タイトルに「変態」でなく、「HENTAI」とつける作品~リスクワード管理とは
■リスクワード管理が求められる時代
つい先日も、特定のプラットフォームではクレジットカード対策として作品名の表現に対して言い換えを求めることがあり、その「ひよこババア」というワードから違った方面でも話題になっていた。
ただ、違った方面で話題になっていても、本質的な問題は言葉狩りという問題は理解した上での話題性でもあった。ただ、この本質というのは、海外ではそういった犯罪を絶対に許さない流れがある。
参考動画(38:36 サンクションの話)
これは日本では理解しずらい部分があるだろうが、これを反社、特にやくざと入れ替えたらどうなるだろうか。
日本においてはどの会社、さらには銀行で口座を作る際でも反社との関係性がないこと求められる。これと同じとして見れば、理解しやすいだろう。
ただ、反社とて人間、犯罪も犯さないモノもいる中で、銀行の口座を作れないのは今日ではまともな生活を送ることは困難であろう。
だが、その是非は日本においては言うまでもなく、法も含め世間でも当たり前と認められている風潮だ。これもサンクションの話である。
それが海外では、そういった犯罪に対してあるとすれば、それらを想像するリスクワードすら規制するのは当然の流れと感じるだろう。
こういった現状の中では、よほどの覚悟がない限り商業においては、規制の対象になるリスクワードを言い換えるのはグローバル対応からも求められる。
ジャニー喜多川による性加害問題後においては、ジャニーズとの取引はしないと通達があった。これはヤクザと同様の企業コンプライアンスで取引が出来ないということである。
そして、性加害である以上、グローバル対応からも無視するのは同罪となってしまう。
このような中ではリスクワードを使うことが逆に話題になると思うこと自体、グローバルな視点でも企業コンプライアンスでもおかしいのである。
以前、語った『ドスケベ催眠術師の子』という作品からも、話題性からタイトルにしたのではないかという空気があり、その問題点を指摘した。
その当時からリスクワードを検索対象外としたり、伏せ字対応としていた通信販売サイト、メロンブックスはつい最近ではYouTubeでリンクを張ることすらアウトになった。
また、「俺のお嫁さん、変態かもしれない」というライトノベル作品も検索して見たのだが、セーフサーチのぼかし設定に引っかかっている。別に成人向けライトノベルでもないのに。
おそらく「変態」がリスクワードなのだろう。
また、注目したいのは、Amazon、Xといった大手プラットフォームがその対象となっている点。つまり、同人販売サイトだから規制する流れでは無く、海外のプラットフォームは軒並みそういった対応となっていくだろう。
■「HENTAI」とつける作品の覚悟とは
そういった中でこんなタイトルの作品が連載されるポストがあった。
『攻略対象キャラが全員HENTAIな乙女ゲームに転生したのでもうダメです。』
タイトルに「変態」でなく、「HENTAI」とするのはかなり危険なことである。
知っている人は知っているだろうが、「HENTAI」をウィキペディアで調べるとこのようにある。
漢字の「変態」であれば、一部では褒め言葉で使われることもあるが、アルファベットでは“成人向け”コンテンツという意味となってくる。
タイトルで“成人向け”と謳うことは、どれだけリスキーなことか認識があるのだろうか?それが一般人も見ることが出来る作品で。
そうでなくとも「HENTAI」はアダルトゲームも指すため、乙女ゲームとHENTAI(アダルトゲーム)でゲームゲームと言葉が重複していると取ることも出来る。リスクワード以外でも変なタイトルである。
さて、この作品が連載するネクストf Lianは新規レーベルとのこと。
最近の出版社において新規レーベルで編集者を募集していることが求人サイトからも確認できる。そういった現状では、何も知らない新規の編集者がこのようなタイトルを世に出したのでは無いだろうか。
web連載版のタイトルは『攻略対象キャラが全員変態な乙女ゲームに転生したのでもうダメです。』である。
たとえ新人の編集者であっても、「ひよこババア」の話題からリスクワードを知らないのは無理な話。それに、ここは電子書籍のレーベルのようでクレジット決済を利用するプラットフォームであれば、同様に他人事ではないのは明白。
また、出版社の企業である以上コンプライアンスとしても無視するはずもないだろう…
まだ原題通りの「変態」であれば問題は無かったはず…
いや、先に例に出した「俺のお嫁さん、変態かもしれない」ですら「変態」だけで検索結果に影響が出ているのが現状であった。
そうなると、「HENTAI」とタイトルに付けたのは日本国内向けとしたガラパゴス作品だけにそういった配慮をしなくてよいと判断したのだろうか。
また、「変態」よりも「HENTAI」としたのはインパクト重視として。
だが、『究極!!変態仮面』という漫画作品が映画化した際タイトルを『HK 変態仮面』としている。「変態」と呼ばなくとも「HK」でチケットが買えるための配慮からである。同様な配慮は略称「ぬきたし」というエロゲーにおいても一般市場に展開する際にされている。この作品はなんとアニメ化まで至っている。
日本国内向けとしたガラパゴス作品だとしても、覚悟もせずに「変態」のリスクワード使うのは変である。
実際、『HK 変態仮面』の主演の際、鈴木亮平氏はマネージャーとオファーに関して話し合って、今後「NHKとCMは諦めよう」と覚悟を持って受けたと語っている。
確かに作品作りとは自由であるべきだが、現状では法整備等が整っていない。それだけにリスクを避けるのが、企業としては普通の行動である。
そうで無くとも、鈴木亮平氏のようにブランドイメージを損なうリスクもある。
そうなると「HENTAI」をタイトルに付けた理由は、明らかに時代と逆行していると言わざるおえない。
■作家を消耗品に出来る時代なのが、答えか?
