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コロナで少子化が加速したとはいうが・・・

gwも最終日になったが、ツイッターのTLは休みの気分を台無しにする話題で埋め尽くされた。発端の記事はどうやらこれのようだ。

少子化の話題は毎度のように荒れるし、結論も「お金と支援が不足しているから結婚子育てしたくなるわけがない!!全部政治が悪い!!」で締めくくられるのもおなじみだ。最初にこの話題に触れた時は本気で心が荒んでしまったが、今ではもういつもの不毛な議論としか思わなくなってしまった。ツイッターマジで議論に向いてない。

日本の少子化問題は先述のように金と子育て支援に注目されがちだが今ではこれらに加えコロナ禍による自粛の影響がセットで語られることが増えた。

要約すると、

コロナによる過剰な自粛で若者が犠牲を強いられた!!結婚も出産も激減した!!残り命わずかな老人を守る為に10万単位で産まれてこない子供を生み出してしまった!!

という論調だ。

確かにコロナによる行事やイベントの自粛、自粛期間分の結婚、出産のタイムリミットの短縮は少子化にまったく無関係ではないだろう。そこを否定するつもりはない。

だが正直に申し上げると、コロナが悪い、コロナが少子化を加速させてしまったという論調には筆者は懐疑的な部分が多いのだ。

なぜか。この論調が、コロナがなければもっとたくさん結婚する人がいたし子供も産まれまくっていたという前提で言われているからだ。

日本の少子化は今に始まった事ではない。出生数が90万を割り込んで本格的に少子化が危惧されたのだってコロナ前の2019年の事だ。コロナがどうこう関係なくその前からすでに少子化は急ピッチで進行していた。そこにたまたまコロナがやってきた、と考える方が正しいのではないだろうか。

少子化の原因はいくつもあるが、特に影響が大きいのは、結婚や子育てに捕らわれない価値観の浸透、女性の権利向上と上昇婚のミスマッチ、自由恋愛の過熱による恋愛格差と非モテの大量発生、と考えられる。日本の少子化は非婚化とセットになっているが、結婚しない生き方が正しいものとして扱われ、結婚したくても(特に男性が)相手を捕まえるハードルが極めて高くなっているのだから、結婚しない(できない)人が大量発生して少子化に至るのは至極当然なのだ。

これらの要因にコロナは直接は関係ない。強いて言えばイベントや婚活の自粛による出会いの場の減少が関わるが、これが致命的な影響を及ぼしたわけではない。仮にコロナが無くったって根本の原因がそのままであるならば結婚や出産の増加は大して増えず、結婚できない人はそのままできない状態で過ごしていただけの可能性が高いのではなかろうか。

また、タイムリミットの点でも疑問がある。コロナどうこう関係なく「今が楽しければそれでいい、結婚なんてしたくなった時にすればいいし、無理にする必要もない」という価値観が浸透していて、結果40手前になってから焦って婚活や妊活を始める人が大勢いるからだ。自粛期間がチャンスを短くしたのには違いないのだが、コロナが無くチャンスが例年通りあればみんな有効に活用していたかと考えると…正直怪しいと思う。

・コロナがもたらした皮肉な好条件


絶対数では差があるのかもしれないが、コロナがきっかけで婚活に前向きになり、実際に結婚に至った人も散見される。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000076.000008966.html

元々、ひとりで気楽な暮らしを送っており結婚にそれほど前向きでなかった人が、自粛期間の中で誰とも出会えず、やりたいことが出来ず、孤独を感じることになった。そして老後の事を考えた時にこの暮らしをいつまでもするのは嫌だと考え婚活に踏み出した。

もしコロナが無ければ、この人達は今でも婚活をしておらず、自由気ままな生活の裏で結婚のタイムリミットがどんどん減っていく状態だったかもしれない。皮肉にもコロナが結婚に対する焦燥感を煽り婚活と結婚に踏み出させたとも言える。

また、コロナをきっかけに地方移住が進んだことも出産子育ての面では好条件である。

https://yamatogokoro.jp/inbound_data/44554/

全国47都道府県の中で一番出生率が低いのは東京都である。そこに若者が大量に居住していれば当然出生数も下がる。だが、地方への移住が進んだことで当人が移住先に永住し結婚や子育てに踏み切る可能性も十分に出てきた。

あくまで可能性の話になってしまうが、実際に地方の方が出生率は高いことを考えると、地方移住した人が増えることで出生数の増加に至ることも決してあり得ない話ではないのではと感じる。

・コロナが悪いで片づけるな


筆者が今一番懸念しているのは、今後実際に出生数が減少した際に本当の原因に目を向けず、「コロナが悪い!!自粛が悪い!!」で話が終わってしまうことだ。ウイルスと政治家にすべての原因を押し付けて根本の問題は手付かずで終わるならば、コロナ禍が終わっても少子化は進むし、それもまた「コロナの影響が続いている!!」で片づけられてしまう。これでは何一つ問題は改善しない。

あくまでも少子化の原因はコロナの前からずっと存在しており、コロナはただの一要素でしかないことを心に留めておくべきだ。そしてコロナのせいにする論調に振り回されず、本当に必要な施策を見極める必要があると考える。

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