ファンコミニティから見る、「1,000 True Fans」へと結びつける道
VTuberが大きく飛躍したのには、そのキャラクター性も要素としては外せないだろう。
しかし、それと同時にVTuberを通して、交流の場にもなっていた気がする。特に2020年という状況下ではこの意味は大きいだろう。外に出るにしろ、人と接する機会が減ったからこそ、交流の場の需要が高まっていたのだろう。
実際、この「note」という場でも、「VTuber」タグを検索すれば数多く存在している事が分かる。
そんな「ファン同士の交流の場」とVTuberを見ていった時に新たな側面が見えてくると思い、今回はそれを語って見よう。
■キャラクター性よりもファン同士の交流の場に
この「ファン同士の交流の場」で成功したのが、『Project:;COLD』だと思っている。とはいっても、この企画はまだ始まったばかりではあるが。
これは前情報がなく、始めは『都まんじゅう』という新しいVTuberが出てきた程度の認識ではあった。ただ、動画内には不穏な要素が隠されており、この先、何かが起こる事は視聴者の間で言われていた。
そして、コンテンツ内で事件が起きた事で、謎解きコンテンツとして正式に発表された。それが『Project:;COLD』である。
その後は一気に参加者達は結集して、大きな集まりとなって謎を解いて、キャラクター達に助言を与えていくことになった。
運営もここまでの規模になる事は想定外だったのか、出された謎に対して、瞬時に解かれたことに嘆いていた。
ここでファン同士のツールとしてDiscordが使われていた。VTuberにとっても、Discordは配信ツールである一方で、交流ツールとしても使われている。それはファンであっても同様だ。
一応、Discordについて説明しておくとスマートフォン、Webブラウザなどで動作する、ビデオ通話・音声通話である。
今となっては余談となるのだが、メインの用途としてはゲーマー向けアプリであった。そのため、『Among Us』でチャットなどの補助ツールとして、使うことが本来は正しい。
VTuberの配信ツールとなっているのは、想定外にしろ、このアプリの凄さといった所だろう。
さて、『Project:;COLD』のケースだけでなく、VTuberファン同士の交流ツールとしてDiscordが使われている。
私はそういった場に参加しているわけではないが、この場はDiscord内で盛り上がっていると聞く。
また、『Project:;COLD』のケースを見ても、新規のコンテンツが早々に1400人もの熱狂的なファンを作り出すほど集客力があった。
あくまで、この数はDiscordサーバーに集まった交流の場での人数である。『Project:;COLD』というコンテンツでは、メインとされるYouTubeチャンネル、またTwitterアカウントでも既に2万人を超えている。それに1400人にしても参考に記事段階での数である。
また、新規のコンテンツに多くの人が来た点は、『Project:;COLD』が正規ではないにしろ、VTuber文化の強さを見せた反面、他のVTuberにとっては一定の脅威になったと思う。
脅威とする点は、1つにコンテンツに注視される時間が増えれば、他のコンテンツを見る時間が減ること。そもそも、そのコンテンツも無数に出来ている。個々では相手にならなくとも、無数では大手でも脅かされるのでないかとも思っている。
そして、自身のコンテンツを発信するYouTuber達自体も、このムーブメントに乗っかっている。
また、もう1つの側面として、確立したコミニティの中に新規のファンが入る事は障壁となる面もある。
ファン同士のDiscordサーバーは盛り上がっている反面、しがらみもあるとも聞く。そういったしがらみがない新規コンテンツは、これからVTuber文化に触れる人には入門的である。
ファン向けの交流の場とは語っているが、これ以前にもオンラインサロンは一部では注目されていた。
また、『Project:;COLD』だけでなく、最近では大田区議会議員である、おぎの稔氏もDiscordサーバーを作って盛り上がっている。
ただ、盛り上がっているからこそ、無法地帯にならない様に維持管理する事も大事である。『Project:;COLD』に置いても、多くの注意書きが存在している。
■アクティブなファンが大事
先に1つにコンテンツに注視される時間が増えれば、他のコンテンツを見る時間が減る、それが他にとっての脅威となると語った。