さて、話は変わるがつい先日、私の別アカウントの方でなろう作家達が創作論を語ったので突っ込みにいった。まあ、結果は糞を糞と言い合う生産性のない糞な話であった。
ただ、SNSらしいといえば、らしい話なのだが、相手は仮にも商業デビューした作家達である。
そんな阿呆なことをするかと普通の人は思うだろうが、以前からそうなってるんだな、これが。
そもそも、なろう作品というのはもはや、数え切れないほど出版され、その作家数もどれだけだろうか。
【なろう書籍化分析】2019年現在 なろう作品書籍化作者は『1092人』を突破! なろう作品書籍化の現状と実態! 作者:軽石
上記の調査によると1000人超えらしい。確かに世に出た作品数からも不思議で無い数字である。そうなると、それを担当する編集者とはどのぐらいなのか?
実際、編集者の数は足りないのか求人サイト、Xでも募集を見かけることができる。
ただ、先の生産性のない糞な話にしても出版社の作家達を多頭飼いして、躾がされずに放置されていると感じられる。現に放任主義が多くなっていることは、別作家も語っている。
編集が問題になるリスクを放置しているのは、作家が何か問題を犯しても、消耗品であり替えのきく存在と見ていると見ることは出来ないだろうか?
この考えだと『攻略対象キャラが全員HENTAIな乙女ゲームに転生したのでもうダメです。』とリスクワードを使い、商業展開してくるのも理解が出来る。
また、先日の『ドスケベ催眠術師の子』の編集者のポストもどこか他人事であったことも思い出した。
作家は個人事業主である以上、出版社のコンプライアンスとは別と切り分けることが出来る。先日も「薬屋のひとりごと」の作画が2億円以上を申告せずに脱税したと報じられた。
これが企業がしたことであれば、大問題である。
この件は今後で話が進んでいくことにはなるが、出版社と作家は別物という考えが、作家は消耗品として使い捨てしている現状を作り出しているのではないだろうか。
この件はあくまで私の直感的な部分で書いているが、ここはまた調べていきまとめていきたい。
それでも1000人超える、なろう作家達が炎上もしかけない自由な言論と「HENTAI」または「催眠」とリスクワードを付けて世に出してくる点を考えると、この線でなければ説明がつきにくい。
それだけに作家はタイトルに「HENTAI」を付ける覚悟を持って、世に出てきたのだろうか?経歴に一生「HENTAI」というリスクワードが残ることになる。
「変態」ですら検索結果に影響が出る中で。
確かに倉田悠子のように裏名義で活動するにも、表での活躍があって出来た話。この件とは違う。
私なら、将来のリスクを考えれば今からでも改題をする。今後の作家活動に対しても様々なリスクとなりうるからだ。
ただ、そのリスクを承知で活動をしていくのだとしたら、私は応援はする。だが、「変態」を「HENTAI」するあたり、現状を鑑みたリスク管理が出来てないのは明白、応援など出来ない。
これは生産性のない糞な話をした作家にもいえるが、まあ、SNSでのやりとりとしては楽しかったので、また語り合いたいモノである。
商業作家としての姿勢は抜きにしての話だが。商業作家様のやり方じゃない、とドン引きである。
■話のまとめとして
さて、最後にこんな話題を。
『カリストプロトコル』というゲームがある、検索がNGなぐらいグロに特化したゲームである。
ただ、本作は日本国内でも発売を検討されていたが「レーティングを取得するためにゲームを変更しても、プレイヤーが期待する体験は得られないとの判断」と日本国内での発売を中止した。
そもそも、リスク以前に様々な問題を例にしてきたが、作家、編集者、果ては読者もこのような現状をどれだけ理解しているのだろうか?
