パラダイス感想メモ　22/09/29

『パラダイス』を鑑賞してきました。ひたすら個人の感想です。
⚠️ネタバレ有

疲れた〜〜〜…いや全然疲れてない…いや疲れた
〜〜〜をずっと反復横跳びしてる。アドレナリンが延々と滴ってるのを感じる
見終えて真っ先に浮かぶのは、よかったな〜〜〜の気持ち、これに尽きる。よかったな〜〜〜

でも観劇中はずっと、しんどいな〜〜しんどいな〜〜嫌だな〜〜(でも好きだな〜〜憎くて苦しくて好きだな〜〜)と思っていた
嫌いな奴がどんどん出てくる。クズしかいない。マジで嫌いで憎い。全然許せん。でもどことなく愛着に似たものがいつの間にか湧いている。何これ…

始まって真っ先に……イ、イケメン〜〜！って思って……邪念……！衣装も立ち姿もすごくイケメンで、肩の形がすごく良くて…背が高かった……彫りの深さも感じた…
開幕早々個人的人生のトラウマ・遅刻叱責のシーンだったけど特に深く傷つかずにすっと見れた。クソが〜くらいの気軽さで見れたのなんでなんだろう。死ぬほどマジでトラウマの叱責も、好きな男がやっているのを遠く眺める分には美味いな〜やっぱこういう役最高だな〜と見ていられる不思議。梶さんの話し口から、子供っぽさ、周りの反応を常に伺っている愚かさをずっと感じていた。思い返しても良い役だな〜〜

電話を次々掛けて声が重なり合ってる上を怒鳴り散らすパワー型演出、話にビッタシ合っててよかったな…
ボーリング(ギャグ)に絡めて状況・世界観説明を軽やかに済ませてしまうの天才の所業だ……って感心しまくった これに限らず、話が上手くて面白いって気持ちが最後まで途絶えなかったので信頼しまくっちゃう すごいよ、プロって…

辺見、すごかった　8嶋さんのこと大嫌いになりそうだった(語弊)ほんとにクソ野郎で……生々しく嫌なやつで……ほんと「いる」んだよああいう人、ほんとに……怖かった……何かにつけてとりあえず大声、発言内容も全てが薄っぺらくて白々しい、そのくせどうしようもなく場的に正しいからぐうの音も出ない　場的に＝詐欺師の世界で間違ってるのはどう考えても梶さんの方で……非道をやりきる方がよほど正しいんだよな……
梶さんは一生懸命大人の振りをしているようで悲しいなって気持ちが後半になるにつれどんどん強固になっていった。最終版、女性を逃がす時の声があんまりにも子供っぽくて青くて切なかったし嬉しかった。そうだよな…ってなって……

そして家族、生々しすぎる。勝手に自分に重ねてしまって苦痛を死ぬほど感じた。あんなリアリティーのあるクソ家庭会話よく描けるな……すごくない……？すごいよ……普段聞いててもあんなに忠実に文字起こしできないよ……
あの全員がイライラしてて別方向にキレ続けてて、バカみてえな大声出して勝手に不幸になり続けるあの質感を……すごくない……？あんなん……どうやって書くん……？？赤堀さんすごすぎる……

お察しの通り父も母も姉も嫌い。満遍なくクソで、そのくせ梶さんの拭いきれない愛着も死ぬほどわかって苦しい。わかりやすくボケナスの父が父なりに母の悲しんでるのを思いやってるのが厭らしすぎて血管切れそうだった。母はマシだなとか思ったけど、後半になるにつれ毒の回るようにどんどんしんどくなっていく。真綿のようにというか、諦観被害者ヅラが非常にまだるっこしいから同情しつつウンザリしてくるあの……あの質感を……。姉は普通にゲボ100%といった嫌悪感。マジで普通に嫌い。あいつは絶対「長子は親のオモチャ」つって悲劇ぶって一生グチャグチャ言い続けるから同情余って憎さ100倍なんだよな父と母のクズさをハイブリッドすな。ごめんなさい私怨だ。私怨すぎる。
ポツンと冷蔵庫の前に立ち竦んでなんら返事をもらえないのにちゃんと会話しようとし続ける梶さんのあの切なさ、すげ〜〜〜わかるとか思ってしまった。空気のように扱われる苦痛。青少年のような声の梶さん。つらいなあ…
姉がすぐ母側につくから父は息子に縋ってるんだよな。よく言えば不器用に愛してるし悪く言えばみっともねえカス。父も母も姉も、浩一を愛している「つもり」なのがほんとにキツいなと思った……

とまあ散々な言いようだけど、自分に思い当たる節があるからこそここまで罵ってしまう　私も同じ穴の狢なんだよ結局のところ やってること一緒だもんな 死

そしてこんなに嫌いで憎くてしんどいのに切り離してしまうことができない程度に愛着を持ってしまっている、というこの拗れまくった感じが完璧に再現されていて…わかる〜…わかる〜……しかなくなったし、こんだけケチョンケチョンに言っておきながら私もあの家族に対して憎しみだけではない感情が少なからずあるのが本気で悔しい