このようなアクティブなファンを増やす事は、チャンネル登録者数が大きい、少ないに関係なく大事な要素となっている。
『Project:;COLD』は考察、おぎの稔氏のDiscordサーバーはコミニティの構築と、ファンが積極的に活動をしている。これらは時間のかかるため、それだけ他のコンテンツへの流失を防いでいる事になる。
これらのファンは数千規模ではあるが、何万、何十万以上とチャンネル登録者があっても、最近では同時接続自体は数千規模と言う事も珍しくはない。
つまり、アクティブなファンが数千規模というのは、今にとっては重要な指針となってくる。
また、「1,000 True Fans」という、確実にコンテンツを買ってくれる1000人の真のファンがいれば、クリエーターは食べていけるという話がある。
アクティブなファンは、そこへと結びつく。
これからはVTuberは魅力あるキャラの語りだけでなく、このようなコミニティの形成がより大事になっていくのではだろうか。
「にじさんじ FAN CLUB」などは収益モデルという側面もあるが、根本は名前にもある通り、ファンクラブである。そして、アクティブなファンだから集まる場でもある。
ただ、ファン向けの場に関しては大手のVTuberにとって、ある側面では不得意となると思っている。ファンの数が多く、個々の意見が届きにくいからだ。また、本人がコミュニティ内に不在となりやすいからだ。
その反面、チャンネル登録者数、数千から1万人程度の固定ファンによって支えられたVTuberは、ここで強みを発揮していくとも考えている。VTuber本人も積極的にコミュニティに参加しやすいからだ。
また、チャンネル登録者数が少ない人ほど、その登録者数はほぼアクティブなファンと見る事もできる。
あくまで、これはファン交流の場という側面だけの話で、全体で見れば、結局は多数と少数という話にはなってくる。
だから、一概に有利不利という話ではない。
ただ、これがチャンネル登録者数が少ない者ほどYouTube外でのファンとの繋がりを強く持て、収益面でも活用できる。そして、少数であっても、こういった場で太客が確保できれば、その後の活動には大きな励みとなる。
チャンネル登録者数を無闇に増やす事よりも、アクティブなファンを集め、自身のコンテンツに引き入れる事が他にとっての脅威で有り、武器となっていく。
ここらに関しては、アプリゲームの方で見ていくと分かりやすいかもしれない。
■100万人のフォロワーよりも大事なモノ
個人的には今年はVTuberに限らず、「1,000 True Fans」が重要な時代となって行くのではないかと思っている。ただ、このアクティブなファンを確保するのは、フォロワー、チャンネル登録者数などを増やすよりも大変だと思っている。
去年の話であるが、Twitter上で展開していた『100日後に死ぬワニ』にフォロワーだけなら数多く集めたが、商業的な成功には至っていない。その展開に問題があったにせよ、多くの人に注目されても、この結果である。
そもそも、終了後にフォロワー自体も大きく減らしている。
結局、『100日後に死ぬワニ』はフォロワーを集めただけで、アクティブなファンの確保が出来ていなかったわけである。
また、同様にフォロワーしたら現金を配る例にしても、フォロワー自体は確保できても、それで得られる知名度、効果はたかが知れている。
むしろ、このやり方は今では詐欺などの温床となる行為と見なされ、逆効果ではある。
それでも、『Project:;COLD』も景品の応募条件でフォロワー、RTを求めている。この場合は情報拡散して、アクティブなファンになる人を求めているからであろう。
『Project:;COLD』はマネタイズプラン、収益性は特にないと言うが、主題歌、声優、技術面だけでなく、景品までお金のかかる事ばかり。なのにマネタイズプランはないという。
なら、お金は何処から出てきているのか?
これに関してはARG(代替現実ゲーム)ではないかと言われている。
恐らく、『Project:;COLD』にとって大事となってくるのは、見ているだけのフォロワーよりも、参加してくれる人であろう。
それが今後の出てくる収益性に対して、お金を落としてくれる「1,000 True Fans」となっていく可能性があるからだ。
そういった企画の意図すら、考察していくのも『Project:;COLD』にとっては楽しい話である。
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