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若者草食化の原因は学校教育にもある?


20代男性の4割がデート経験なしという衝撃ニュースから時間が経ったが、どうしてここまで草食化したか、個人的に考えてみた。


一番の要因は間違いなく、手軽に楽しめる娯楽が充実して、そちらに若者の関心が持っていかれている事だろう。

今の20代は物心ついたときには家庭にpcが置かれており、好きなものを調べたりゲームに打ち込むことができた。筆者も小学生の頃からpcで鉄道など気になったものを一日中物色したりしていた。

その後の技術革新によってpcやネットで出来ることは広がり、ついにはスマートフォンという形で誰もが小型のコンピューターを持ち歩くことも可能になった。今や暇さえあればスマホを開きsnsやゲームに勤しむ人は少なくない。また、動画やイラスト、ゲーム等で性欲を満たすことも可能である。

そんな環境なので、時間も金も労力のかかる恋愛は自然と優先順位が後に回されてしまうし、人によってはコスパが悪いと異性と関わる事からも降りてしまう。手軽に楽しいものが手に入る時代になってしまったことのつけが草食化や恋愛離れというわけである。


・他人に近づきにくくさせる学校教育


これに加えて筆者が原因ではないかと考えるのが現在学校で行われている人権を重視した教育である。


筆者が小中学生だったときは構内での暴力やけんかと言った物騒な騒動は起きなかったものの、容姿や性格に対していじりやからかいがあったり、悪口を言った言わないで喧嘩になったりとクラスメイト同士でのトラブルはしょっちゅう起きていた。騒動になるたびにクラス会議に発展したし、時には学年全体の集会でも取り上げられたことがあった。

そうなった時に教師達は、「被害を受けた子は本当に嫌な思いをしている」「自分が同じ事されたらどう思うか考えてみろ」と口を揃えて言い、「人を傷つけるようなことは絶対にするな」と厳しく指導をしてきた。


当時(00年代)は既に学校でのいじめが深刻な社会問題となっており、どこかの学校で自殺者が出ればマスコミがこぞって報道をしていた。そうした背景もあって、学校では生徒同士のトラブルになりそうな事例に入念な対策を行っていた。いじめの被害に対して対策を行おうとすれば、被害者の気持ちを重視した人権教育や指導をするのは自然な流れである。

実際この対策によって、昭和の時代であれば「考え過ぎだ」「甘え」と見過ごされてきた事例でもいじめとして認識され、被害の防止に社会全体で取り組むようになった。「いじめはよくないもの」という意識が普通の感覚になったことは、人権意識の向上やそれによる教育改革の賜物と言えよう。

しかしこうした教育の変化が起きた結果、迂闊に他人にちょっかいをかけたり、仲良くなろうとして他人の領域に踏み込めば、いじめやそれに近い嫌がらせとして認識されやすい状況を作り出してしまった。それまでの時代のように容易に他人と関わり関係を深めることは難しくなってしまった。

更に、いじめも含めた傷ついた子達へのケアが深まることと引き換えに、生徒たちに「甘えるな」とあえて厳しく接し精神的に強くなることを促す指導方法は「生徒たちを一層追い詰める」として激しいバッシングに晒され、見直しを余儀なくされた。それにより追い詰められる子供は確かに減ったが、子供達が精神的に成長できる機会も減り、傷つけられることに対しての耐性が身につかなくなってしまった。


結果、他人と深い関わりを持つことは自分が相手や周りから悪者扱いされるかもしれないというリスクをはらむことになり、同時に相手からの拒絶で傷つくかもしれないという恐れも抱かせることになってしまった。それが他人との関わりでも特に深いものである恋愛にも波及し、草食化に繋がったのではないだろうか。

恋愛に関わらず、現在の若者は「大人しい」「人見知り」「コミュ障」「傷つきたくない価値観」など以前の世代からすれば異様であろう性質を多く持っているが、これが学校の教育も含めた人権意識の変化と考えればしっくりくる。今日ではハラスメントのリスク増大により、女性に迂闊に近づいたり関わったりすることが難しくなっている事が話題にされるが、これと同じことが学校の現場で、いじめ対策という大義によって起きているのではないだろうか。

・人権意識の変化に合わせた恋愛支援が要る


人権社会は、個人の権利を守り被害を防ぐことに対しては有効だが、一方で他人と触れ合うこと自体が人権侵害とみなされるリスクをはらんでいる。これは、自由に好きな相手を探し仲を深める自由恋愛の風潮とは死ぬほど相性が悪い。

婚活パーティのように最初から出会いを目的にして集まる場ならまだしも、学校や職場、イベントなど偶然出会ってからアタックして距離を縮めていくタイプの恋愛は、今日では加害者扱いされるリスクが高すぎる。また、失敗した時の精神的ダメージへの恐れから容易に相手に近づくことも難しくさせる。そんな状況なので、出会いがないからと交際が出来ない人が増えるのは当然の事なのだ。

(リベラル人なら傷つけないように配慮すればいいとか、愛があれば関係を作ることはできるなどとのたまうだろうが、それがめんどくさいと感じる人が多いから最初から関わろうとしなくなるのである。)

故に、人権意識と人間関係の変化に合わせた恋愛や交際、結婚の支援が草食化の解消と非婚化の解消には必要であると考える。

共通の友人による紹介や、知り合いからの紹介によるお見合いであれば、第三者によるある程度の担保がなされているので比較的ハラスメントのリスクは低いと言えるし、ある程度は周りからのサポートも受けて関係の進展を図ることが出来る。今のような人権第一の風潮が続く限りは、自分と相手以外の誰かを巻き込んだ恋愛が一番確実かもしれない。

また、学校においても被害の防止に取り組むだけでなく、逆にどのようにして他人、特に異性とコミュニケーションをとればいいのか教える機会があっても良いと思う。せっかく性教育の導入が進んできたのだから、男女の考え方の違いやどういった振る舞いが好まれるかについて教えてみてはどうだろうか。

誰かと深い関係を持ちたいとは思っていても、社会の風潮のせいでそれが阻まれている人は非常に多いと思われる。被害の防止と並行して、深い関わりを持つことへの支援も進むことを願うばかりである。


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