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「底辺領主の勘違い英雄譚」SNS的な内輪ネタを紙にまで持ってきた作品

今回は、作者自ら監視した中で配信された動画で紹介、レビューされていた作品が気になったので、こちらの作品を自分も語っていきた。

ただ、語る内容に関してはタイトルからも分かる様に本編以外の部分がメインとなります。

【作者自ら監視した中で配信された動画】

■さて、この「底辺領主の勘違い英雄譚」の作品の内容も少しだけ触れておけば、典型的ななろう系。しかし、文章でもテンションが高く、物語の展開自体もそのテンションで乗り越えている。
なろう系とはいったモノの、テンションだけですべてをこなしているだけに、正直ギャグ漫画テイストが正しいかも知れない。

割となろう系は色々と悪い意味で揶揄、例えられているが、そんな中でもギャグ漫画的と比喩はあまりない。
実際、なろう系の作品自体でもギャグ漫画テイストを明確に持たせたモノは少ない印象がある。
ギャグ漫画となろう系に関しては以前の記事でも書いている部分なので、ここでは深く語らないことにしておく。

ともあれ、良くも悪くも作者の描くテンションを楽しむ作品である。

ただ、なろう系とも語った通り、この作品は『小説家になろう』で連載作品でもある。ネットで連載された作品であることが、紙媒体で出版されていてもネットらしさが、にじみ出ている。
次からはその点について語っていきたい。

■後書きだけでも価値のある作品

正直、作者自身も後書き冒頭をTwitterで上げているほどに、これが面白い。これだけでも、この作品を買って読んで欲しいと思うが、普通のラノベ読みにはおすすめできる読み方、楽しみ方ではないのですが。むしろ、評論家向けだろうか。

あまり、ネタバレしても仕方がないが後書きでなく、単なる近況報告に近い。また、内輪ネタでもある。だから、この内容は賛否あるかも知れないが、明らかにSNS的な要素を紙媒体に持ってきた次世代スタイルという見るべきであるとは思う。
ただ、個人的にはリスキーであるため、あまり絶賛すべき点ではないのだが。

実際、この後書きに関して関係各所に許可取っているのだろうか心配になる。多分、取ってないだろう。
下手したら、回収とはいかないなりも、この部分は削られる可能性はあるので気になる人はさっさと紙で入手、確認して欲しい。

本当に、この後書きは大手の出版社なら何処かで止めが入る。どうであれ、オーバーラップという新興出版社ならでの行動と考えている。

■紙媒体を超える交流(エゴサもデフォ)

作者に関しては、バーチャル美少女なろう系ママと語り、実際にやっている。また、エゴサもデフォである。完全にネットで活躍する人物である。

後書きでの内輪ネタと語りましたが、作者のTwitterだけでも後書きの内容は日常的に行っている話だったのである。

この段階でも、「底辺領主の勘違い英雄譚」というかの馬路まんじ氏の現時点での評価は、『小説家になろう』というweb媒体だけでなくSNS的な内輪ネタを紙にまで持ってきたである。

作品の内容にも話を戻せば、この作品は作者の描くテンションで魅せる作品。そして、後書きまで楽しめる点からも作者の作風を楽しむ、ある種芸人の芸、コントに近い。
ここからも馬路まんじ氏のエンターティメントを読んでいると言ってもいいのかも知れない。

そして、エゴサから読者と繋がることで、さらに作品以外の部分でも氏のエンターティメントを構成していく。もはや、作品単体での娯楽性だけでは収まらない。

ただ、ここも賛否はありそうな行動ではあるが、ただそれは紙媒体でこの作品を知った場合。元々はweb媒体で活動していた人であるため、ここらはYouTuberがテレビに進出した程度の感覚に似ている。
テレビ的視点で見ればYouTuberは異端であるが、YouTuberその者が好きな人にとっては異端など関係なく、そんな事を知らない方がおかしいのである。

■理解されないリスク

【一週間で書籍化決定!】

作者である馬路まんじ氏は別作品での実績から、この冠を使っていた。正直、これ単体の冠では反感は容易に想像できる話である。

何しろ、出来レースであることを考えないと理解できないからだ。

ただ、先にも語った馬路まんじ氏のエンターティメントとしてみれば、この実績、冠も理解は出来る。しかし、紙媒体である小説の場であってはこの感性はまだ理解できるモノではない。また、SNS的な内輪ネタも小説内に取り込んだのも同様だ。

ギャグ漫画でも内輪ネタはある程度の昔から存在はしているモノの好き嫌いの分かれる範囲でよほど作者に魅力がない限りはいい方向へ行くことはない。

「底辺領主の勘違い英雄譚」単体ならまだしも、馬路まんじ氏のエンターティメントで今後進むのならSNS内であれば大きな問題はないだろう。何しろ、内輪、仲間内だけの話なのだから。
ただ、紙で出版された以上は不特定、多数に目に留まることになる。そうなれば、賛否は当然出てくる。また、紙媒体というSNSとは別物だけに理解されないケースも多々あるだろう。

ただ、これに関しては馬路まんじ氏を小説家として捉えた場合である。
事実、Amazonの欲しいものリストを公開して、フォロワーから様々な商品が贈られている以上、書籍による収入とは別に個人でも収益を出している。またそれ自体をネタにするなど、YouTuberに近い存在と捉えるのが本来正解なのかも知れない。

それに小説での後書きは出版社も理解して出している以上、出版社も仲間に加わっている。出版社自体も一蓮托生なのだろう。そうでなければ、危ない橋など渡る必要もない。

「底辺領主の勘違い英雄譚」を見ていくと、小説による収益に頼らないスタイルを確立した作家の姿なのかも知れない。

■前回、別の漫画家さんを例に作品だけに頼らない収益スタイルは語っていますので、こちらも宜しければどうぞ。


■追記(2020/7/2)

■別レーベルでもやってのける芸風

『貧乏令嬢の勘違い聖女伝』の後書きでも同じ事をやってのけました。

こうして、紙に読者の名前を載せることは今の時代であっても悪い気はしないだろう。そして、それに釣られて新規読者はお手紙を送る。
ヤッター○ン的にお手紙紹介といった所だろう。また、募集もしてないのに集まる超人募集のようなモノ。

ともあれ、今の時代でも出版業界では手紙が人気作である事を知らしめるのに効果的と言われている。
ただ、その手紙を出すにしても切手代と労力のコストまでかけて出しているのだから、出す側にメリットがない以上メール、SNS全盛の今では難しい。

馬路まんじ氏はそこを知ってか知らずか、SNS時代向けにそのシステムを構築してしまったのだ。
だから、別レーベルであろうが、自身の芸風いやシステムを貫くのは当然と言えるだろう。

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