『ロシデレ』のアーリャさんがVtuberデビューすることに、あれこれ!
『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』通称、ロシデレというラノベ作品のヒロインがVTuberデビューするらしい。
先日、新たなVTuber世代、第3世代について語った。これは私が考えるに個人から出てくるモノと考えている。しかし、今回の件で再考する余地があるのではないかと考えているほど、大きな出来事だと思っている。
また、この作品単体に関しても10万部以上売れた点を前にも考察しているが、このVTuberデビューに関しては別次元であると考えている。
そして、その裏付けという訳ではないが、元角川書店代表取締役社長の井上伸一郎氏がこの作品にコメントを出す力の入れようである。井上伸一郎氏に関しては経営者というよりは、今ままでのアニメ、漫画に大きく関わってきている人物である。
編集者の時代での作品であったりすれば、単にコメントを寄せるのは分かるが、経営のトップになった今、一作品に対して何かを語るのは異例だろう。そして、今回のVtuber化でのタイミングにだ。
それだけにKADOKAWAがこのVtuber化に力を入れているのは、端からも感じることが出来る。
今回は昨日の今日での発表ではあるが、この重大なニュースに関して、色んな点から語って見たいと思う。
また、前回は「ろしでれ」と作品名を略させて頂いていましたが、公式が「ロシデレ」とカタカナ表記に変わったので、そちらに合わさせて「ロシデレ」で書かせて頂きたいと思います。
■作者の手を離れたキャラクター
さて、ロシデレのVTuber展開に関しては、評価はかなりしている。ただ反面、ロシデレという作品が作者の手を離れしまったと感じるだけに、素直に賛同できない部分もある。
元から知名度がある作者ならそれでいいだろうが、今作がデビュー作である作者にとっては右も左も知らないだろうに、経営者トップまで出てくるこの状況。それだけに、キャラクターは色んな意味で作者の手から離れている状態と思ってしまう。
ここに関してはアメリカで誕生したスーパーヒーロー、スーパーマンとて始めは誰もその価値を知らず、原稿料こみですべての権利を譲り渡していた。しかし、その後スーパーマンがヒットしていく中で、作者がその権利と対価を主張して認められるまでには、多くの時間がかかっているという話は今でも語り草になっている。
また、日本においても『キャンディ・キャンディ』、『宇宙戦艦ヤマト』でも原作者と漫画家が争って、漫画・アニメ等での著作権問題として取り上げられている。
これに似た状況を私は危惧しているのだ。
当然、権利の扱いは今と昔で違う。だが、このロシデレのヒロイン、アーリャというキャラクターはweb上に投稿した短編小説が原型で、その時の名前、設定が違っている。ここに関しては編集が書籍化に対して助言をしていると考えている。
そのため、どこまでが作者の権利物かは怪しいと思ってしまう。当然、小説という作品の権利に対して100パーセント保証されても、メディア展開に対してはデビュー作という新人にこのような場面では何処まで権利物の正当性があるのか分からない。
また、ライトノベルにとって作品の顔である、キャラクターのイラストも物語の作者とは別の人が担当している。
一応、今回のVtuber化に関して、初配信とはあるが実際はプレミア公開しますという事で、動画のようである。また、動画の脚本自体も作者が担当されているような旨のTweetもされている。
今回のVtuber化は作者の手から完全に離れている訳ではないが、多くの人が関わって、企画自体も編集主導とある。
ある程度のメディア展開して、権利に関しての知識がある作者ならここらは上手く立ち舞えるだろう。だが、この作者にとってはデビュー作だけに初の出来事だろう。しかも、割と短期間で起きている様子。素人では上手く契約できているのかは分からない。
ただ、この作者が実生活、仕事でそういった知識があれば、心配する話でもないが。当然、そんな裏で行われている話は私には分からない。それでも、権利物である以上、何らかの書類でのやり取りがされているのは当然なことである。
少し話は変わるのだが、先日卒業した桐生ココというVtuberは、独特の英語訛りのあるしゃべりをしていた。これは外観にはない、彼女、中の人といえるライバー固有の特徴である。
この英語訛りの設定は、ライバー卒業した今後どうなっていくのか気になっている部分である。
桐生ココが今後、卒業だけに一切の活動をしないというのなら問題はないだろうが、そうも行かないと私は見ている。それは『ホロライブ・オルタナティブ』という企画が進行しているからだ。そうなると今後は、絵のみで彼女で登場するしか無いのではないのではないか…
ここに関しては、同じVTuberの話題とはいえ、深く語らないと行けないだけに別の機会としたいと思っている。
ただ、この場で言いたいのは、そのキャラクターの権利というべきモノは、多くの人が関われば誰か一人だけのモノで無いということ。本来は作者一人で考えたモノは、多くの人の手で作り上げた結果、そうなっていくのである。
■VTuberとラノベの親和性とは
ロシデレから作品は変わるが VTuberとラノベという話でいくと『ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います』に関しても触れておきたい。
イラスト担当者が共通という事から、VTuber湊あくあとコラボをしている。そう、このコラボは物語との関連性や物語の作者からのモノではない。
