空からアルミ缶が
        降ってきたり、
     落っことした十円を拾ったら、
    嬉しいことに百円に変わってたり、
     『山崎』なのに、出席番号が
      2番目になっていたりと、
     あり得ないことばかり起こっている。
  
         やっぱり、
   事実を超えるほど奇なることはない。

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   とまぁ、彼はそんな事を言ってますが、
      それもそうでしょう。

   だって、彼自身『小説の中の人』
       なんですから。

  全く、自分が小説の中に取り込まれている
   ということすら気がつかないとは……。

          ん?

     空からアルミ缶が落ちてきた。


 

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