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自分なりの和菓子を伝えたい

田中 美海さん(メディアコンテンツデザイン学科情報計画コース2010年卒業)現在は山形市双葉町で『和菓子甘果』を経営している。


店内を覗くと、背の高いカウンターに身を近づけ、私たちに笑顔で挨拶をする一人の女性。田中美海(よしみ)さんは、製造から販売を一人で行う『和菓子甘果』のオーナーで、東北芸術工科大学(以下、芸工大と略す)を卒業している。

田中さんは大学卒業後、和菓子職人を目指して修行をし、今年の4月に山形市の双葉町に『和菓子甘果』をオープンした。

山形県山形市双葉町にオープンした『和菓子甘果』はこちら
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──和菓子への思い

田中さんの作る和菓子は、抽象的でシンプルなものが多い。織部まんじゅうなど、昔から作られている形が好きなため、シンプルなデザインになりがちと語っていた。
それとはもう一つ、和菓子を主役にはしたくないという田中さん自身の考えがあるからだ。

和菓子修行にいっていたとき、ある先生から「お茶席で出されるお菓子はあくまでもお茶がメイン」と教えられ、田中さんはそのときから”和菓子=引き立て役”と考えていた。人を招いてのお茶会は、たとえ和菓子が出されたとしても、お茶会という空間と集まった人が主役であり、家で食べる和菓子も食べる人の時間が主役、和菓子を作る側はその場に寄り添う存在なのだと熱心に語ってくれた。

そういった考えが田中さんにあるからこそ、和菓子職人としてのスタンスが、お客様の気持ちや立場を思う優しさが溢れた和菓子が生まれていると感じた。


──芸工大があってこそ、今の自分がいる

『和菓子甘果』は、サークルが同じ方を原点に、多くの芸工大卒業生とのつながりを得て、作り上げることができたお店だと田中さんは嬉しそうに語っていた。

また、新聞記事にお店が取り上げられ、自分が”芸工大の卒業生”だと記載してもらったことで、芸工大の卒業生や現役生、芸工大に通学している子どもを持つ親御さんなど、今までにはお会いしたことのなかった方々がお店に足を運んで和菓子を買ってくれたり、些細な会話の中で「がんばってね」とたくさんの方から応援してもらえたりと、新たな人とのつながりも増えたのだということも笑顔で語ってくれた。

自分が芸工大生であったため地域の人と繋がれているわけで、田中さん自身はこれを”大学生活というより芸工大そのもののおかげ”と考えていた。

芸工大がある街で和菓子屋さんを開けていることに、とても恩恵を受けていると田中さんは日々感じている。

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──なりたい自分を目指して

お客様と関わるときに田中さんは、かしこまらないことを意識している。
いろんな人とお話をすることが大好きな田中さんは、お店を行っていく中でお客様一人ひとりにあった声の掛け方や、会話の引き出し方を心がけちょっとした世間話ができる関係になりたいと考えている。

『和菓子甘果』を街の一部として、地域の方々にそっと寄り添えるようなお店にしていきたいと語っていた。


今回の取材から、私は”偶然の出来事”が社会とのつながりを運んでくるものだと感じた。自分が好きなこと・やりたいことは”やりたいと思ったそのとき”に行うことが大切だと取材を通して見つけることができた。

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皆川 萌依
東北芸術工科大学 総合美術コース


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