物語の作者とは別の所でキャラクター同士が共演する。これは相乗効果もあれば、諸刃の剣にもなるような気がする。
現に、「サクラ革命」というアプリゲームでVTuberの起用決定が決まった時も、どちらのサイドも冷ややかな目で見ていた気がしていた。そして、収益が伸びなかったのか、そのコラボイベントが始まる前にサービスが終了したという、どちらからも汚点を残す結果にもなっていた。
ラノベとVTuberというのは、イラストレーターが両方のコンテンツを担当しており接点が深い。反面、その相性はまだ未知数。何しろ、まだ始まったばかりであるからだ。
ただ、倍速で多くの動画を見る人もいる中で、活字を読むというのはどうしても受け手の中で整理する必要があるだけに、相性は悪いと思う。
しかし、ロシデレのVTuber化は動画単体での成功はかなり高いとは思う。また、3Dモデルは先端の技術を使われているようである。
バルス株式会社に関して調べてみると、最近ではハニーストラップのイベント『Honey Feast 3杯目 -飲み物は何がいいかしら?-』のライブプラットフォームが使われているとのこと。
KADOKAWAと縁があるだけでなく、VTuberとしても先端技術を持っていることが実績からも十分に理解できる。
それだけにVTuber側の目線では、ロシデレのVTuber化は期待している。
ただ、本体であるラノベに何処まで貢献できるかは謎だ。『ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います』にしても、イラストレーターという共通点だけでどれだけのシナジーがあるかは不透明である。
また、つい先日では同様な件でしぐれいういも自身が担当された作品を、配信内で語っていた。ここまで語っているとキリが無いが、本来物語で売るべきである小説媒体のライトノベルはそれ以外の部分で売っているのが、ここ最近の主流である。
また、それに近い事は過去にも語っていることなので、興味のある方はそちらも合わせて読んで頂けると幸いです。
また、少し余談となるが、イラストレーター、がおう氏が担当されたVTuberに関しては、湊あくあだけではない。
餅月ひまりもそうなのだが、彼女にとってママである、がおう氏との付き合いは本来黒歴史にしたいであろう、エロゲー時代の作品も隠さず紹介するほどである。
これはこれで悪戯すぎるともいえるのだが、ただ、商業的なモノが前面に出された話題よりは親しみが持てる部分はあって、ある意味今回の癒やしポイントではないかとも思ってしまった。
■キャラクター自身が宣伝大使となっていくのか
昨今のライトノベルにとって、今回紹介した作品以外でも物語の作者不在で展開している部分がある。
PVでは人気声優が、イラストではVTuberとリンクさせたり、と本来勝負すべき作品の中身は割と見えていない。また、その物語の中身が見える部分も文章ではなく漫画で紹介されていたりもする。
過去の実績からライトノベルはキャラクタービジネスとして側面が強い。だから、これは何の問題もない。
しかし、それでいいのかと思う側面は、私の中ではある。
今回、語ってきている様に物語の作者の手から離れての展開は、何かあった際に権利を主張する事に弊害にもなりかねない。これもまた過去の実績から見えていることである。
それだけでなく過剰な宣伝によって、普通の内容程度では中身が伴っていないことは思われる弊害ともなる。
ただ、VTuber関係の記事も多く書いてきている身からしても、今回の件は作品のキャラクター自身が宣伝媒体としてのVTuber化は今後において重要になる試金石と思っているからだ。
この先も、注視していくべき点と考えている。
また、今回のロシデレのVTuber化で『VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた』とのコラボもあるとのこと。
この作品は内容でもVTuberが出てきているだけに、キャラクター自身が宣伝媒体としてのVTuber化した作品の一つでもある。そして、この両作品はレーベルも作者も違うのに、コラボするのはVTuberという接点からだ。
相乗効果を狙っているのだろうが、ただレーベルが違うといっても、株式会社KADOKAWAが出している出版物では同じである。だから、特別感は薄い。
(しかし、中の人からすればストロングゼロと似合うは上坂すみれの方ということが、少し皮肉に感じるのだが…)
■最後に
前回、ロシデレに関する私の記事を作品公式アカウントにも取り上げて頂いた。また、担当編集者様からもいいねを頂きました。
公式で取り上げて頂いたことは感謝と言うべきではあるが、自身の考えで正解かどうかは別にしてもネタバレともいえるコラムを取り扱って頂いたのは心苦しい点もある。
また、作者様からの反応は無かった。それは当然と把握している。何しろ、作者様に関しては耳が痛いことを、何点か述べさせて頂いている事は重々承知しているからだ。
だからこそ、公式での取り上げは余計に心苦しい部分はあった。しかも、今回は更にその点を深掘りした感じとはなっている。
そう、作者不在の展開という点である。
しかし、この点はnote内の私の記事でVTuberと並んで、多く語ってた来た点でもある。そして、一から十まで賛同を得られている訳でも、反論もある中で今更、誰に遠慮する気もない。
それでも作品の面白さ以外にも、新たな戦略を読み取れる作品として読み解いた記事が前回、そして今回となるとだけ、最後に語って終わりとしたい。
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