今回は問題になりそうなタイトル作品が出てきたので、急ぎ現状をまとめた。また、一部では考えもまとまってない部分もあるが、さらなる問題となっていきそうなリスクも潜んでいるのは間違いないだろう。
これに関しては、今後を注目してまとめていきたいと思っている。
さて、何も知らない旅人の旅立ちはタロットの「愚者」と同じ。だが、その未来とは正位置、逆位置で意味は変わってくる。ポジティブにもネガティブにも。
この混迷の現状、我々、業界にとって「愚者」の旅立ちなのかもしれない。
■サムネに関して
サムネに関して、『攻略対象キャラが全員HENTAIな乙女ゲームに転生したのでもうダメです。』でタグを「全員HENTAI」としていたので、その検索結果となります。
このように検索画像を知らなければ、「全員HENTAI」というワードを選定するはずも無いのだが…
検索エンジンでの検索結果は昔から重視されていると思うが、このような結果を見ると、この時点でも編集者は仕事してないのでは感じてしまう。
本当にこの作品は、なぜ世にだしたのだろうか?
検索結果のリスクすら管理できていないのだから。
■この1週間で厳しくなる規制とその対応 追記(2024/5/5)
これを書き上げてから、今日まででも性的に関することに関して、規制が厳しくなった感がある。そうでなくともpixivの利用規約でも「特定の国・地域における、健全な表現のための制限」という内容が新設された。
特定の国・地域を対象とした制限に伴う、規約改定および新設を行いまし2024年4月25日
また、その前には写実的な作品に対して、何度も改訂をされる事態も発生している。
写実的作品の禁止に関するガイドラインの再改定のお知らせ2024年4月18日
この流れでも四月の短期間に起きた話である。
性的には規制の話題にないにしても、第70回江戸川乱歩賞で2次予選通過作品の講評の中で、ペンネームにおいてもドレスコードを求められる発言が話題になっていた。
賛否あるにしても、格式の高い賞だけにタイトル、ペンネームでもドレスコートを求められるのは理解できる。ただ、それを応募要項に書かれていないから反論する人もいて、「イヤミか貴様ッッ」という「範馬刃牙」の名(?)シーンが思い浮かんでしまった。
しかし、タイトル、ペンネームが悪ければ、売れ行き含めリスクがあるという考えもこの中にはあるのだろう。
少し個人的な愚痴も含んでしまうのだが、この作品の原作者様におそらくこの件でXの方をブロックされてました。確かに記事内には挑発的な部分もあったので、それ自体を非難することはありません。
ただ、今回の件で資料として、いくつかスクリーンショットを撮って保存していました。それを見比べていて、その内容には驚愕しました。
アカウント名は「○○@~」の“~”の部分で今現在作品名を消しているのです。そのため、コミカライズ連載中とあっても何のことかはアカウント名からは判断できません。
これは本記事内にもある検索リスクから来ているものなので、当然の行動とは言えます。また、本記事を読んでいなくとも、いずれは検索から気がつくことではあります。
ただし、私のXアカウントをブロックしたのであれば、私の指摘は見ている可能性が高いです。あくまで可能性ではであり、見たことは絶対とは言えません。それでも、Xポストだけでもリスクがあることは記載しています。
ブロックされたことは気にしていませんし、昨今ではリスク回避でも当然の行為と思います。ただし、アカウント名変更を含めると、私が指摘していたことが当たっていたことを認めながらブロックされたのでは、馬鹿にされている感じがします。そうであれば、私とて怒りは覚えます。
しかし、原作者様の行為をとかく言うよりも、今回の記事で語りたいのは「HENTAI」をタイトルに使えば、リスクがあること。それは個人だけでなく、コンテンツにおいて悪影響があることを言いたかったのです。
それだけに個人の行為まで指摘する気は毛頭ありません。ただ、アカウント名変更でもリスクあるタイトルと認めているのであれば、コンテンツ業界全体のためにも改題は望ましいと言うことで閉めたいと思います。
江戸川乱歩賞ではドレスコードが求められるように成人向けでも無いのに、変態行為で一般市場を徘徊されるのは極めて危険であり、より規制が強くなる結果となりますので。
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