猫のシーンもこんなようなことを思いながら呑気に見てたので、ウワーーーーーーッ！！！！！！やられた！！！！！(頭の中でPVのように時間が遡る)になった。梶さん、アンタ……アンタどんな気持ちでさ……！！！どんな気持ちで………でも……それでも忙しいから〜って逃げずにちゃんと手伝いには来てしまうし……
そしてその話を真鍋にしてしまうし……猫のシーンで苦しんだ末に出す結論が……真鍋だけでも逃がしてやろうになるの……本当に……

そうだよな　真鍋が自分を本気で慕ってたなんて夢にも思わないもんな……梶さんは……いつの間にか他人に向けられていた愛情、芽生えていた絆なんか感じとるわけにいかんもんな……だって詐欺師だから……「間違っている人達」だから……
そんなとこばっかり詐欺師ワールドに適応してお前は！！！！！！！胡散臭くてクソウザいことを言って威張り散らかす方も頑張れよ…いや頑張ってたよ……頑張って一生懸命、恐喝して怒鳴り散らして殴りまくってたよな　一生懸命大人の真似をしていたよ 梶浩一は

殺せ！殺せ！殺せ！！！頼む！！殺してくれ！！の気持ちで満杯だった。梶さんが持つナイフがライトを反射してキラッキラキラッキラ光って、本物の宝石みたい…トパーズとかみたい……と思った

梶・青木のことを「なんだかんだで殺せない奴」と思っていて、梶！！頼む！！刺してくれ！！！！お願い！！(でもきっと刺せないんじゃないか、刺せずに今後も苦しむんじゃないか)とハラハラして、このちょうど刺すか刺さないかどう転ぶかわからないぐらいのラインが本当に良かった

そしてそれを煽りまくる辺見のクソムーブ、本当に人をムカつかせる天才、天性のクズ、死んでくれと周りに祈らせるために生きているだけのタンパク質　過剰な冷やかし、オーバーすぎる茶化し、首尾一貫のお道化、ちょうどバチバチに人の神経を逆撫でしてくる
もはや梶さんと感情が完全に同化していたから、刺した時の爽快感や安堵と戻れない感を梶さんと同時に味わう羽目になった

青木が観客の鬱憤を晴らすように、オモチャみたいに人を殺しまくる緊迫感は本当にエグかった　彼がまたガチバカなのか冷静立ち回り野郎なのか(どちらでもあるんやろうな)が微妙な立ち位置だから……ウワアァ〜〜となった　もう梶視点になってるから、梶を殺すな！辺見を殺してくれ！！の気持ちでずっとハラハラする
私も今後、人を殺す時はカラスの足の話をしようと思った

ラスト、どうなる！？生きててくれ！！死んだんやろうな……がちょうど入り交じった感情で見てた「帰ってきた」ことを声だけで知った時、よかった〜〜〜〜〜！！！！！って反射的に思った

マジでクソみたいな家族だし、多分今後の仕事もカスだし、この世はゴミだけど、それでもこれは「生きててよかった」の話だと直感的に捉えて、よかった、よかったと胸がいっぱいになった なんかわからんけど終わった瞬間急激に涙が湧いてきてちょっと泣いちゃった　泣かせようの話ではないのに…
泣かせようと思って作られたなら秀逸すぎるし、そうではないならこれは自分用の涙だし、どう受け取ってもなんか良いな……とか思った

カーテンコールの丸山さんはめちゃくちゃ笑顔が素敵でほんまにびっくりするほどイケメンでにこやかで、でもなんとなく切なく見えて不思議だった
そして8嶋さんがニコニコしてるの本当に怖かった(役者さんってすごい)(今後たぶんかなりの間怖がり続けそう)
こんだけ本気で嫌がれるって役者さんの凄さを感じるなあ 本当に……すごいなあ……たった2時間なのにこんなに憎んで愛した…
もう本当に素敵な舞台をありがとうございました

本当に観に行ってよかったな、幸せだった、よかったなあと思って帰り道、ふと見かけた方の感想で……
ウワーーーーーーーーーッそういえば息子おったーーーーーーッッッ！！！！！！！やられた！！！！！！！！嫌……ア''〜〜〜〜〜！！！！！チクショーーーーーーーーーッ！！！！！！！！と思った

このために息子という「小道具」をわざわざ用意した(たぶん)の天才すぎん？？？完敗です 手のひらの上で転がされまくってる　お話の噛みごたえがありすぎ
パンフ見て「しかも出演者！？！？」ってびっくりした 赤堀さん　ありがとうございました…………ウワ〜〜〜〜…うお〜〜〜〜〜…ぬあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん

パンフすげえ分厚くて嬉しい また記憶が薄れてきてから読むのが楽しみ

ありがとうパラダイス！！

22/09/29